トロンの譲渡を昔の自分に見せてやりたい


「みなさまこんばんは。家族募集中のポテチです。ぼく? への抽象的な質問は来ましたが、お問い合わせはナシ。ぼく家族がほしいのです。ぼくを集中的にアピールすべき時期ですが、今日はハハにマイクをわたすことに」

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「犬猫と関係ないころの話からスタートだそうで、興味のない方が圧倒的に多いと思いますのでスルーしてください。ぼくに会いに来てくれたぼくファンの方は一つ下の記事からさかのぼって読んでくださいね。おねがいします」

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ポテチごめん。ポテチの魅力はじわじわ広がっているから心配しないでね。またいっぱいポテチネタでアピールしよう。

 

 

 

ポテチの言ったとおり、今日は保護活動と関係ない内容からはじまります。

 

 

お時間のある方だけで充分です。

 

 

なつかしい自分との対面。昨日のできごとを、16年前の自分に見せたくて、ブログに書いてみようと思い立ちました。恥ずかしくなってあとで消すかも? ですが、とりあえずいってみよう!

 

 

貧しかった少女時代を経て、私は貧しいまま女学生になりました。

 

 

「アンニイ」という名がめずらしいからか? 理由はなんだかわかりませんが、声をかけてもらう機会が多く、私には大勢の友だちができました。

 

 

友だちは当然のように親に学費を払ってもらえます。おこづかいをもらえます。バブルの最中ゆえ、裕福な家庭の娘や息子ばかりで、中には親の高級車を乗りまわし、親のカードで服を自由に買える友人もめずらしくありませんでした。

 

 

私はといいますと、虚栄心だけは強く、みんなと同じステイタスである風に装いながらも実は築35年の狭い団地住まいでアルバイト三昧。高校、短大の自分の学費を払うためには、遊ぶためには、みんなと似た服を着るためには、かなりの無理をしなければなりませんでした。でも当時は、そうしたかったんです。

 

 

短大時代かな? 二十数年前の古びた写真

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ごまかしにごまかしたおかげで、なんとか化けの皮はかろうじて保っていました。

 

 

そんな私に大きな転機が訪れたのは1度目の結婚です。まるで本物のシンデレラになったようなゴージャスな暮らしぶりでした。

 

 

チチも全部知っている内容なのでご心配なく(笑)。

 

 

年上だった前夫は苦労の末自分の実力でのし上がった方で、裕福かつ正義感が強く気配りのじょうずな男性でした。非の打ちどころがないのです。

 

 

旅行へ行きたいというと、どこにでも連れて行ってくれました。

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パリの凱旋門にて

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車をねだると、新車でジャガーをプレゼントしてくれました。

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犬がほしいと話すとちゃんと飼うのを条件に買ってくれました。それが亡き愛犬べべ公です。生後5か月のべべ公と派手なお母さん

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私は憧れの生活を手に入れました。裕福はもう「フリ」ではなく、実物です。私はべべ公を連れ愛車でよく出かけました。実家のそばにて。妹にリードで引っ張られてるべべも写ってます。

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物理的に豊かな毎日。陰で小銭を勘定しなくても、カードのキャッシングやリボ払いに頼らなくても生きていけます。不自由はありません。

 

 

なのに「これでいいんだ」と感じていた絶頂で、私は犬猫の殺処分の現状を知り、実家のそばの河川敷で捨て犬猫たちに出会ったのです。

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奥に写ってるのは703号室で私が看取ったゴンタですよ。かわいいなあ♪

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16年前の犬猫の事情はほんとうにひどく、私は満たされていたはずの日々にちがう次元のなにかを感じはじめました。自分自身の姿に違和感を覚えたんです。

 

 

もう、べべ以外はなにもいらない。家もジャガーもカバンも靴も。

 

 

自力で地面に立って、河川敷の犬猫たちと向き合い生きていきたい。

 

 

そうして私は、離婚を選択。前夫が私の思いや活動に反対したのではなく、うまく説明できないのですが、私は地に足をつけたかったんです。

 

 

