近年私は目の前にいるスター候補をスカウトする活動に専念している。
無償でしている。
事務所は小さい。
舞台も然り。
スカウトからマネージメントからアフターケアまでを基本ひとりでこなす。
だからうちの所属スターたちが大きく注目されることはあまりない。
私は近所と折が合わない。私の話が通じない。味方はいない。
スカウトするための捕獲箱を置くスペースすら私にはない。
それでも私はスカウトがしたい。ホームレスとなり汚れている彼らを磨きたい。
全部私の自己満足のため。
昔は犬も多かった。けれど最近犬の事情がかなり改善され、私はよく猫と出会うようになった。だから猫ばかりが我が家の所属スターとなる。
私はスターに人とのコミュニケーションの方法を教えている。
しかし振り返れば、教わるのはむしろ私のほうで、飢えたみすぼらしい彼らが、まざまざと輝いていく姿に圧倒されながら私は夢中でつづけてきた。
「野良猫問題」
猫が好きな人にとっては心が痛い。
猫が嫌いな人にとっては頭が痛い。
私は両方の「痛み」を解決する策を熟知している。
いるべきじゃない場所からいるべき場所へと移動させるだけのシンプルなプラン。これに尽きる。動物愛護精神云々、動愛法改正、行政云々、地域をを巻き込んで云々、組織化して云々……どれもまちがいではない。どれも重要。
けれど私は伝えたい。
日本のあちこちに私のような人間が存在することを、私は知っているから。
保護をためらうなら、保護してほしい。
たったひとりでもできることはある。
保護することは有意義です。スターを輩出する能力やスキルは保護した後に磨けばいい。でもスカウトしすぎて身を滅ぼすのは理にかなわない。事務所が潰れては、スターは行くべき場所にたどりつけないから。
恥ずかしいほど小さなキャパシティ。この町で私を理解する者は皆無に近い。
しかし全然かまわない。町にはいろんな人が住んでいて、それぞれの考え方や生活様式を持っている。たとえこの町が私の理想郷とはかけ離れていても、私はこの町を離れるつもりはない。今以上に裕福になっても、703号室こそが私の城。
私は周りに理解者がいないことを嘆いて諦めたりしない。
私は自分の心に従って行動をしたい。
私の行動はほかから見たらいっさいの意味も持たないかもしれない。
だけど私にとっては自分を誇れる唯一の拠り所。
私は野良猫を保護し、きれいにしたい。きれいになった保護猫を703号室の舞台に立たせ、彼らの終の棲家を探したい。私がスカウトしてきたスターたちが、私からプイと離れ、私を忘れ、向かうべき場所へ旅立つ後姿が好き。
私は保守的で頑固なマゾだけど、同じような感覚を持つ人は必ずいる。
まず、行動を起こしてほしい。
泥だらけのスターを見つけたら、即、迷わずに、勇気をもち彼らを自分の舞台へさらってほしい。最初の彼らはたいがい怒っていて、困っていて、飢えている。
だけどお互いへの誤解は解ける。
なぜなら私たち人間側に悪意がないことを賢い彼らはいずれ気づくから。
15年半の活動の間に周りにすすめられ「団体化」することを何度か考えた。
もっと有名になって、大きな力を得て、多くのスターを育て、還元されるべきものを受け取ろうと卑しい気持ちを持ったこともある。
しかし独断的で協調性に欠ける私には、グループ化はむずかしい。
突き詰めていくと、興味もない。
私はたったひとりでもできることがあることを証明するために実在しています。
だから身分不相応の壮大な肩書きは要らない。
私のペースでやりたい。私の持てるあらゆる力を目の前のスター候補に向けていきたい。彼らの未来を決めるとき、私は緊張のあまり指が震えたりする。
誰かにとっては「たかが一匹の保護猫」。
けれど私にとっては人生をなげうってスカウトする価値のある逸材。
私は自分の心に従い、原則的には自分のお金で、自分の責任でこなしたい。
町に偏屈者扱いされてもされなくても、私はそこにウエイトを置かない。
話し合いで認めてくれる地域なら、間違いなく私は努力をしたでしょう。
でも私の地域は、話し合う土俵に上がれるほどの人材がいない。
(もしかすると私が見つけられていないだけかもしれないけれど……)
けれど私もときどき孤独を感じる。
そんなときはブログにノコノコやってきて、吠えたいことを吠えたりする。似た意思を持った人を求め、ブログやツイッターを徘徊する。
私は野良猫はもはや町にいるべき時代ではないと考えています。
