「わたちに こうべをたれる しもじもの 民どもよ」
「さぶにい 青い目を灯台のごとく光らせ わたちを守るがいい」
フリータイム中の保護猫萌乃は元気いっぱいです。
iPhoneで撮った萌乃の写真を拡大してみたのです。
あの~ おでこにくっきりじぶんのイニシャルが!!
驚愕の事実です。
M
なんとまあ……
「萌乃(もえの)」の仮名はたまたま偶然つけたのですよ。
「M」はまったく意識していませんでした。
なのにすごいことです奥さん!
自己紹介しまくりじゃないですか!
もちろん名づけ権は里親になってくださった方にあるので名前が変わってもぜんぜん大丈夫ですが私にとってはうれしい発見でした。
ツイッターでアイラインやノウズシャドウもかわいいと評判の萌乃は現在家族募集中です。
「ハハちゃん 今日はおれが主役だよな?」
昨年9月に保護した「いせやん」。
正直、これまで本当に苦労しました。
過去に保護した攻撃性の強い猫たちの中でも極めて異例の屈強さ。
引っかくし噛むし威嚇もすごいのです。
ウー!
シャー!
タッ!
何度かチチが血だらけになりました。
ほかの保護猫たちは無理やり触らなければ同じ部屋にいられるのですが、いせやんはちがいました。いせやんのいる部屋に入った瞬間、こちらに向かって襲ってくるのです。
情けない話、一時期私はいせやんのいる部屋に入るのが億劫でたまりませんでした。
どうにか洗濯ネットに入れてしまえば触れるものの、それ以外はどうしても無理で。
チチもお手上げ状態でいせやんの「人馴れ」を半ばあきらめていたと思います。
ところが数ヶ月前、ふと閃いていせやんとあまぱんを一緒にしてみたところ、いせやんがあまぱんに激しく甘える意外な姿を目の当たりにしたのです。
いせやんはさぶと大喧嘩になりましたし、ほほをいじめました。ほかの保護猫たちにもずいぶんいばっていたのです。でもなぜかあまぱんにだけは従順で。
あまぱんといると機嫌がよくなり大胆に喜ぶので、あまぱんをさわるついでにどさくさに紛れていせやんにタッチしたら成功。そのうち、あまぱん同伴の条件つきでさわらせてくれるように。いせやんの保護以来私ははじめて希望を感じました。
あまぱんには感謝の気持ちでいっぱいです。
しかし!
ここからがむずかしい。
あまぱんなしだとまったく人をよせつけないのです。
あまぱんがいるのといないのではキャラが180度ちがう。
おそらく彼も突破口を探していたんでしょう。
人と仲良くなれる糸口を。
けれど、体に染みついた「人間不信」と「咄嗟の攻撃(防御)」の鎧は想像以上にかたく彼の心と体を覆っていたため、彼自身も、私も、大きな壁にぶち当たりました。
あまぱんを介してのみ、お互いが歩み寄れる。
いせやんも私も、あまぱんというクッションに依存し、守られながらコミュニケーションをはかっていました。
次の一手が……出てこない……。
悶々と時間だけが過ぎて、気づけば焦燥感すら薄れ……。
えーい! これじゃいかん!
悩みに悩んだ私は、冷静に分析して導き出した作戦を遂行することにしたのです。
まずは自作の歌を明るくしつこく歌いました。
「だいじょうぶだいじょうぶ~♪ ぜんぜんだいじょうぶ~はーい! だいじょうぶだいじょうぶ♪ ぜんぜんだいじょうぶはーい!」
これを毎晩。あまぱん同伴時に歌うことに。
2週間くらい歌ったでしょうか?
やがて……あまぱんを抱っこした私が歌を歌いだすといせやんが駆け寄ってくるようになりました。あまぱんとのラブタイムを耳で覚えたのです。
たとえば缶詰を開ける音をききつけてごはんだと認識する猫のように。
あるいはピンポンが鳴ると警戒して隅に隠れる猫のように。
次に決戦の夜に備え用意したのは、睡眠導入剤とコンタクトの洗浄液
お酒でもよかったのですが、便宜上、常飲している睡眠導入剤(ちゃんと病院で処方されてます)を飲むことに。私が飲んでいる睡眠導入剤は、精神のリラックス効果があります。効きはじめると眠りにつくまでの間、心地いい開放感とともに気が大きくなる。う~ん……大胆になるといいましょうか?
その作用を利用することにしたのです。飲んだ量はいつもより多め。反省してます。でも大丈夫だったから心配しないでください。
ふだんは飲むとおとなしく布団に入りますが、この日の私は飲んだあとすぐにいせやんの元へ向かいました。計算どおり、気が大きくなっています。若干意識が朦朧として。
視覚的恐怖を克服するため、コンタクトもはずしました。
ひどい近視と乱視のため、ほとんど前方がぼやけています。
視力の悪さは、裸眼で歩くと転んでしまうレベルです。
これで準備は整いました。
だいじょうぶだいじょうぶ~♪ ぜんぜんだいじょうぶ~はーい! の歌を歌いながら茶系の塊ににじり寄る私。いせやんの表情も仕草もぼやけていて見えません。
その上、頭がぽわっといい感じにイッちゃってます。
よし! なにがなんだかよくわからん!
これならいける!
そして次の瞬間……
イメージどおり私はあまぱん同伴なしのさしでいせやんを抱きしめることができました。
遠のく意識の中で私は「殻を破った」と思いました。
次の朝、二日酔いに似た感覚で起床。
夕べのできごとが夢なのか現実なのか半信半疑だった私は、いせやんの元へ様子伺いに行くことに。
ドアを開けた瞬間、いせやんがすごい勢いで走ってきました。
私の目をまっすぐに見つめています。
しゃがみこんで「だいじょうぶ」の歌を歌ってみると、いせやんは私の体にじぶんの体を叩きつけるようにスリスリしてくれました。
「よっ! 来たか! やっときてくれたんだな。おれ、半年以上待ってたぞ」
言葉にできないほど、うれしかった。
私に足りなかったのは勇気だったんです。
淋しい思いをさせたよね。
これでもうだいじょうぶ。いせやん、どうもありがとう。
カップル誕生^^ ラブラブになりました~♪
これにはチチも心底驚いており「すげえなあ」を連発しています。
自慢ですが、チチはまだあまぱんなしのいせやんをさわることができません。
体当たりの
LOVE!
でございますが、よい子はまねしないでね(笑)。
次回は犬連れの春の海の記事をお送りします。楽しい週末をお過ごしください。
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