実葉の手術が決まりました

今朝、ヘルパーのFさん(キットの保護主さん)が実葉(みは)を病院へ連れて行きました。

 

「病院へ行くお金がない」

 

「仕事の都合で土曜日まで病院へは行けない」

 

と言っていたのですが、昨夜顔と顔をつきあわせ早めに通院するよう話をしたのです。

 

元来は行動的な方ですから、よーくお考えになって予定を前倒しにしたのでしょう。

 

それでも先生は残念がっていました。「来るのが遅すぎる」と。

 

 

実葉に会って私の心境はまるで変わりました。

 

 

会う前はとにかくイヤで仕方がなかったのです。この手の話が多すぎる。チチは反対している。どう説得するのか? 第一、どうして私がチチのごきげんをとり、まるで自分の習いごとや旅行やわがままの許しを請うがごとく振る舞わなければならないのか? 私だって自分のお子たちで精いっぱい。いったい私はだれの尻ぬぐいに追われているのか? 私だっていろんなことをがまんしてる。無理してる。余裕ない。被害妄想にも似た気持ちでした。

 

狭い度量。小さな器。醜いですね。

 

 

人が絡むとどうしても責任の所在を明らかにしたくなるのが私の悪い癖です。

 

 

くすんだ心のままFさん宅に到着した私は、まず実葉のあまりの快活さに圧倒されました。

 

 

前足がパンパンに腫れているというのに、実葉の「歓迎モード」と「自己アピール」のすごさ。

 

 

「おきゃくさまは かみさまです」

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ふーん。営業力半端ないね(笑)。参りました。

 

 

実葉は小さな傷がいくつもあり、耳がただれ、毛がボサボサでした。

 

 

なのに天使みたいに清らかで、目がキラキラと輝いているのです。

 

 

人をぜんぜん疑っていないのにも驚きました。足を浮かせながら全身で突進してくるのですもんですから私の方が「おいおいだいじょうぶ?」みたいに引きぎみに・・・・・・。

 

 

かわいかった。めちゃくちゃ。

 

 

最後はこの一語に尽きます。

 

 

Fさんちの帰り道、運転しながら私は実葉の姿を笑顔で思い出していました。

 

 

人がどうのではなく、自分の問題として実葉を幸せにしたいと思いました。悶々が消え、清々しい。霧が取れてせいせいした。だれのせいにもせずに済むのは自分の精神衛生上たいせつなことです。実葉と私が出会った、結局はシンプルで自然なできごとですものね。

 

(※でもこれ以上はどうかご勘弁を。今は実葉以後のお話をお受けすることはできません)

 

 

 

「めんどうをおかけしますが よろしくおねがいします ぺこっ」

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くわしくはまたあらためてご報告しますが、たくさんの方に気に留めていただいているので概要だけ簡単に説明しますね。

 

 

実葉は通院後、そのまま入院となりました。現在、病院は実葉の手術に使用するプレートを注文しています。手術は14日の金曜日を予定しています。

 

骨折のレベルは「かなり酷い」だそうで、手術をしてももとの状態に戻るかはわかりません。

 

痛みの体感レベルもすさまじい模様。右前足は橈骨、尺骨、両方折れている。

 

橈骨にいたっては3等分されその上粉砕骨折。尺骨もバキッといっちゃってます。

 

骨折は本来すぐに処置や手術をしないといけないらしいので、結果的に一定期間放置されたのが悔やまれます。けれどそこを嘆いてもはじまらない。とにかく手術をしないと。

 

費用は退院まで(予後が順調なら)で約20万円。ざっくり先生が見積もってくれました。

 

退院時期は未定。経過を観察しながらおいおい決めていきます。

 

推定年齢は若い。ウイルス検査はFIVキャリア、FeLVマイナス。血液検査は異常なし。腎臓や肝臓の数値が安定しているので麻酔や手術を乗り越えられる可能性が高い。術中に亡くなる恐れはなくはないけれど、低い。

 

 

プレートとねじを使い骨を固定するため手術時間は短くはない。そもそも簡単な手術ではない。

 

 

先生の説明を聞きながら、想像より悪かったことに私は落胆を隠せませんでした。

 

 