原因は私にあり、私が悪いので離婚にあたってはなにも要求しませんでした。好きだった家具を2~3個と少々の衣類とべべを、借りたハイエースに積み、私は家賃5万円のペット可のアパートへ。

 

 

離婚後、空っぽに近かった私の預金通帳に前夫は70万円を振り込んでくれました。今振り返っても申し訳ないことをしたと心から思います。たいせつにしてくれた方を私は傷つけてしまいました。すべては私の至らなさです。

 

 

幸い、派遣社員ではありますが、いい職場とめぐり合いお世話になり、ひとり暮らしでもべべをギリギリ養っていけました。

 

 

デスクにべべの写真を飾り、定時になるとスッと帰る。べべがアパートで待ってるから会社の飲み会もめったに参加しない。親切な職場の方々のおかげで、べべとの共存がどうにかできました。加えて、土手犬たちの医療ケアや食事の差し入れや保護譲渡もこなせるようになりました。ブログもなにもやっていない時代です。地べたを這うような生活でしたが、私自身の力で、私のやりたいことがやれている。生まれてはじめて味わう深い幸福感。

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活動の直接のきっかけを与えてくれた元土手犬リュウ。6年間土手で生き抜き、ようやくリュウを飼っていたホームレスさんと折り合いをつけ私が保護。以後9年以上立派な家庭犬として生き、家族に愛され天に召されました。ナナのきょうだいです。先日天国のリュウから届いたカード^^

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私は自分の選択にいっさいの後悔をしませんでした。無我夢中で不遇な犬猫のスーパーマンになろうと努力しました。犬猫のためではなく、私自身のためです。

 

 

けれど古い友人らの目に映っていた私は、「憐れで愚か」にちがいなかったでしょう。

 

 

現実、たまに友人らと会ってもそもそも会話が成り立ちませんでした。

 

 

オシャレなスポットやファッションの話に私はあくびを連発。私の語る理想的な犬猫の社会の未来図に友人らは首を傾げ鼻で笑い飛ばしてきました(苦笑)。

 

 

16年前の「里親探し」は、家族募集サイトや譲渡会の普及した近年と異なり、至難を極め、私を苦しめました。だれも私の保護犬猫をもらってくれないのです。

 

 

私は「売れない新人営業マン」がするように、身内や友人らに電話をかけまくり、「犬もらって! 猫もらって!」と懇願。

 

 

冷静に考えれば無謀だっていうことはわかります。友人らも私と同様20代後半そこそこ。社会人として勉強を重ねている最中でほとんどが実家暮らし。友人らの意思で簡単に犬猫を飼うことはできません。環境すら整っていない。

 

 

だけど私は淋しかった。悲しかった。

 

 

こんなにお願いしているのに、不遇な子たちなのに、どうしてだれも私の話を聞いてくれないの? みんなはこの子たちがどうなってもいいの? と。

 

 

住む世界が変わると、友情にもヒビが入るようになるんですね。

 

 

私はいつの間にか友人らの輪からそれとなく抜け、働きつづけ、里親募集サイトと出会い、そこに自分の保護犬猫らを掲載し、譲渡。ブログをはじめ、自分の道をひたすら進みました。チチとの結婚。ガンの克服。レギュラーメンバー、べべ、ナナ、かつを筆頭に703号室を構え、チチと共に多くの卒業生を送り出してきたのです。

 

 

30代後半まで、古い友人らとはせいぜい年に1度会うかどうかの関係になりました。会っても相変わらず空気に馴染めず、ほんのり惨めさを持ち帰るだけ。

 

 

しかしここ数年で、フェイスブックを通じ、旧友らと再度繋がりました。お互いの近況が画面上でわかるようになると、状況がじゃっかん変化。

 

 

譲渡に自信がついた私は、オンとオフの切り替えができるようになり、みんながいる場所に顔を出しても公私混同をしないと言いますか、犬猫の話をせずに楽しめるようになったのです。

 

 

友人らのする仕事の話も、恋愛の話も、子育ての話も、ファッションの話も肯定的に耳の中に入り、自然に笑える自分を見つけました。

 

