メシア

全盲のハンデキャップを負った保護猫ほたる

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ほたるはパッチリおめめの麗しい猫ではありません。けれどブログでもツイッターでも何度も書いてきた通り、彼女は全身を使い込んで判断し行動し、何ごとにも前向きにトライをつづけてきたのです。まるで体そのものが目のようでした。

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ほたるは自分に視力がないことを第六感で知っていました。

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自分に欠けているものをわかっていたのです。だから昇り降りにせよ無理だと判断したことはしなかったのです。その辺が非常に賢い。

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けれど生まれつき視力に恵まれなかったほたるは、視力を失っている不自由さに気づいていません。いい意味で他と自分の比較ができないのです。

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話は変わりますが先日MIHOさんと私は通院ついでに東大農学部を散策しました

 

 

紅葉が見事で、私たちは敷地内で息をのむほどの美しさに圧倒されたのです。

 

 

そのとき私は胸がチクッと痛みました。ほんの少しですけど、確かに痛かった。

 

 

思わずMIHOさんに理由を打ち明けました。

 

 

「みほりん、私胸が痛い。ここら辺さあ、落ち葉も含めてきれいじゃん? なんか擬人化かもだけど、視覚から得られる感性ってあんじゃん。それは人間より視覚の劣る犬猫も同じじゃないかな。犬猫が景色を眺めて心を和ませるかどうかは不明だけど、でも視覚が豊かなのはありがたいよね。選べるなら真っ暗な世界はいやだよね。今私、ほたるのことを言ってる」

 

 

MIHOさんは深く頷きました。

 

 

そして「ほたるに会いたいね」とニコっと笑ってくれたのです。

 

 

ほたると私がはじめて会ったのはおそらく2017年9月8日

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emi-goの病院の手術室に置かれた簡易小ケージ内にひとりぽつんといたのです。

 

 

「田辺さん、見てくださいよこの子。眼球がないみたいで見えないんです。たぶん生まれつきなんですけどね。田辺さん(この子)……要ります?(笑)」

 

「いや、いいや。遠慮しとく(笑)。(保護の)いきさつはなんなの?」

 

「ある方に相談されたんですよ。餌をやってたメス猫が自宅のベランダで5匹子猫を産んだって。だけどうちの病院はもうケージが空いてなくて断ったんです」

 

 

当然です。病院は飼い主の責任で連れて来た犬猫たちの治療を施す場所。

 

 

飼い主がいない犬猫をエンドレスに引き取って成り立つでしょうか? だれが飼い主のいない犬猫の治療費や入院代を払うのでしょう?

 

 

それでもemi-goの病院には当時、数えきれないほどの保護猫たちがいました。すべてemi-goが被るのです。すべてですよ?

 

 

世話から医療ケアから募集から譲渡からお届けまでを、彼女ひとりがやるのです。ほとんど彼女の持ちだしたお金でやるのです。

 

 

どうなんですかね? 私はあり得ないと思うけど。

 

 

「断ったのに、どうして(子猫が)いるの?」

 

 

emi-goは私の質問に答えました。

 

 

「一回断ったんですけどね。そのあとに5匹の子猫の中に全盲の子がいるって聞いたんです。(全盲の子猫は)外で生きていけないじゃないですか? だから母猫の不妊手術を条件に病院に連れてきてもらったんです」

 

 

「(目の見えるほかの)きょうだいたちも?」

 

 

「はい。一匹だけってわけにもいかないし、目の見えるきょうだいたちも気になるじゃないですか? (きょうだいなわけだから)」

 

 

「へえ……まあ協力できることがあったら手伝うわ」

 

 

私は自分の意思を口には出さずに会話を終えました。

 

 

しかし5匹ぜんぶ私が里子に出そうと決めたのです。全員私が出す。

 

 

皆さまご存知のとおり、私は健常な子たちから募集をスタートさせました。

 

 

最後に残ったほたるはじっくり取り組もうと練っていたのです。

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703号室に連れてきて、ほたるにふつうの日常を謳歌してもらい

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ここでほたるといっしょに成長していきたいと思いました。

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ほたるの魅力は無限であることへの証明も兼ねています。

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ほたるは私の予想をはるかに超えた快活な女の子

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空気の読み方も

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「ちゃっかりさ」も一流。これこれそれナナのごはんだよー!