手術が必要になったとしても、なんかパッともとに戻る気がしたのです。甘いですね。

 

だって私が会った実葉はほんとうに気丈でした。ここまでたいへんな状況だとは思えませんでした。実葉の態度と実際の体調の差が開きすぎていて頭が追いつかないです。

 

 

実葉を傷つけた犯人小学生については対策を考えています。小宮さん、直接事情を知っているFさんと相談しながら、両親、学校、町内会、警察などにアプローチする所存です。ここは私よりも実際に一連を把握し現場にも通っているFさんの得意分野かも。しかし女の子への報復行動も考えられるので、女の子の立場を最優先に考慮しなければならないのも現実です。なにもしなければ繰りかえす恐れがある、というのは認識しています。9年前も同じようなケースがあり、そのときは犯人の学校へ行き、校長先生、教頭先生、担任の先生方と話をしました。複雑な家庭環境を抱えた少年による犯行で先生たちが特別に指導することを約束してくださったのです。このたびは専門家の友人らの意見を聞いてみるつもりです。

 

 

とにかく、私は実葉をもと通りにしたい。その一念だけを強く強く願っています。手術が無事に終わるまではソワソワが止まりません。

 

 

ほかにもやらなければならないことがあって、個別の対応ができないかもしれませんが、気にかけていただきありがとうございます。皆さまのおやさしさに感謝して。

 

 

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わたしは 実葉

「みなさん こんばんは すっかり冷えこみ 秋らしい陽気になりました ごきげんいかがですか? わたしは 名のない 小ぶりな みけねこです」

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「わたしの話を 少しだけきいてもらえませんか? 3日前 わたしは 信じた人の家に連れかえってもらえました 寒くなるまえに 家のなかに入るチャンス到来 胸がおどりました」

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「わたしは もう ながく外でくらしています ヘルパーのFさんがわたしを知ったのは 2年前ですから いくつもの季節が わたしをとおりすぎていったのです だんちのちかくが わたしの寝床 かわいがってくれた人もいました わたしは 愛嬌ではまけません だれにでもスリスリするのがわたしの処世術 ごちそうをもらったり あたたかい手になでられたり これでもわたし 一部の人には アイドルだったのよ」

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「でもやっぱり 外の世界は わたしには ひろすぎる気がしたのです こわいこともたくさんあったし さむいのも たまらなかった だからわたし 3日前は家に入れてうれしかったです

 

けれど 中に入ったのはほんのいっしゅん

 

すぐにわたしは ベランダに出され 2Fから地面めがけて叩きつけられてしまいました

 

わたしを叩きつけたのは だんちに住む小学校六年生の男子児童

 

ぜんぶを1Fで目撃したのは おなじだんちに住み おなじ小学校にかよう女の子

わたしをよく なでてくれたやさしい女の子

わたしは ショックと痛みと恐怖でまいりました ぼうっと女の子の悲鳴をきいていました いつもみたく 女の子のそばにかけよる勇気はありませんでした 物陰にかくれた わたしに 女の子が声をかけてくれたのです

 

“だいじょうぶ?”

 

だいじょうぶ とかえしたいところですが わたしはいま ぜんぜんだいじょうぶじゃないです 足痛い 耳も痛がゆい たすけてください」

 

 

「次の日 女の子は 家族を介護しにきた ヘルパーのFさんに わたしのことをいいました

“おばちゃんもかわいがってた あのみけねこ 昨日2軒となりの家の男子に ベランダから投げられて ひどいことされて ケガしてどっかにうずくまってる かわいそうだよ”

 

わたしを心配したヘルパーのFさんが わたしをさがしてくれました

 

なのにわたしは 隠れたままで Fさんにかけよる気力がありませんでした」

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「ヘルパーのFさんは 仕事をおえ 帰っていきました だけど心は わたしのそばに置いていってくれたみたいです 翌日 カリカリの袋音をシャカシャカさせながら わたしをさがしてくれました おなかがへったわたしは 姿をみせるしかありませんでした」

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「たぶんわたし 右前足 折れちゃった 床につけず パンパンに腫れています」
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「耳もグジュグジュで 血がちょっと床にたれてしまいました」

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“殺されてしまうかもしれない 放っておけないよ・・・・・・” ヘルパーのFさんは わたしをだきあげ キャリーにいれ 自転車をこいで かえりました わたしをうちに連れていってくれたのです おせわになります ヘルパーのFさん ありがとう」

 

「ヘルパーのFさんが わたしのよこで でんわをかけはじめました

“もしもし タナベさん? 仕事先でみけねこを保護しちゃったのですが病院に連れていくお金の余裕がないの なんとか力を貸していただけないでしょうか?”