 

きっと私に余裕が生まれたんですね。

 

 

こうして友人らと再び円滑な人間関係が築けるようになっただけでもありがたいのに、この度、私の友人夫婦が私から保護猫の譲渡を希望。なんと譲渡が叶ったのです。友情割引はナシ。友人は脱走防止対策をやりはじめ、環境が整い次第、みじゅ改め「トロン」が703号室から友人宅へ巣立ちます。

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友人に子猫を譲渡する、1行で済むことをダラダラ長く書いてしまいました。

 

 

読んでくださった皆さまはうんざり辟易でしょう。ごめんなさい。

 

 

でも私は、感無量です。

 

 

辛かったことも含め、譲渡活動をつづけてきてよかった。報われた。

 

 

昨日は全身でそう思いました。

 

 

万物に感謝して。

 

 

LOVE!

 

 

 

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8件のコメント

  • みんみん

    素敵なお話をありがとうございました。

    • anny703

      みんみんさま
      こちらこそありがとうございます。卒業記事は少し時間がかかりますがちゃんと整理してお届けしますので気長にお待ちくださいね^^

  • こんばんは、ゆです。
    読んでいる間、気を抜くと涙が出そうで、それがどう感じたからなのか、なんとも説明しづらいのですが、一番しっくりくる言葉が、同じく「感無量の気持ち」です。

    河川敷の犬猫を知り、強い衝撃を受け、居ても立ってもいられない強い衝動に駆られ、それを自分の力で、これから向かい合うものと近い場所、同じ目線に立ち、腰を据えて実行したかったのですね。

    友達とまた楽しい時間を過ごせる様になった事、そしてその一人が、アンニイさんからと希望してきてくれたこと、本当に良かったですね!もの凄く嬉しいですね。

    そして、映画の様なシンデレラストーリーの主人公だったんですね!!(ジャガーの新車すげー!)
    前の旦那さんもとても良い方だったんですね。
    アンニイさんはこれからも、良い方々に出逢えていくだろうなぁと感じます。それはアンニイさんが素敵だからですよ!
    人で傷付くことも多いと思いますが、少なくともその倍以上は味方となる方々がいつもいるので、あまり傷付かないでいて欲しいと、いつも願っております。どうしたって傷付いちゃいますけどね!

    なんだか妙な感じになってきた様な気がしてきましたし、論点もずれた気が致しますので、この辺で失礼します。
    あ!丁度、たまたまリュウの過去の記事のうちの一つを読んでいたんですよ~!

    • anny703

      ゆちゃん
      私はゆちゃんが大好きです。ゆちゃんは私の気持ちを100%に近いほど理解してくれる女性です。
      ゆちゃんに出会えて幸せです。美しく(歳だけど私よりは)若い美人のゆちゃんに気にかけてもらえて幸せですし
      ゆちゃんをとても尊敬しています。ゆちゃんの行動が、生き場のない複数の猫を救ったからです。
      そうそう。私にも若い頃があり、貧しかった反動でリア充? 金持ち? に対する一定の憧れがありました。
      そこにステイタスを見出していたのです。いい暮らしがしたかった。いい物を身につけたかった。
      昔はそうだったので、それを恥ずかしいとは思いません。今振り返ってもそのために努力をしたし、結果素晴らしい男性とめぐり会い、一時ですが家庭を築き、ほしかったものがすべて手に入りました。
      でも、手にした瞬間にべべと出会って、私は変わりました。
      べべが幸せそうに笑っている間、土手の犬たちは機嫌の悪いホームレスに蹴られていました。
      同じ犬であるのにどうしてこうも格差が生まれるのでしょうか?
      リア充のべべと土手の犬のちがいはなんだったのでしょうか?
      焼死や餓死をした土手犬も多くいました。ナナのきょうだいたち3頭がそうやって死んでいったのです。
      ほかにも数えきれないほどの犬猫たちが土手や街はずれで命を落としました。
      私はそこにほんとうの居場所を見つけ、そう、ゆちゃんが言ってくれたように
      地に足をつけて自分の力で彼らと同じ目線で一から人生をスタートしたかったのです。
      前の夫は一度も反対をしませんでした。私の言うことはだいたい「君が思うようにやったらいいよ。ぼくは全力で応援する」と言ってくれていた方でした。でも私は、前夫の経済力や力で土手の犬をどうにかしたかったのではなく、私自身がそこに根づくことを選んだのです。
      説明するのがむずかしい気持ちです。
      でも今も素敵なスポットやオシャレに最低限の興味はあります。
      30代後半まではほとんどすべてユニクロ以下でしたが、今はファッションにもほんのちょぴっとだけ気を配りたいなあと思えるようになりました。自分の力と稼ぎでのし上がり、自分の夢を叶え、かねてから興味を持っているファッションや家具をがんばって少しずつ手に入れられている「今」にとても感謝しています。
      すべては壊すところから始めるんだと思います。これ以上墜ちるところがない場所からなら、あとは這い上がるしかないですものね。
      そのせいでべべには苦労をかけてしまいました。あの世でゆっくり謝ります。
      ゆちゃん、いつもありがとう。LOVE

