タカコノカタミ


今日は自分の為の日でした。午前中に掃除を完璧に終わらせて、いつもはあまり手をつけないお風 呂場もピカピカに仕上げました。バイトまで時間があるので、午後2時間くらいお昼寝しちゃおうとベッドにもぐりこんで20分くらい、ようやくウトウトしだ した頃、電話が何度も激しく鳴りました。もうやだ、無視しちゃおうと思っても、ベルはしつこい(涙)。

電話の相手は土手に住むホームレスでした。
「リルを預かってくれ、体が悪い。2ヶ月くらい施設に入るから頼むよ」

すっ飛んで土手へ向かいました。

リルは、以前1回登場したことがある犬です。ナナの死んだ姉妹タカコが命を懸けて産んだ女の子。ナナの姪。血が繋がってるだけでなく、一緒に土手で過ごしていたこともあります。現在3歳5ヵ月。

以前の記事をご覧になりたい方はnana1nana2nana3をご覧ください。長いですが、ナナやリルの歴史が書いてあります。

ここに居ました。


ここで生まれ、


ここで育ち、


信じられないくらい沢山の苦難を越えて来た。


越えて生き延びて待っていてくれた。


私を信じて待っていてくれた。


リルを飼ったホームレスは、私を信頼していましたが、あまりの可愛さにリルを引き渡すことを断固拒んでいました。ここに書いても、この苦労は理解してもら えないかもしれませんが、私は3年5ヵ月、リルが生まれてからずっとリルを保護することを考えていました。ホームレスからリルを盗むことも何度も何度も考 えました。
でも、私が盗んだと分かったら土手へ通って他の犬達にフィラリアの薬を届けたり、フードの支援を続けることが出来なくなってしまう。信頼関係が破綻してし まうから……。だから、じっと待つしかなかった。待っている間に、リルが火事に巻き込まれて死んだり、脱走して車に轢かれて死んだりすることを覚悟しなが ら、心のどこかで覚悟しながら待つしかありませんでした。それ位私は、無力な人間です。

私は、用事があるとき以外土手へ行きません。行くたびに心が沈んで苦しくなるから。でも、チチはたまに自主的に行ってくれます。土手犬達の顔を見て、おや つを届け、元気な姿を確認してお散歩へ連れて行く。夫婦でありながら、強いなと感心してしまいますが、そんなチチでも最近はリルの所を意識的に避けていま した。

「何故行ってあげないの?」と聞くと「会うと苦しいから」と返ってくる。私の方は、返す言葉を失います。だって私も会うと苦しい、何も出来ない自分に苛立ち、少しばかりの強い心は、リルの苦境の前に崩れてしまうから。

ホームレスが、リルを手放したのは奇跡。
少なくても私にとっては。。。

「2ヶ月したら返してくれ」と最初言われましたが、「なら引き受けないわ。他をあたってちょうだい。私に預けるなら、リルの一生を私にちょうだい」と賭けに出てみました。内心はバクバク。でも、ここで半端な約束を交わすわけにはいきません。リルのために。

「……。あんた以外に信じられる人間は居ない、俺には居ない。だからリルをお願いします。俺はもう、一生リルの前に現れないよ」ホームレスはそう言いました。「約束してよね」念を押してリルを連れて帰りました。

リルを連れてくることが分かっていたら、お風呂場なんて掃除しなかったのに! あああ、これからリルを洗って、夕方お散歩へ行って、片づけをしたら、昼寝 どころか紅茶も飲めないじゃない。そしたらバイトだわ。そんな現実的なことを考えながら帰りました。お風呂から出たリルは家の中を嬉しそうに探検して、 ケージに入れてもいい子にしていました。私の願いは叶った。3年5ヵ月経ってやっと叶った。そしたら無性に明日から施設へ入るホームレスが気になりまし た。勝手なことばかりして、リルに淋しい思いをさせて、それでもリルを手放そうとしなかったホームレス。

少しのお金と亡き父の洋服とお守りをかばんに詰めて、もう一度ババ(母)と夜の土手へ向かいました。痩せこけた体を見るとつい、やるせない気持ちになる。 私も人間ですから、目の前の病人が、唯一心を許せる存在のリルを失うことがどんなに悲しい事か、土手で過ごす最後の夜に、リルが横に居ないことがどんなに 淋しいか、少しは分かるつもりです。

けれど、リルはナナの姉妹、亡きタカコの忘れ形見。正直、その事実の方が私には大切。リルを幸せにしたい、リルを土手から出したい、そう思ってきましたから……。

タカちゃん、やったよ!ありがとう!
絶対にリルを幸せにするからね!天国から見守っててね!

ジャックのお届けの様子、あきさんからまわってきたバトンは次回以降になっちゃいました。リルの様子もあわせてお楽しみに~♪

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