拝啓べべへ


べべ、可愛いべべ、お母さんの太陽、あなたの手術からはや3週間が過ぎようとしています。

胃の腫瘍が見つかった1月25日から今日まで、本当に長く感じました。
いつもはあっという間に過ぎていく毎日なのに、あなたと刻む闘病生活は、なんて重く、そして過酷なものだったでしょう。今横に居てくれることが、もう最高の奇跡としか言い表せません。べべ、頑張ったね、小さい体でよく闘った。


術後のあなたは、空腹を感じてはちょくちょく吐くようになり、それが怖くて胃薬を飲ませているし、1日の食事の回数も5回に増やしたけれど、お母さん、そんなことはちっとも苦ではありません。お母さんの苦は、あなたが居なくなってしまうこと。

あなたがこの世に居る限り、お母さんは精一杯お母さんで居たい。
それがお母さんの幸せだと感じているからです。

「胃の腺がんなら、手術をしても平均寿命が約半年です。」

そう先生に告げられた時、お母さんの上に、もう2度と太陽は昇らないのではないかと思うほど、その全てが暗闇に包まれました。検査の為に、たった3時間べ べを病院に預けるだけなのに、淋しくて会いたくて、お母さんは狂いそうになりました。お母さんから大切なかつを奪った悪魔が、今度はべべをさらいに来た、 そう思うと何も手に付かず、奈落の底に突き落とされた思いでした。一刻一刻が、重苦しい音をたて、お母さんを沈めていく。もっともっと強くなりたいのに。

手術の日、会えるのはこれが最後になるかもしれないという覚悟をしなければならず、お母さんは、精神科で処方してもらった劇薬の安定剤を大量に飲み、それに臨みました。お母さんは切ってやれません。信頼できる先生に、あなたを任せて見守るだけ。無力感でいっぱいでした。

手術から無事に目覚めた時、
術後4日目に始めてご飯を食べれたと聞いた時、
こっそりお見舞いへ行って、会えた時、
退院の日、お迎えに行った時、
家で美味しそうにご飯を食べてくれた時、
抜糸の際に体重が順調に増えていると先生が言ってくれた時、
あなたが横で眠る時、
目覚めたら昨日と変わらない笑顔でお母さんを見つめる時、

転移もなく、手術が成功してあなたに未来があると知った時、
それを知った時、
お母さんはその都度生まれ変わって何度も何度も神様に感謝した。

そしてその都度、
どれだけべべを愛しているかを知りました。

べべ、今だから言うね。


あなたをペットショップで買った次の日、実は「ドライブよ♪」と嘘をついて、そのまま店へ連れて行って、返してしまおうと思いました。

犬をちゃんと飼うのははじめてだったお母さんにとって、べべはやんちゃすぎました。初日から椅子を破壊し、部屋中にうんちを撒き散らし、クッションを葬り 去り、カーテンをちぎったよね。それだけでなく、お母さんの洋服も、それから絨毯も、大事にしていたぬいぐるみも、全部跡形もなく粉砕した。

「私には無理ね。」そう言ってお母さんは、べべを車に乗せて、ペットショップを目指しました。早く返してしまおう、犬を飼うのは絶対に無理。ぶつぶつつぶやきながらショップに着いたら、なんとショップの定休日。「あああ、返せないじゃん・・・。」

帰り道の信号待ちであなたを見つめたら

籠の中で寝息を立てて、お母さんの視線に気が付いてふっと顔を上げた。

その目がまるで天使のようで、お母さんはあなたに魅了された。

結局、その夜にはあなたのことが大好きになりました。

図々しいし、いたずらも凄いし、わがままも言うし、ボールを投げたら何時間でも遊び続け、食いしん坊で何でも拾って食べて、気難しい性格のべべだけど

べべと出会ってお母さんは知りました。

犬はこんなにも可愛い生き物なんだと。

いのちは皆平等なんだと。

べべ、ありがとう。
べべのお陰でお母さん、
幸せになりました。

これからもずっと、ずっと一緒に生きようね。
生きられるところまで生きよう。
できるだけ生きよう。

「べべちゃん、体重も順調に増え、今6.22キロになりました。手作りご飯も合うみたいで、もっとくれもっとくれと催促しまくってます。あ、ちなみにぼく は、かつおが大好きでした。ハハは、かつくんだからかつおが好きなのね♪ってつまらない事言ってたけど・・・。今日も愛のポチを押して応援してくださ い。よろしくペコリ。かつくんより」

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