  • 春田

    涙ぐみながら読みました。
    ハハ様の、どことなく感じるゴージャスさにも過去のお話で納得しました。自分の足で立ちたい、という気持ちよくわかります。わたしもそれもあり離婚経験あります。

    友人の方への譲渡本当に良かったですね。
    これからも応援しています!

    • anny703

      春田様
      同じ気持ちを味わってきたのですね。大変なご苦労もおありだったと思います。お察しします。
      そして共感してくださりありがとうございます。
      どことなくゴージャスな雰囲気が私から醸し出されているのでしょうか?
      そうだとしたらうれしいです。大昔の名残ですかね? 少しでも昔の自分の軌跡が残っているとしたら
      歳を取るのも怖くなくなりますね。
      自分の人生に一寸の後悔もありません。ただ前夫を傷つけたことだけは心底申し訳ないと思っています。
      私は今とても幸せです。
      いつも応援ありがとうございます。とても励みになります。

  • mi-goro

    ハハさま
    お気持ちよくわかります。
    保護活動をしていると、学生時代の友達とは疎遠になってしまいます。ましてや私は距離的にも遠くに引っ越したので。
    私はフェイスブックでも繋がってません。だって一番よく書く単語が「犬のウンチ」だと繋がるのが悪くて(笑)!
    一番の親友は生粋の犬嫌い。
    それでも彼女が勇気を出して、一昨年犬だらけの我が家に遊びに来てくれました。うれしかったです。
    また獣医になった高校時代の同級生が、誰からか私が保護活動しているのを聞き、フィラリアやノミダニの薬を送ってくれるようになりました。助かるし、気持ちがとてもうれしいです。
    ましてや誰かが里親さんになってくれたら、それはどんなにうれしいだろうかと思います。
    よかったですね。おめでとうございます。

    • anny703

      mi-goroさま
      おお。支援してくださるお友だちや、勇気を出して犬のいるmi-goroさまのお宅にいらした親友さんのお話、とても素敵ですね。
      私も実はフェイスブックは活用しているのですが、犬猫の話はライトに書いていて、あとは他愛もない話ばかりです。
      最近やったドジの話とか、お会いした人と撮った写真とか。
      フェイスブックは主に昔の友人の視線を意識して書いているので、ブログとは違うアプローチです。
      ツイッターはタイムリーな情報を、フェイスブックは犬猫はなるべくライトに、そしてインスタは自己満で気に入った写真だけをたまに載せています。いちばんの要ははやりこのブログですね。このブログを読んでくれている友人はほとんどいないと思いますが、だからこそ自分の素直な活動への思いを吐き出せるんだと思います^^
      SNSを使い分けて生活しています。
      お互い完全に友人に受け入れてもらうのは至難でしょうが、少しずつ少しずつ輪が広がっていければいいですね。
      押しつけず、熱くなりすぎず、志を秘めながら……

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