でんわぐちのタナベさんと しばらくわたしのはなしをしていたみたいです

そしてさっき タナベさんが わたしにあいに きました

 

ようこそ タナベさん

わたしは具合がわるいから あまりお相手はできませんが どうぞごひいきに」

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「タナベさんが撮った わたしの映画」

 

 

「タナベさん わたしいつもはもっと美猫なんですけど・・・・・・」

 

 

 

「名のないわたしに タナベさんが 実葉(みは)と名づけてくれました おぼえてくださいね びょういんにも連れていってもらえそうです また思いっきり走れるようになりたいなあ」

 

 

 

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Touch me

今日家族募集中の保護猫萌乃は長めのフリータイムを謳歌しました。

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フリータイムのあと、萌乃は浴室ネイルサロンへ

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ピンクのリアル肉球萌えーーー!!

 

美を磨くのは女性のつとめ。長かった爪をバッサリ切り全身マッサージ&スープのおやつを堪能してもらいました。あまにいとさぶにいの同伴なし。私と萌乃のふたりきりの時間です。

 

 

さて、書こう書こうと思いながら2ヶ月経ってしまいました。

さっきようやく、キットの保護主さんから返してもらったカメラの中をみることができたのです。

ニャンニャンBOXや703号室ポストカードをお買い上げくださった方へのご報告が遅くなりましたが、私が支援させていただいた地元のTNR(8匹、最後の1匹は近隣のカンパで実現)についてもまとめますのでよかったら最後までおつきあいください。

 

キットはたいへんな姿で保護されました。当時の様子を知らない方はこちらを。ほかにも703号室ブログ右上の検索バーで「キット」と入力すると関連記事がいろいろ出てきます。

 

2月18日早朝、入院先の病院にてキットは天に召されました。

夜、キットの入院費と火葬代を保護主さんに届けるついでにキットにお別れのあいさつをさせてもらいました。その日の記事はこちらです。

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豆さまからもキットへの支援金をお預かりしました。豆さまその節はありがとうございました。

 

艶やかな体、穏やかな表情

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住み慣れたお家に戻って最後の夜を保護主さんと過ごすことに

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キット、お疲れさまでした。よくがんばったね。

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たくさんの猫を見送った保護主さんのお宅には小さな骨壷たちが……

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握手

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白いソックスを履いたようなフワフワのお手手を、私も握らせてもらいました。

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キット、ありがとう。安らかにお眠りください。

 

 

ポストカードをお買い上げの皆さまのおかげでキットの医療費のほとんどと、キットの保護主さんが手がけた8匹の猫たち(支援は7匹分)のTNRを行うことができました。

最終報告をいたします。前回はこちらをご覧ください。

 

未記載の6匹、7匹、8匹目の医療明細(TNRほか必要な医療ケアをさせてもらいました)

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6匹目(メス)

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不妊手術時の写真

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7匹目(メス)

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不妊手術時の写真

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近隣のカンパで実現した8匹目(オス)のお顔の写真を失念。陰部の写真のみとなりました。

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7匹の外猫の不妊手術および基本的な医療ケアにはある程度まとまったお金が必要です。

私一人の経済力ではむずかしかったでしょう。ニャンニャンBOXやポストカードをお買い上げくださった方々のおかげで実現しました。ポストカードはまだ売り切れていませんが、多少の在庫を抱えたとしても、キットの医療費やTNRができたことで私はとても満足です。

ご善意に感謝します。どうもありがとうございました。

 

保護主さんに渡していたカメラに入っていた生前の写真を皆さまにご紹介して、本日の更新を終えたいと思います。

 

亡くなる数日前のキットの姿です。

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「ぼくがどこにいるかわかりますか?」

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「ヒント:すごくふにゃふにゃしていてあたたかい場所です」

