NANA3 祝福


ナナを迎えに行ったのは、今から3年前の11月7日(イイナナの日)。前の日は、ひたすらべべのご機嫌を取り、長い散歩へも出かけました。

いい? スゴイのが来るよ。べべはいい子にしててね。目立たないように」べべはジャックラッセルテリアの中では比較的温和な性格で、フレンドリーなのでそれを信じてみることにしました。相性が……とか言ってられませんから(笑)。

午後は出社しなければならなかったので、午前中にKさん、Iさん、ハハ妹と一緒に迎えに行きました。いつものようにけたたましく威嚇され、どう近づこうか と考えていた時、Iさんがナナに噛まれ、手から血を流しました。苦笑いで患部を押さえていましたが、どうみても痛そう。でも、私に恐怖感を与えないよう に?「大丈夫よ。歯が当たっただけ」と言いました。いや、違うだろう……。どうみてもそうじゃなかったよ……。私とハハ妹は、震え上がる思いでした。

誰も触れないので、ホームレスの手を借りることにして、何とか土手から出しました。車に乗せるとすぐ犬の美容室へ。私はその時点で、出社します。あとはナナがシャンプーを終えた頃、私以外の3人に迎えに行ってもらい、狭い我が家へ入れる。勿論ケージの中に。

それだけのことなのに、会社で妙な胸騒ぎを覚え、ハハ妹が心配になりました。KさんIさんは忙しい。ナナを送り届けたら帰ってしまう。ハハ妹一人で大丈夫 かしら? ナナに噛まれたりしないかしら……。終業のチャイムと同時に会社を飛び出し、奮発してタクシーで急いで帰ると、ハハ妹はせんべいをボリボリ食べ て、ゲラゲラと笑ってTVに夢中でした。呆れてケージを覗くと元気のない犬が1頭。震えっぱなしです。

「ナナコ、ただいま」
想像よりおとなしい子でした。
名前はもう決めていました。キクチナオコ(指名手配者)のナオコ? 冗談じゃない! でもナオコで反応するのでチャッピーとかはダメだわ。もう1歳8ヶ 月位だし。あ! 松嶋奈々子! 美人さんだからピッタリ(オヤバカ)。ってことでナナコ。それからしばらくして「コ」を取り、べべと揃えて二文字の「ナ ナ」にしました。

ナナは、何にでも怖がる仕草を見せました。素直に怖がることもあれば、威嚇の後ろに恐怖心を隠すこともありました。土手から一度も出たことがないので当然 の反応です。車、雑音、フローリング(3ヶ月以上一歩も歩きませんでした)、人……。もう何でも。チチ、私、ハハ妹以外は全員威嚇の対象。とにかく唸って 吠えまくる。凄かったです。その癖は今も完治していません。ナナの心を癒すのには長い時間がかかりそうです。そして、重度のフィラリアでした。獣医からは 重度のフィラリアだから軽く散歩する以外はなるべく安静で、一生走らせるのはやめたほうがよいと忠告されていました。
けれど、そんな忠告は無視です。夜中、誰も居ない時間帯にドックランへ連れて行って走らせました。走ってるナナはとてもきれいだし、それに何よりイキイキとして楽しそうだったから……。まあ、心臓への負担を考え、注視しながらでしたが……。

土手へ行くのは避けました。土手の方へ行くと土手へ帰る素振りを見せて暴れたり、逆に土手から逃げる素振りをしてみたり……。荒れる心は十分に読めまし た。だからナナが楽になるまでは土手から一切離れたコースを歩かせていたのです。それから、べべとの相性ですが、これについてはもうべべに感謝する以外、 言葉が見つかりません。わがままな一人っ子だったべべは、1度大喧嘩しただけで(べべの負け)あとはナナの存在を私達以上に受け入れてくれました。

亡き父が、癌になったと知って半年過ぎた頃、ナナがやってきました。当時の私は、父の看病と、いつか自分の家を持って大家さんに気兼ねすることなく犬猫を 保護すると言う目標を達成させるため、昼夜働いていました。常に眠かったです。夜のバイトが終わって家に帰るのは、11時過ぎ。毎日ホトホト疲れていまし た。だからナナには、沢山の我慢をさせたし、何よりお留守番地獄を味わせてしまいました。けれど、ナナの心に刺さってしまったトゲは、私が必ず抜いてみせ る。1本残らず抜いてみせる。ナナが最初に来た日にそう約束したのです。

最初の日、ケージの中に入ってその体を撫でました。撫でるまでは噛まれるかと身構えていましたが、撫でたらその体温の温かさに驚いて、とても感動しました。

「ナナコちゃん、あったかいね」
ガリガリに痩せこけた体を撫でながら、ナナがこの世に生まれてきたことを存分に誉めました。ナナがこの世に生まれてきたことを祝福した人間は多分一人 も居ませんでした。だから私がいっぱい誉めてナナのいのちを祝福しよう。そう思って一緒に暮らしてきたのです。里子に出すことも考えましたが、不良な?性 格を矯正しようと頑張るうちに時間が経ちすぎ、時間の経過と比例する深い愛情に邪魔され、手元に残してしまいました。ナナは、人間の事を極端に怖がった り、威嚇したりしますが、犬や猫にはとても優しい女の子です。かつてタカコの子を守ろうと一生懸命だった姿を思い出すと、その優しさが良く分かります。子 犬の頃は控えめで、遊びまわる兄弟を羨ましそうに遠くから眺めていました。そして構ってもらうといつまでも尻尾を振り続け、兄弟の後を追って歩いていまし た。ナオコ時代は、「受難」の一言。けれど今までの3年間と、これからの未来は違います。私はナナを愛しています。命を懸けて愛しています。愛することは こんなにも幸福なことなのだと教えてくれた女の子と一緒に暮らしていける喜びを噛み締めながら……。

私が、自分の両手を使ってこの活動を始めたのは、土手で1頭の子犬に出会った日からです。今まで、苦 しいことが沢山ありました。多分これからも、苦しい日は多いでしょう。けれど、その子犬と出会った事を後悔したことは1度もありません。今、新たに里子を 迎えようかと悩んでいる方、目の前にいる恵まれない子に手を差し伸べようかと悩んでいる方、そして自分には一体何が出来るのだろうと考え始めた方、私が やっていることは大変ですよ。里親になることは大変ですよ。いのちと向かい合うことは大変ですよ。でも、私はやめません。何故ならその苦労を超越する幸福 感を知っているからです。幸福が体の中まで染み込んで、人生の豊かさを知ることができる。いのちに手を差し伸べる意味は、そこにあります。

土手でリュウの他に生き残っているナナの兄弟(コロン・ゴクドウ)


奥に写ってるナナ似のゴクドウは、ナナ以上に不良ですが、最近ようやく触れるようになりました。でも、笑った顔はやっぱり天使ですね♪

土手の犬、3本足の母犬(既に死亡)から生まれたチビとロン


そして、今日のナナ

 

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