幸せの703号室


近年私は目の前にいるスター候補をスカウトする活動に専念している。

 

無償でしている。

 

事務所は小さい。

 

舞台も然り。

 

 

スカウトからマネージメントからアフターケアまでを基本ひとりでこなす。

 

だからうちの所属スターたちが大きく注目されることはあまりない。

 

 

私は近所と折が合わない。私の話が通じない。味方はいない。

 

 

スカウトするための捕獲箱を置くスペースすら私にはない。

 

 

それでも私はスカウトがしたい。ホームレスとなり汚れている彼らを磨きたい。

 

全部私の自己満足のため。

 

 

昔は犬も多かった。けれど最近犬の事情がかなり改善され、私はよく猫と出会うようになった。だから猫ばかりが我が家の所属スターとなる。

 

 

私はスターに人とのコミュニケーションの方法を教えている。

 

 

しかし振り返れば、教わるのはむしろ私のほうで、飢えたみすぼらしい彼らが、まざまざと輝いていく姿に圧倒されながら私は夢中でつづけてきた。

 

 

「野良猫問題」

 

猫が好きな人にとっては心が痛い。

 

猫が嫌いな人にとっては頭が痛い。

 

 

私は両方の「痛み」を解決する策を熟知している。

 

いるべきじゃない場所からいるべき場所へと移動させるだけのシンプルなプラン。これに尽きる。動物愛護精神云々、動愛法改正、行政云々、地域をを巻き込んで云々、組織化して云々……どれもまちがいではない。どれも重要。

 

 

けれど私は伝えたい。

 

 

日本のあちこちに私のような人間が存在することを、私は知っているから。

 

保護をためらうなら、保護してほしい。

 

たったひとりでもできることはある。

 

保護することは有意義です。スターを輩出する能力やスキルは保護した後に磨けばいい。でもスカウトしすぎて身を滅ぼすのは理にかなわない。事務所が潰れては、スターは行くべき場所にたどりつけないから。

 

 

恥ずかしいほど小さなキャパシティ。この町で私を理解する者は皆無に近い。

 

 

しかし全然かまわない。町にはいろんな人が住んでいて、それぞれの考え方や生活様式を持っている。たとえこの町が私の理想郷とはかけ離れていても、私はこの町を離れるつもりはない。今以上に裕福になっても、703号室こそが私の城。

 

 

私は周りに理解者がいないことを嘆いて諦めたりしない。

 

私は自分の心に従って行動をしたい。

 

私の行動はほかから見たらいっさいの意味も持たないかもしれない。

 

だけど私にとっては自分を誇れる唯一の拠り所。

 

 

私は野良猫を保護し、きれいにしたい。きれいになった保護猫を703号室の舞台に立たせ、彼らの終の棲家を探したい。私がスカウトしてきたスターたちが、私からプイと離れ、私を忘れ、向かうべき場所へ旅立つ後姿が好き。

 

 

私は保守的で頑固なマゾだけど、同じような感覚を持つ人は必ずいる。

 

 

まず、行動を起こしてほしい。

 

 

泥だらけのスターを見つけたら、即、迷わずに、勇気をもち彼らを自分の舞台へさらってほしい。最初の彼らはたいがい怒っていて、困っていて、飢えている。

 

だけどお互いへの誤解は解ける。

 

なぜなら私たち人間側に悪意がないことを賢い彼らはいずれ気づくから。

 

 

15年半の活動の間に周りにすすめられ「団体化」することを何度か考えた。

 

もっと有名になって、大きな力を得て、多くのスターを育て、還元されるべきものを受け取ろうと卑しい気持ちを持ったこともある。

 

しかし独断的で協調性に欠ける私には、グループ化はむずかしい。

 

突き詰めていくと、興味もない。

 

 

私はたったひとりでもできることがあることを証明するために実在しています。

 

 

だから身分不相応の壮大な肩書きは要らない。

 

 

私のペースでやりたい。私の持てるあらゆる力を目の前のスター候補に向けていきたい。彼らの未来を決めるとき、私は緊張のあまり指が震えたりする。

 

 

誰かにとっては「たかが一匹の保護猫」。

 

 

けれど私にとっては人生をなげうってスカウトする価値のある逸材。

 

 

私は自分の心に従い、原則的には自分のお金で、自分の責任でこなしたい。

 

 

町に偏屈者扱いされてもされなくても、私はそこにウエイトを置かない。

 

話し合いで認めてくれる地域なら、間違いなく私は努力をしたでしょう。

 