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「おかあさんのおひざ元、が正解でした~」

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「ぼくは片目が不自由だけど、もう片方をいっぱい開けておかあさんを見つめています」

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「ぼくを抱っこしてくれてありがとう」

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「ぼくを撫でてくれてありがとう」

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「ぼくはやわらかいベッドの上もだいすき」

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「点滴までの時間、ここで考えごとしたりおかあさんとお話するのがぼくの日課です」

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「ぼくはだいたい聞き役です」

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「おかあさんのヒミツ、ぼくはだれにもいいません!」

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「ぼくはときどき、おかあさんの自転車に乗せてもらい通院しました。ぼくが風邪をひかないよう、ぼくの入ったキャリーバッグにおかあさんは毛布を敷きつめてくれました」

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「ぼくの腎臓はボロボロです。けれどぼくの、心は錦」

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「ぼくは意外とモテました」

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「人気の秘訣は“ぼくの寡黙さ”」

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「へんな顔をしても、ぼくは笑いませんから」

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「笑いませんってば」

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「命の終盤まで、ぼくは天涯孤独な野良猫でした。しかしラストステージでようやくぼくは人のぬくもりに出会い、あらゆることを吸収して空に向かって旅立ったのです。

 

“Touch me”

 

きっと多くのイヌ科ネコ科が人の手を求めているでしょう。

だれだって、いい子いい子されたらうれしいはずです。

 

みなさま、ごきげんよう。ぼくに親切にしてくれてありがとう」

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キットの生前はお世話になりました。

お礼が遅れて申しわけありませんでした。

 

 

LOVE!

 

 

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さようなら、キット

今朝、入院中の病院内でキットは逝きました。

 

前回キットについて書いたばかりなのに、残念です。

亡くなる前夜までごはんを完食していたキット。とてもえらいですね。

最後の最後まで辛そうな様子を見せず、オトナらしく静かにがんばってくれました。

 

先ほど、私はキットの保護主宅から戻りました。

キットの入院費、治療費、葬儀にかかるお金などを早く保護主さんにお渡ししたかったし、なによりもキットの顔を見て頭を撫でたかったです。花屋が閉まっていたのでスーパーで買ったピンクのトルコキキョウを持って行きました。

保護主さんから最近のキットの写真を預かってきたのですが、疲れてしまったのと勇気が出ないのとでまだカメラの中を見ていません。TNRの最終報告もいたしますがもう少しだけ時間がかかりそうです。

 

亡骸の状態は極めてよく、やつれた感がなくずっしり重く筋肉質の体です。

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苦しいときに苦しいといえたら

淋しいときに淋しいといえたら

この子はもっと早くに人間の目に留まっていたのでしょうか?

 

あんな姿になるまでひとり耐え抜いて本当にかわいそうでした。

でも、キットの清らかな魂は深く安らかな眠りにつける場所まで昇天すると思います。

 

 

保護主さんはいいました。

 

「次は、はじめから幸せな猫として生まれてくるんだよ」

私は保護動物たちの前世や来世……生まれかわりを信じるかわりに、「現世でどう生かすか」を掘り下げてきました。だから生まれ変わりを強く意識したことはないのですが、もしもあるなら、もしもあるならば、保護主さんと同じ意見です。

 

次は、はじめから幸せな猫として生まれてきてほしい。

あらゆる祝福を受けながら。

 

キットは命の終盤、多くの方に気にかけていただき支えていただきました。

僭越ですが、ネット環境にない保護主さんにかわって御礼申し上げます。

どうもありがとうございました。

 

 

キットともども感謝の気持ちでいっぱいです。

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さようなら、キット

 

合掌

 

 

 

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ぼくは ぜんぶ食べました

皆さまこんばんは。

バービー改めそよの卒業にたくさんのお祝いメッセージありがとうございました。里親さんともども感謝の気持ちでいっぱいです。

 

次はこの方の家族を探します。

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萌乃さん、そろそろ出番ですわよ!

