七色 2、出産


3月5日の金曜日

 

 

数週間ぶりに仕事が休みだった私は、保護猫信くんの病院の送迎以外はのんびり家で寝ているはずでした。なのに朝7時すぎに赤ちゃんの産声でハッと目が覚めたのです。

 

 

それからはもう、アドレナリンの分泌が止まらない1日となりました。

 

 

●3月1日七色が我が家に移動

 

●3月4日七色の食欲が少し落ちる(猫は出産前は食欲が落ちる傾向があります)

 

 

七色はいつ赤ちゃんを産んでもおかしくないほどお腹が膨れていたのですが、正確な出産日はわかりません。前回も書いたとおり、私は病院からのアドバイスやネットで仕入れた知識を自分の中に詰め込み、ドキドキとその瞬間を待っていたのです。

 

 

私がいちばん恐れていたことは、母猫が子猫を殺すこと、子猫を食べること。

 

 

ピンとこない方もいるかもしれませんが、一定の割合でこのようなことが起きるのです。

 

 

私も昔、レスキューに入った多頭飼育崩壊現場で、その劣悪な現場の主だった女性に「父猫や母猫が子猫を食べちゃうから困る」と聞いたときは、自分の耳を疑いました。

 

 

けれど調べてみると、決してめずらしい話ではないのです。もちろん、すべての猫がそうだとは言っていないので誤解のないようお願いします。

 

 

保護したばかりの七色の育った背景や性格を私は知りません。

 

 

七色は近づくと全力で空気砲を放ってくるレベルで私に怒っていました。

 

 

お腹に赤ちゃんがいてナーバスになっているのだからあたり前ですよね。

 

 

何年も共に暮らしている飼い猫ならフリーにできますが、703号室に来て数日でフリーにして子猫を産ませることは私の環境ではむずかしい。だから七色にはケージに入ってもらったのですが、出産するにはケージが狭かったなと深く反省しています。

 

 

考えてみれば、倉庫に巨大な犬用のケージが眠っているのだから、それを引っ張り出せばよかった。七色と赤ちゃんたちには何度も謝りました。私の配慮が足りなかったです。

 

 

ケージは敢えて一段にセットしました。平地のほうがいいと病院に聞いていたのです。

 

 

知っている方の実体験をお話しすると、ケージの2段目のハンモックに子猫を1匹置き忘れた母猫に、人間がハンモックから子猫を取り母猫に返したところ、母猫がその子猫を食べてしまったのです。ほかにも数件、似たようなことを伺っています。人間が子猫をベタベタさわったり、子育てにやたら干渉すると、母猫は(人間のにおいのついた)子猫に対する興味を失い、育児を投げ出すケースも。

 

 

母猫は子猫を「においでも識別する」といわれているので、人間のにおいがしみこんだ子猫を異物として排除したのかもしれません。これも人間に対する信頼度の差や、母猫の個体差があるので、総括したものではないことをつけ加えさせていただきます。

 

 

また、人間が関わらなくても、障がいや病気を持って生まれてきた子猫を母猫が放棄することもあるので、必ずしも人間だけが原因ではないのも併記させてください。

 

 

とにかく私は、過剰に見てはダメ、触ってはダメ、手を出すのはダメ、七色を高い場所に上がらせるのも控えよう、ダメ、ダメ、ダメ、とがんじがらめの精神状態になり、結果として、ふつうの猫ケージの一段のスペースしか七色に与えられなかったのです。多少動きまわれるようにと、いちおう箱型の猫ベッドを入れたのですが、七色は箱型のベッドではなく、トイレで出産してしまいました。

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慌てて箱型のベッドを(動画でキャリーハウスの中でお乳をあげている猫を見たので)キャリーハウスに変えたのですが、七色と赤ちゃんたちはトイレから出てきませんでした。

