THE 保護活動2


(第3章 泣き笑いのトライアル)

ぽんたと暮らしたいとのメールが来てからというもの、妹は情緒が不安定になりました。理屈抜きに、ぽんたがかわいいのです。できれば、手放したくありません。けれど、ぽんたを思えばこそ、よりいい環境へ送り出したい、とも。

“愛の形”は十人十色。

ぽんたにとって、なにが一番いいのか。

妹は悩み続けました。

ぽんたと暮らしたいと思ってくださったご夫婦は、半端な気持ちではありませんでした。熟考の末、遠路はるばる、ぽんたに会いに来たのです。ご夫婦は、ぽんたによく似た「猫のとら吉くん」と暮らしています。とら吉くんの弟として、ぽんたを迎えたい、そう願っていました。

「ふっ……ぼくに弟?」
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ご夫婦には、ぽんたを希望する理由がありました。

正確にお話しますと、ご夫婦は、とら吉くんと同じFIVキャリアの猫を探していたのです。

FIVキャリア、通称猫エイズキャリア。

元保護猫のとら吉くんは、ご夫婦に引き取られたあとに検査して判明したのですが、FIVキャリアでした。誤解や偏見を受けやすいFIVキャリアですが、ご夫婦のとら吉くんへの愛情は、冷めるどころか、さらに大きく膨らんでいきました。

ぽんたも、FIVのキャリアです。
(追記 ※FIVキャリアの猫とノンキャリアの猫を同居させていらっしゃる方も多いかと思います。通常 の生活であれば、感染する可能性はとても低いです。だから他の方の暮らしを否定するつもりは毛頭ありません! ただ、流血騒ぎのケンカになると、100% 感染しないとも断言できないため、ご夫婦は、あえてキャリアの子をさがしていました)

だから、ぽんたなのです。

むろん、他にも理由は多々ありますが、それが第一の理由でした。

ご夫婦と出会った妹は、幾日も泣き笑いをくり返したあと、自分の答えを見つけました。

「ぽんたを、送り出す」

所有欲のない人間など、この世にはいません。

ましては、ぽんたを抱きしめつづけてきた妹です。

苦渋の選択だったでしょう。

さあ、ぽんた、トライアルのスタートだよ。用意してもらったケージにて。
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姉が撮った写真。雑誌に出てくるようなオシャレなお宅。
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運転手としてついてきた姉は、羨望のため息をもらしました。
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部屋がいっぱい!(ご主人のレコード部屋)
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本棚に見慣れた一冊を発見!
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スイーツは奥さまの手作り
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あとはとら吉くんとぽんた改めぽん吉くんが、向き合うのを待つだけ。

縁があれば、必ず家族になれる。

そう信じて、姉妹はご夫婦の家をあとにしました。

妹は、帰りの車の中で泣きませんでした。

涙のかわりに、助手席で寝息を立てていました。

(第4章 家族)

とら吉くんとぽん吉がこんな風になるまでには、それなりに時間がかかりました。
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お互い、元野良猫。

元男子。

肩で風を切りながら生き延びてきたツワモノ同士なのです。

特にとら吉くんには、年長者、先輩、兄としてのプライドもありました。

自分の家に、突如知らない猫が入ってきた戸惑いもあったはずです。

距離をはかるところからスタートしたふたり。

お互いの気持ちが読めず、誤解し合い、時にはケンカも起きました。

朝が来て夜が来て朝が来て夜が来て……

だけどさすが似た者同士! やっぱりちゃんと、わかりあえました。
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ちょっと時間はかかったけどね。
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ぽん吉くん、おめでとう!

くわしくは、妹のぽんぽこりん日記を。

(第5章 ぼくは?)

同じFIVキャリアの保護猫ひかる(703号室在住)は、猫が大好き。とら吉くんとぽん吉の写真をみては、激しく嫉妬しております。

「ぼくの家族もちゃんと探してよ!」
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~あとがき~

ぽん吉の保護からずっと見守ってきた姉は、感無量です。町でみかけた1匹の野良猫を、不憫に思った妹の行動こそが、正常な人間の心であり、行動だと思いま す。無力な人間など、ひとりもいない、そう証明してくれました。そして慈悲に満ち溢れた里親ご夫妻もまた、人間の鑑と言えるでしょう。猫を保護する、里親 になる、その両方が、THE 保護活動! 保護活動は、特別なことじゃないよ。普通の人間なら誰にでもできることであり、ありふれた日常の一コマです。

ぽん吉のご家族より運転手にお茶のお土産をいただきました。
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ありがとうございました。

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