幸多


リュウを届けて、すっかり舞い上がった私は家の掃除などを張り切り、普段やっていない部分にも少し手を伸ばしました。金曜はチチが帰ってくる。その前に何か喜ばせてあげたい、そう思って、受話器を手に取りました。

電話をかけた先は、2月末に703号室を卒業した幸多のお宅。

1月末にべべの病気が発覚して、その後闘病していた頃チチが保護してしまった犬。

703号室では「前輝」と言う仮名で、土手にしばらく置いて里親募集した男の子。

その後とても良いご縁に恵まれ、我が家を巣立ち、幸多(こうた)と言う素敵なお名前を頂いて幸せを掴んだのですが、チチが事あるごとに「幸多は元気か な?」「幸ちゃん、何やってるのかな?」「幸多可愛いよな。」と言っていたので、里親さんのお宅に電話して近況を聞いて、もうすぐ帰ってくるチチを喜ばす つもりでした。

幸ちゃんの記事は可愛い保護犬の卒業と、保護犬の卒業記事をお読み下さい。

幸ちゃんはどうしてますか?とのん気に電話口ではしゃぐ私。

幸ちゃんとご家族が最近、どんなに大変な思いをしてきたのかも知らずに。

幸ちゃんは最近まで1ヶ月ほど入院していたそうです。
肛門腺の周りに癌が見つかり、手術を受け、今は抗がん剤治療を頑張っている、年齢もこちらの見立てより少し上だという事がMRI検査の結果で分かったし、 スキップしているように歩く可愛い歩き方も、実は大昔にこれでもかと言う程脱臼し、激痛に耐え、そのまま不自然な形で骨がくっつき、その結果スキップのよ うな歩き方になったとレントゲン検査の結果で分かったとのことでした。

足の問題や年齢の問題はまだしも、幸ちゃんが癌に侵され、ご家族と一緒に闘病していたことを全く知らなかった私は、もう軽くパニックを起こしてしまい、電話口でなんと話したら良いか、うまい言葉が見つからず空回りばかりしていました。

里親さんは私に心配をかけないように配慮してくださって、連絡を控えていたようで、1ヶ月の入院中もちょくちょく幸ちゃんに会いに行き、前向きに楽しく暮 らしていると話してくれました。それを聞いて涙が止まらず、どう感謝すればいいのか、もうそればかり頭の中で考えていました。幸多と暮らせて幸せです、幸 多と出会えて嬉しいです、出会えて良かったと心から思ってるし、後悔なんて全くしていない、そう話していました。

幾ら前向きに考えていたとしても、愛する家族の闘病はきつい。
かつの時も、べべの時もそれを痛感しています。
精神的にも肉体的にも経済的にもきつい、下手したら自分さえも倒れてしまう、それを私は嫌だというほど分かっているつもりです。でも、私はまだいいです。

だって散々犬猫と楽しく暮らして来て、何年も楽してきてその結果の闘病だから。幸ちゃんのファミリーはまだ幸ちゃんと3ヶ月しか一緒に暮らしていない、そ の3ヶ月の間、1ヶ月の入院、現在に至るまでずっと闘病をしなければならない事がどんなに大変で、どんなに苦しかったか、それを想像するだけで、うまい言 葉が見つかりません。

なのに幸せですと言う里親さんの慈愛深さに、私はとても苦しくなりました。

幸ちゃん、幸ちゃんは家族を探してあのコンビニの前に居たんでしょ?


私、分かったよ。どうして幸多があの場所でチチを待っていたか、きっと家族と巡り会うためだよね。足が悪くても痛くても医者にかけてもらった形跡も無い。 きっと痛くてまともに歩けなかっただろうに・・・。幸ちゃんはきっと色んな事を我慢してきて、我慢して我慢して、それがとても苦しくて限界で、だから大雪 の日、あの場所に居たんだよね。本当のパパとママに巡り会うために・・・。


だったら幸ちゃん、幸ちゃんもっともっと頑張って、パパとママの為に生きないと。生きて沢山笑顔を見せないと。ずっと一緒に生きないと。パパママはそれだけを望んで毎日頑張っているんだよ。だから幸ちゃんも、それにちゃんと応えて生きていてね。

帰ってきたチチに、幸多のことを話したら、チチは深いため息をついてその後無言になってしまい、お酒ばかり飲んでいました。でも、6月8日幸ちゃんに会い に行く約束をしたんだよ、と話すと少し元気になってくれました。医療を担当してくれたKさんもIさんも祈るような気持ちで、ひたすら幸ちゃんの全快を望ん でいます。そして出来ることは手伝わせて頂きたいと私と同じ思いでいます。パパママの足元にも及ばないけれど、私達だって幸ちゃんが大好き。幸多にはいつ までも元気でいてもらいたい。幸多に限らず、卒業した子は皆家族同様。病気で苦しんでいる子も何頭かいますが、私達は、ご家族に心から感謝して、そしてご 家族には遠く及ばないけれどその子の回復を心から願い、少しでも健やかで居てくれる事を祈るばかりです。703号室を巣立ってくれた子は皆大事。その子が 痛い思いをしていれば私とチチも痛い思いをするし、その子が幸せだと私達もこれ以上ない位幸せになれる。幸ちゃんの回復を心から願っています。

最初は幸ちゃんのパパママにとても申し訳ない気持ちでいっぱいでした。でも今は違います。パパママに申し訳ないって思ったら、幸ちゃんに失礼ですよね。幸 ちゃんは出会いたくって一緒に居たくって頑張ってきた訳ですから。今は感謝の気持ちしかありません。幸多を大切にしてくださってありがとうございます、そ れだけです。

6月8日幸多に会えることがとっても楽しみです!

「幸多君頑張ってね。ぼくもチチ・ハハと共に祈っています。絶対に良くなってね。幸ちゃんなら大丈夫。幸運の子だから!優しいパパさんママさん、何かあっ たら役に立たないハハだけど、幸ちゃんの為に頑張ることは嬉しいことと心底思ってるから是非連絡してくださいね。甘えられるとハハ、喜んじゃう性質なので す。ランキングに参加しています。703号室を巣立った子達の末長い幸せを願ってぽちっと押してね。かつくんより。」

703号室かつくん&なな

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