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私は砂が入っているのが気になってしょうがなかったです。

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ああどうしよう。一家をトイレから出したい。

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(保護直後に試しにやってみたところ、七色はペットシーツで排泄しなかったのですが)根競べをしてでもペットシーツを敷いておくべきでした。ペットシーツなら砂が気にならないですものね。

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すぐにキャリーハウスをやめ、大きなベッドをケージに戻すと、七色はいつの間にか赤ちゃんたちを連れてベッドに移動していました。現在も授乳に使用している広々としたベッドです。

 

 

その姿を(遮光カーテンを閉め切った)暗がりで確認してちょっとだけ安心しました。

 

 

そして唸る七色のケージにカバーをかけ、目を離すことにしたのです。

 

 

子猫たちを明るい場所で隅々までチェックしたい。みんな大丈夫だろうか?

 

 

胎盤に猫砂がついていたら七色は胎盤を食べないかも。臍帯は無事に切れているかな?

 

 

病院にも何回も電話をかけまくった私。

 

 

各種の不安が脳内を駆け巡ったのですが、いじってはダメ、という呪文に縛られ、なんとか半日がまん。その間、赤ちゃんたちのお乳を吸う音が聞こえていたのが唯一の救いです。

 

 

そして午後、七色がお水を飲みに行った隙に偶然ケージを覗いた私は唖然……

 

 

4匹の赤ちゃんのうち、3匹の足がそれぞれの臍帯で絡み合い、連なっている。

 

 

胎盤をそれなりに食べた形跡はあるけれど、七色は臍帯を4匹中1匹分しかちぎっていない。ほかは1匹を持ち上げたらそのまま3匹が連動して持ち上がってしまうような状態。

 

 

え……これはマズい。

 

 

実は前に病院で同じ状態の乳飲み子たちを見たことがあるのです。

 

 

運び込まれた乳飲み子たちは残念ながら虫の息でした。

 

 

外で出産した母猫が臍帯を切りそびれ、臍帯同士が乳飲み子たちに巻きつき、血流の止まった1匹の乳飲み子の足(腿から下)は、すでに壊死して真っ黒でした。そのシーンを鮮明に覚えている私は、同じような状況を前に、「子育てにノータッチ」などとは言っていられなくなったのです。

 

 

臍帯をハサミで切って赤ちゃんたちを解放しないといけません。

 

 

怒る七色から4匹の赤ちゃんを毛布ごと取り上げ、煮沸消毒をしたハサミでチョキ、チョキ、チョキ。切り終えたあと、間髪を入れずに赤ちゃんの包まった毛布を七色に返しました。

 

 

七色はどんなリアクションを取るのかとハラハラしていると、自由の身となった赤ちゃんたちをかいがいしく舐めているではありませんか。おお、よかった。赤ちゃんたちをかわいがってる♡

 

 

臍帯を切った直後の写真

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もし七色が外で出産していたら、ケージの中じゃなかったら、ちゃんと臍帯をちぎっていたのかな? それともやっぱりちぎっていなかったかな? 全部想像の域を出ないので、どうなっていたかはわからないのですが、(ケージが狭かった、トイレをペットシーツにしなかったなどの)反省すべき点はしっかりと反省し、謝罪すべきところは七色や赤ちゃんたちに(言葉と行動で)謝罪し、今後につなげていきたいです。加えて、絶対に介入すべきではないという固定観念を捨て、必要最小限、臨機応変に対応できた部分は自分をじゃっかん評価したいです。

 

 

ちなみに現在も同じケージを使っていますが、あくまで出産には狭かったのであって、授乳するには落ち着いた空間だと思います。あと1週間くらいしたら、安全対策を施した犬用のケージに一家でお引越しをする予定ですが、それまでは環境を変えずにそっと見守る所存です。

 

 

皆さまご心配くださりありがとうございました。

 

 

成長記録の写真を撮りたいのですが、まだあまり刺激したくないので気長にお待ちくださいね。

 

 

まとまらない文章をお読みいただき感謝しています。

 

 

LOVE

 

 

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