異種の犬猫家族たちとの時間は、実は言葉を交わし合う関係より濃密かもしれません。
通じているかはわからないけれど、彼らに話しかけまくるのが私の習慣ですが、実は私が発する言葉の意味なんかより、その奥にある想い、つまりは彼らへの「関心」や「愛情」や「心配」が、彼らに伝わっているのだと感じることがあります。
私の声の調子や顔つきを彼らはよく察してくれていて、私が心身穏やかだと彼らも情緒が安定し、表情が安らかになり、口角があがるのです。不思議ですよね。
私たちの何倍ものスピードであっという間に成長して、瞬く間に年を取る。
別れたくないのに、別れなければならない。
いろんなものをこちらに遺して、フッと旅立つその背中を見送るのは本当に苦しいです。
離れがたい存在だから。
今日はお別れが二つあり、心が沈んでいます。
朝、私が17年前に保護した成犬のまめ(妹に譲渡)の「さようなら式」に参加しました。
推定18歳以上。よく生きました。まめ、お疲れさま、ありがとう。
私が昔からお願いしているお寺は私の周りの方々に支持されていて、静かな場所で弔いたいと、みんなが真似してくれます。私自身はできればあまり行きたくない場所ですけど……。
まめは手のかからないやさしい犬でした。
17年前に草加警察で出会ったまめ
収容された小さなケージの中から私を不安そうに見つめていた顔を思い出します。
まめとは数えきれないほどたくさんの思い出があります。大好きだよ。
火葬に向かう後姿を見送る瞬間がもっとも辛いです。時間を巻き戻せたらいいのに……。
妹の家に寄ってランチをごちそうになり、さて、次はみいさんちにちゃぴこの皮下補液をしに行こうと、LINEをチェックして胸が締めつけられました。
「ちゃぴ亡くなった」
え?
ちゃぴこがみいさんちの子になる前から私はみいさんと友だちで、ちゃぴこをみいさんが保護したときも、里子には出さずに自分で飼うことにしたとみいさんが決心したときも、私はみいさんのそばにいたのです。ちゃぴこが子猫の頃からよく知っています。他人事ではありません。
みいさんの心痛を想像するとなおさらです。
ちゃぴこの体調が悪化したと聞いていたのでMRIを撮りに一緒に大学病院へ行く予定を立てていました。1日に何度もみいさんと電話し、ちゃぴこの回復を願っていたのに悔しい。
かわいいでしょ? 美少女ちゃぴこはみいさん自慢の愛娘
持っていく予定だった皮下補液セットと薬を置いて、かわりに花屋へ行きました。野で摘んできたようなお花がちゃぴに似合う気がして作ってもらった花束です。
ブルーのさわやかなお花が純粋なちゃぴこにピッタリです。 みいさんちに着いたあとは、みいさんとふたりでちゃぴこを冷やしたりお寺へ連絡したり紅茶を飲んだり……
「アンちゃん私さあ、ちゃぴが大好きだった。ああ。ちゃぴの尻尾も好き。おてても好き。ちゃぴこも私が大好きだったんだよね。ほら見て、このちゃぴの写真かわいくない? この動画のちゃぴかわいくない? “ちゃぴこ”っていう名前も気に入ってるんだよね」
みいさんはときどき泣いて、悲しそうで、ちゃぴこの亡骸をずっと撫でていて、ちゃぴこの話ばかりしていました。私は天国へ送り出したあまぱんやべべ公たちのことを考えたり、ちゃぴこのことを考えたり、頭の中がグルグルとまわっていました。
帰りの車内でも、相変わらず私の頭はグルグルのままで、どうしようもなくやるせなかったです。けれど、車が(703号室へ来る前に)私が暮らしていたコーポ付近に差し掛かったとき、あるシーンが脳裏をよぎって私はつい声を漏らしてしまったのです。
「あっ……」
頭がグルグル回って辿り着いた白黒の猫……
16年前、2DKのこのコーポに住んでいたある日、私は開けた窓の真下に白黒の猫の死体を見つけて衝撃がほとばしったのです。口から大量の血を吐いてこれでもかというほど痛々しい形相の猫。だれに看取られることなくコンクリートの上で散っていました。その上、死体を見た通行人たちの悲鳴が次々と聞こえ、まるで汚らわしい(汚物)か、恐ろしい(化物)のような扱いで、「命としての尊厳」が、あの猫の世界のどこにもなかったことを思い出しました。
うまく言えないのですが、「非業の死」とは、そういう最期です。
正直、まめやちゃぴことは比べ物にならない。比べてもいけない。
私は、まめもちゃぴこも1000%幸せだったと思います。
ちゃぴこありがとう。一生けん命生きたで賞と、キュート女子大賞をちゃぴこにあげます。
よし!!
私もリルとさぶを幸せにするぞ!!
私たちの伴侶である犬猫たちが、一頭でも多く珠のように大切に扱われ、尊厳のある生き方と、尊厳を保つ死に方ができる社会をめざしていきたいですね。
合掌
ペットシッター「にくきゅうのおせわ屋」をはじめました
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