でも私の地域は、話し合う土俵に上がれるほどの人材がいない。

 

(もしかすると私が見つけられていないだけかもしれないけれど……)

 

 

けれど私もときどき孤独を感じる。

 

そんなときはブログにノコノコやってきて、吠えたいことを吠えたりする。似た意思を持った人を求め、ブログやツイッターを徘徊する。

 

私は野良猫はもはや町にいるべき時代ではないと考えています。

 

1匹でも2匹でも、彼らは家の中に入るチャンスを持つべきです。

 

その橋渡し役は、たいへんなエネルギーを消耗する。

 

いい加減な譲渡ならいくらでもできる。この10倍のスピードで。

 

 

だけど私はそうはしたくない。

 

 

良縁に執着し、真理を探究し、職人のようなベストな譲渡を築きたい。

 

 

これをお金に換算したら、私はかなりプロフェッショナルのほうだと自負している。でも私はここから私に報酬が生まれることを望まない。

 

私は拝金主義者ではない。

 

 

いい人ではないけれど、自分の理念に基づき真剣に活動しています。

 

たとえ1億やるからその猫適当に渡せやと言われたら、私は迷わずNOします。

 

 

実はそれを「アマ」だと批判されたこともある。

 

私はそうは思わない。自分がアマだと思わない。

 

プロとアマの定義が「金銭が絡んでいるかどうか」だけだったら、無償のプロでいることを私は喜んで選び、無償のプロを証明したい。むろん、お断りをしても送金してきて私の微々たる活動を助けてくれた方は何人もいる。事実、その方々の善意のお金で助かった子たちもいる。

 

 

けれど私が言いたいのは、私は弱小な個人だけど信念がある。

 

アマとプロの違いは、お金を生み出すか生み出さないかではない。

 

納得できる活動ができるかどうか。パーフェクトに近づけるかどうか。

 

その違いこそが「プロ」と「アマ」を二分する。

 

でも極論、私はアマと呼ばれても傷つかない。

 

私の舞台から巣立った子たちを見てください。

 

再び干されている子などいない。仮に干されても私のもとに戻ってくる。私が彼らの受け皿となる。彼らは家族と共に日々煌びやかに暮らしています。

 

人々が経済の発展や政治や宇宙開発や人類のためのなにかの研究をしているまさにそのとき、私は目を凝らしながら近所でスター候補の野良猫を探している。

 

どっちが有意義で、どっちが無意味かを決めるのは他人の役目ではない。

 

私は自分の心に従って生きている。大きさとか小ささとかはいっさい関係ない。

 

私が磨き上げたスターこそが私のすべてです。

 

私は無駄なことに時間を使うのが惜しいケチな女です。

 

 

大金を稼ぎ、ブランド物を追って麻布に住むことが私の夢ではない。

 

 

私は私の時間を私の納得できる形で使いたい。

 

それはスカウトであり、マネージメントであり、未来の家族への紹介です。

 

 

サク(楽)はスターを引退し、終の棲家へ移動しました。

 

 

次回は彼の新居地へご案内します。彼がいるべきところです。

 

 

703号室の舞台は物理的に小さい。知名度も低い。ですが町が私を見放しても、共感してくれなくても、邪魔されたとしても、私は703号室で暖簾をあげています。ブログには孤独をぬぐってくれる理解者がいて、同じ志を胸に持つ人がいる。私たちは情報を共有し、喜び、悲しみ、互いを懐きあうことができる。

 

 

703号室は舞台であるのと同時で控室であり、寝室であり、レストランであり、トレーニングルームであり、巣立ったスターたちの実家でもある。

 

 

ここを過大評価も過小評価も皆さま読み手の自由でしょう。

 

 

けれど我が家には今、セクシー路線の十香(1歳未満)がいます。

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彼女のチャンスを願い、スポットライトを当て、大勢が彼女を知ることを希望しますが、個人事務所なので、なかなか厳しいかもしれません。

 

 

それでもどうしましょう?