完全に心を開いたわけじゃないけど、触ればゴロゴロ喉を鳴らすし健康体のかわいい女の子です。これまでバービー改めそよの影に隠れてきましたが、次は保護猫萌乃にスポットライトを浴びせたいです。皆さまどうぞよろしくお願いします。

 

さて、昨日はキットの病院へ行ってきました。

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キットの保護主さんと仕事を調整しながらつきあってくれたマイ太郎さんと私の3人です。

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マイ太郎さん、キットに会いに来てくれてありがとうございました^^

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保護主さんに物資を用意したのですが、食べ物を一切受けつけないと聞いていたのでなにを持っていったらいいのか……とりあえず使えそうなものを少し持っていくことにしました。

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もう、食べてくれるならなんでもいいです。

腎臓フードにこだわっていてもキット自身が食べたいと思わなきゃ意味ないですから。

 

キットは最近腎臓食を食べなくなったので主治医の先生のアドバイスで食べそうなものはなんでも食べさせるようにしていました。

その矢先、とうとう先週突如激しい嘔吐と血便が。

保護主さんはキットを病院に運びそのまま緊急入院になったのです。

 

「末期の慢性腎不全による尿毒症」

 

主治医の先生はキットの数値を「ステージ5以上(つまり末期中の末期)」と評しています。

 

でもすごい目ヂカで私たちを迎えてくれました。

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キットの残った左目は驚くほど力強く輝いていました。

うまく言えませんが、「死んで楽になりたい」目ではありませんでした。

むしろ私には生命の塊に見えたのです。

私の願望を差し引いたとしても、本当にそうです。

 

甘えん坊になった彼ですが、慣れない病院内では威嚇する元気も出てきました。

「シャー!」

静脈点滴で体がだいぶ体が楽になったんでしょう。

 

「だいじょうぶよ。えらいいい子いい子」

保護主さんとマイ太郎さんがタオルごしにやさしく撫でました。

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私はキットにできることをなんでもやらせてもらう所存ですが、「できること」自体があまり残っていません。誤解してほしくないのは、私はもう積極的な治療をめざしてはいないのです。

彼は現在の動物医学では治癒しません。

CREAもBUNも振り切っており、もはや測定不能状態です。

私がやるべきこと、やらせていただきたいことは、彼の緩和ケアの方です。

彼のQOLを尊重し、QOL向上に全意識を置きたいのです。

 

本来なら慣れない病院もストレスかもしれません。しかし保護主宅で血便を垂れ流し、ゲーゲー吐きながらのた打ち回るのも彼にとってはかなりのダメージです。

一長一短ではありますが、保護主さん、主治医の先生と話し合い決めていこうと思います。

 

先生とじっくり話をしました。

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検査の結果次第にはなりますが、体調を見ながら近日中に一度退院させます。住み慣れた家に戻して様子を見て、再度悪化したらまた病院へ運ぶ。その方向性で考えています。

 

キットは高度医療も可能な都内の総合病院に入院中です。そこにはキットの保護主さんの愛猫たぬちゃんもいました。昨日の朝、乳がんの手術を受けたそうです。がんばったね。

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キットの保護主さんの愛猫クーくんも病院にいました。クーちゃんもまた具合が悪いのです。

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重い病気を持つキット、たぬちゃん、クーちゃんの他にも多くの猫と暮らしている保護主さん。ヘルパーの仕事の傍らTNRにも力を注ぎました。

 

「田辺さん……イタリアンは好きですか? 小さいけど、おいしいイタリアンの店があるの。ピザもモチモチで……いつか一緒に行きませんか? 私が招待します」

「ええ? イタリアンは大好きです! いつかぜひ」

 

病院の外でポツリポツリと会話を交わしながら保護主さんはおそらく私に遠慮がある、と思いました。だからこそ今回私が直接先生と今後の方針を話し合えてよかったです。

 

保護主さんに比べたら、私はなにもやっていないに等しいですが、私はキットの一ファンとして彼の穏やかな余生を強く願っています。それが1ヶ月なのか1日なのかはわかりませんが、彼が今を生きていることだけは、しっかりと胸に刻みたいです。

 

最後になりましたが、うれしいご報告が!

私たちが病院に着いたとき、キットの食器は空になっていました。

病院でケアされた元祖食いしん坊は、出されたご飯を完食です。

 

食べることは生きること!

 

LOVE!

 

 

 

 

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