1匹でも2匹でも、彼らは家の中に入るチャンスを持つべきです。
その橋渡し役は、たいへんなエネルギーを消耗する。
いい加減な譲渡ならいくらでもできる。この10倍のスピードで。
だけど私はそうはしたくない。
良縁に執着し、真理を探究し、職人のようなベストな譲渡を築きたい。
これをお金に換算したら、私はかなりプロフェッショナルのほうだと自負している。でも私はここから私に報酬が生まれることを望まない。
私は拝金主義者ではない。
いい人ではないけれど、自分の理念に基づき真剣に活動しています。
たとえ1億やるからその猫適当に渡せやと言われたら、私は迷わずNOします。
実はそれを「アマ」だと批判されたこともある。
私はそうは思わない。自分がアマだと思わない。
プロとアマの定義が「金銭が絡んでいるかどうか」だけだったら、無償のプロでいることを私は喜んで選び、無償のプロを証明したい。むろん、お断りをしても送金してきて私の微々たる活動を助けてくれた方は何人もいる。事実、その方々の善意のお金で助かった子たちもいる。
けれど私が言いたいのは、私は弱小な個人だけど信念がある。
アマとプロの違いは、お金を生み出すか生み出さないかではない。
納得できる活動ができるかどうか。パーフェクトに近づけるかどうか。
その違いこそが「プロ」と「アマ」を二分する。
でも極論、私はアマと呼ばれても傷つかない。
私の舞台から巣立った子たちを見てください。
再び干されている子などいない。仮に干されても私のもとに戻ってくる。私が彼らの受け皿となる。彼らは家族と共に日々煌びやかに暮らしています。
人々が経済の発展や政治や宇宙開発や人類のためのなにかの研究をしているまさにそのとき、私は目を凝らしながら近所でスター候補の野良猫を探している。
どっちが有意義で、どっちが無意味かを決めるのは他人の役目ではない。
私は自分の心に従って生きている。大きさとか小ささとかはいっさい関係ない。
私が磨き上げたスターこそが私のすべてです。
私は無駄なことに時間を使うのが惜しいケチな女です。
大金を稼ぎ、ブランド物を追って麻布に住むことが私の夢ではない。
私は私の時間を私の納得できる形で使いたい。
それはスカウトであり、マネージメントであり、未来の家族への紹介です。
サク(楽)はスターを引退し、終の棲家へ移動しました。
次回は彼の新居地へご案内します。彼がいるべきところです。
703号室の舞台は物理的に小さい。知名度も低い。ですが町が私を見放しても、共感してくれなくても、邪魔されたとしても、私は703号室で暖簾をあげています。ブログには孤独をぬぐってくれる理解者がいて、同じ志を胸に持つ人がいる。私たちは情報を共有し、喜び、悲しみ、互いを懐きあうことができる。
703号室は舞台であるのと同時で控室であり、寝室であり、レストランであり、トレーニングルームであり、巣立ったスターたちの実家でもある。
ここを過大評価も過小評価も皆さま読み手の自由でしょう。
けれど我が家には今、セクシー路線の十香(1歳未満)がいます。
彼女のチャンスを願い、スポットライトを当て、大勢が彼女を知ることを希望しますが、個人事務所なので、なかなか厳しいかもしれません。
それでもどうしましょう?
彼女は私の家にやってきた美しいスターですから、私も彼女の魅力に迫る勝負をしたい。十香に興味を持つ方がいましたら、私宛にご連絡ください。
かわいい猫はちまたに仰山います。
その中から彼女を選ぶ人は目が高い。おそらく十香の真髄に気づいてくれている方でしょう。彼女自身が子猫ほどのサイズでありながら、3匹の子どもたちを産み、ちぎれんばかりに乳を吸わせ、真っ黒に汚れながら生きてきました。
これほど素晴らしい女性はいい方に選ばれるべきであり、彼女は小柄な1匹のもと野良猫ですが、同時に宇宙のように無限でもあります。
彼女に着目してくれる方がいることを願いつつ、おやすみなさい。
最後に一言付け加えたいのですが、たとえ私は体が壊れようが、心が壊れようが「別れのプロ」として、彼女の未来にベストを尽くします。天に誓って。
LOVE
ペットシッター「にくきゅうのおせわ屋」をはじめました
お留守番をがんばるかわいい家族が「お帰り!」と目を輝かせて出迎えてくれるよう、安心・安全に最優先で心を込めてお世話します。
足立区・荒川区・文京区を中心に活動してますが地域のご相談やお世話内容など、
⇒足立区のペットシッター にくきゅうのおせわ屋をご覧ください!