 

 

彼女は私の家にやってきた美しいスターですから、私も彼女の魅力に迫る勝負をしたい。十香に興味を持つ方がいましたら、私宛にご連絡ください。

 

 

かわいい猫はちまたに仰山います。

 

 

その中から彼女を選ぶ人は目が高い。おそらく十香の真髄に気づいてくれている方でしょう。彼女自身が子猫ほどのサイズでありながら、3匹の子どもたちを産み、ちぎれんばかりに乳を吸わせ、真っ黒に汚れながら生きてきました。

 

 

これほど素晴らしい女性はいい方に選ばれるべきであり、彼女は小柄な1匹のもと野良猫ですが、同時に宇宙のように無限でもあります。

 

 

彼女に着目してくれる方がいることを願いつつ、おやすみなさい。

 

 

最後に一言付け加えたいのですが、たとえ私は体が壊れようが、心が壊れようが「別れのプロ」として、彼女の未来にベストを尽くします。天に誓って。

 

 

LOVE

 

 

 

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8件のコメント

  • ペータとシータ

    こんにちは。幸せの703号室を読んで、自分の気持ちと重ねて苦しくなりました。ハハ様が言っていることは丸ごと同感で。最近、切ない無いことが多くて、これまた食中毒まがいの発熱に倒れたり、心身ともに私も疲れていたと、床に伏せて初めて気がつきました。自分の大切なものを守ったり、信念を貫くには何より、心身健康でなければならないと身に染みています。私の周りにある心痛いことは、ペットショップで買った黒柴ちゃんが大人になったら家の外に出され、それぞ、ハハ様が書いた忘れられた犬状態、炎天下遮るものもなく悲しい顔して繋がれている犬のこと、
    近所に子猫が捨てられたという情報から2ヶ月経つけどまだ捕まえる段取りが付かないこと、うちにいる猫たちが保護猫をきっかけに仲が悪くなってしまったこと、近所の一人暮らしのおばあちゃんが飼っていた犬が盗まれたこと、ハハ様がべべちゃんを失い苦しんでいること、、税理士の犯したとんでもない犯罪の実態。。
    生きるとは、こういうことの連続なのだと思います。みなさん、ハハ様のファンはハハ様の体と心を心配されていると思います。ゼロより1を叶えるために、私も自分の体に向き合いながら無理をせず、焦らず、ゆっくりと問題解決に取り組みたいと思います。
    私達の道標となる、ハハ様、健康第一に考えて今は無理せずに活動してください。

    • anny703

      ペータとシータさま
      それはずいぶんヘビーな日々ですね。想像するだけで私も同じ胸の痛みがいたします。
      実際にお会いして思ったことですが、ペータとシータさまはほんとうに心が健康で思ったことを口に出す能力が高く
      実力のある素晴らしい方でした。私こそファンになってしまいました。
      お体大丈夫ですか? 少しは休んでくださいね。
      私たちは本気でゼロより1を目指す同士だから、私もペータとシータさまのお体をとても心配しています。
      ぜんぶの問題が苦しいですが、一つずつ必ず解決していくと思います。
      もし解決しない問題が残ったとしても、ご自身を堂々と誇り、休みながら、つづけていきましょうね。
      この国がまさにお互いの理想郷になる日まで、私たちは諦めませんから、まずは自分を大切に、ですよね。
      私も肝に銘じて生きていきます。ありがとう!!

  • ちょく

    お久しぶりです。こんにちは。私はずーっとウジウジ悩んでいましたが、2012年に保護猫を引き取り、一昨年には外猫ちゃんを保護し引き取りました。それも、ハハさんのブログを読み、背中を押してもらえたからです。ありがとうございました。
    昨日、2匹目の保護猫がお外時代に、外で面倒を見ていた老猫ちゃんが足にすがってきました。普段はない行動です。
    子どもに連絡し、ケージを持ってきてもらい、病院に連れていきました。
    2匹のお世話になっている病院です。
    エイズはマイナスでした。
    しかしながら、皮膚内に巣食うダニにやられていて、2匹と完全隔離しないとすぐにうつる、優しいのはいいけど、今いる家族の猫達を一番に考えなきゃダメだよ、と言われてしまいました。現在、玄関横のシューズクローゼットに、靴など荷物を退けて入れています。
    しかしながら、これでは不完全との事。換気なし、下部が少し隙間ありで、隔離にならないと。
    自宅で隔離できないのに、二匹にうつしてまで感染力の強い子はおけないよ、外に返すのを僕は非情とは言えないと言われました。
    家族は台風が過ぎたら戻してと言います。
    二匹を守りたいからです。
    注射治療、隔離を続ければダニは治るそうですが、老猫で腎臓が悪くステージ3だと血液検査ででました。
    私はどうすれば良いのか、我が家では隔離部屋がつくれないので、外に返すしかないでしょうか…。もうグルグル考えすぎてフラフラです。ハハ様が悲しむ顔が浮かびます。でも、相談相手がいません。すみません、愚痴です。

    • anny703

      ちょくさま
      病院に隔離して治療させるなどはできませんか?
      治療費がかさんでむずかしいですか?
      自宅で隔離をする必要はありません。
      隔離ができるなら友人宅や動物病院やどこでも可能です。
      隔離した後に治るものでしたら、隔離するスペースがないことに軸を置いて悩まず、隔離するスペースを自宅ではなく
      外に求めてはいかがですか?
      もちろん、外に放すものアリだと思います。
      それを決めるのはちょくさんです。
      ご自身の後悔のないよう力を尽くしてくださいね。
      とても苦しいでしょう。よくわかります。
      私もいつも孤独でいつも頭を悩ませる問題が山積みです。
      ですが、私は自分が後悔しないことを一番の念頭に置き、行動しています。
      最も重要なのは、ちょくさまの「後悔しないこと」でそこにたどり着くまで多大な力が必要でしょう。
      でも私なら友達に泣きついてでも、隔離スペースを確保します。
      一生治らないなら無理かもしれませんが、治療をすれば治るものでしたら
      そうします。あるいは動物病院に相談し置いてもらえないか打診します。
      一軒に断られたらもう一軒連絡してみます。ダメなら3軒目に連絡します。
      金銭的なものを相談しながら決めていきます。
      でも繰り返しますが、リリースもありです。
      すべてはちょくさまの後悔のない形で解決することを切に願っています。

      • ちょく

        ご多忙中、また療養中にもかかわらず、御返事いただきありがとうございます。涙涙で、泣いています。お世話になっている動物病院からは断られてしまいました。入院している子が、小さな動物病院にたくさんいるからです。何件か相談してみたのですが、断られてしまい、気持ちが挫けてしまいました。でも、自分が後悔しない行動がとれるよう、気持ちを落ち着けてから考えてみます。この世の終わりみたいに思ってました。でも、大変なハハ様に御返事いただいて、泣いてしまいましたが、再度チャレンジしたいと思います。ありがとうございます。ありがとうございます。本当にありがとうございます。

        • anny703

          ちょくさま
          私の住んでいる地域から遠くないようだったら私もいくつかの病院に相談してみることはできます。
          基本的にちょくさんと病院の交渉になるけれど、間に立つことは不可能ではありません。
          今もなお困っているようだったらコメントください。
          そしてがんばってください。
          道は必ず開けます。開くのはちょくさんです。ちょくさんなら開けます。

  • らむりむママ

    にゃっ展1日目の「教えてアンニイさん」に参加させていただいた柳田です。
    幸せの703号室に出会うまで、“保護とかされてる人はすごいなー。私にはできないけど”そう思っていました。
    でも、アンニイさんの「誰にでもできること」の言葉や、里親さんの中にも個人で保護やTNRをされている事をその方のブログで拝見して、自分は逃げてることに気が付きました。 
    アンニイさん自身の今まで保護・譲渡されてきた数もスゴイですが、アンニイさんの姿を通して自分もやってみようと思って行動にうつした方もたくさんいると思います。私はまだまだこれからですが、娘に手伝ってもらって、近所の公園のにゃんこのTNRをなんとか進めようと今計画を練っています。
    アンニイさんの真摯な言葉や行動は、接した人に多大な影響を与えています。実際の保護だけでなく、アンニイさんの一言一言が啓蒙活動であり、保護活動の裾野を確実に広げていると思います。

    • anny703

      らむりむママさま
      なんて嬉しいコメントですか。お返事が遅れましたが、読んでほんとうに舞い上がりました。
      お話会ご参加ありがとうございます。こう見えて人前だと緊張するタイプで失礼しました。
      でも緊張のタガが外れるともう言いたい放題モードになってしまうという^^;
      保護活動はだれにでもできます。TNRもです。
      私の地元の里親会の方は昔、お給料が少なかった時期、1か月のお給料が出たら1匹不妊手術をするというノルマを自分に課しながら
      TNRをはじめたそうです。間に合わず生まれてしまった子たちもいるようですが、2匹、3匹一気にやるお金がなかったから
      ペースを崩さず、1匹ずつ、メスを優先にTNRをひとりでつづけていました。
      そうしたら数年後、すべての猫が地域猫になり、そこから新たな命は生まれなくなりました。
      生まれても飼ってくれる人がいなければ猫は幸せになれないから、生まれなくなったのはベストだと思います。
      人それぞれのキャパシティがあります。キャパシティと向き合い、自分にできること、できないことをしっかり認識し
      問題に取り組むべきだと私は思います。
      お互い頑張りましょうね。
      近所にゃんこたちがゼロより1のペースでTNRされることを祈っています。そしてお疲れさまです。

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