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「さぶ兄にタッチ成功っ!」

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ふふ。ほたるよかったね。

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さぶ兄は紳士でしょ?

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「うんっ ふところが深くて好きっ!」

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「ほほ兄はわたしのおもちゃ」

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「いっぱい遊んでくれたし 教えてくれたよ」

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ほほもさぶもお疲れさま。よくほたるの面倒を見てくれたね。

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「あま兄は わたしの枕」

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「おなかがタプタプしていてキモチいいの」

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ほんとだ。ほたる熟睡してる^^

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「ときどき話し相手になってくれるよ」

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「お話のなかみはナイショ」

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あまぱんもありがとう。みんなのおかげでほたるはスクスク育ったね。

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甘えじょうずだけど小さいくせに自立心もあるほたる

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ひとりでもじょうずに過ごしていました。

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えらい子です。

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私にもベッタリ

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おーいほたる!

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人の髪で遊ぶのはやめなさい!

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もし、ほたるが全盲じゃなかったら、ほたるのきょうだいたちはパンパンの満員だったemi-goの病院に保護されなかったかもしれません。

 

 

きょうだいたちそれぞれが終の棲家で元気に暮らしているのは、ほたるにハンデがあったから。そう考えると、ほたるこそがメシアだったのかな、と。

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ほたるをトリに、これで5きょうだい揃って「703号室卒業生」になりました。

 

 

 

応援してくれた皆さまに改めて感謝を述べるとともに、次回ほたるの家族の紹介をしますので、楽しみに待っていてくださいね。ありがとうございました。

 

 

 

BIG LOVE!

 

 

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わたしの放つ光

呼び名をさんざん悩んだ私は、自分ちの黒猫ほほに似た響きと、姉妹猫の仮名に使った「蝶々」に関連づけ、「ほたる」にたどり着きました。

 

 

ほたる……ほたる……

 

 

反芻すればするほどしっくり合う。

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病院で会ったとき、ほたるは決まってケージの中からこちらを向いてちんまりと小首を傾げていました。見えていないのに、見えているかのような顔の角度。

 

 

ほたるに“見られている”ことに少し不思議な感覚をおぼえたほどです。

 

 

かわいい盛りの姉妹たちがもれなく運命の赤い糸を手にしたあとも、ほたるは同じ場所にいました。

 

 

ほたるだって生まれてきたのです。

 

 

生まれてきた事実はほかの姉妹兄弟と変わりません。なのにほたるに構う余裕がなく、この子を顧みなかった私は、人として自分の行動を残念に思いました。

 

 

ただまあ近ごろは、ほたるはみんなとちがう役割を与えられたのかなと考えるようにもなっています。ほたるに接するようになって感じたこと。

 

 

この子は、外見はどこか地味です。けれど自分の力で発光し、一点の輝きに気づいて近づいて来た者をじんわり照らしてくれます。

 

 

ほたるの放つ光はネオンのようなゴージャスさこそはないけれど、渾身かつ自然。ふわっとあたたかいほたるの生命そのものです。

 

 

ほたるの名前の由来が私の中で「ガチャ」とはめ込み音をたてました。

 

 

以後、名は日を連ねるごとにこの子と混ざりあい、溶けあい、一体化しています。

 

 

ほたるは明るく、負けん気の強い女の子。

 

 

よじ登りが得意で、いつの間にかテーブル程度の高さをクリアします。

 

 

しかし降りるのは勇気が要るようで、なかなかできません。

 

 

登ったはいいけど降りられない。ほたるはまず端から端まで行ったり来たり。

 

 

それから1か所に落ち着き、手で着地予想地点の距離をはかろうとします。

 

 

地面をめざし手を精いっぱい伸ばしても、ゴールの位置がよくわからない。

 

 

ほたるは首を斜めに傾けます。明らかに困った表情を浮かべながら。

 

 

もう一度やってみる。

 

 

……やっぱり地面までの距離がわからない。

 

 

ほたるは不安げに鳴きはじめます。

 

 

小さい口をめいいっぱい開けて、私を呼ぶのです。

 

 

「おりたい~ おろして~」

 

 

ほたるの形相や佇まいが必死すぎて身悶え。しかも、なぜか必ず私のほうを向いているのです。私がどこにいるのか、ほたるは知っています。

 

 

私を頼りにしてくれるのがうれしいし、ほたるの素直さが好きです。

 

 

たまらないですよ。

 

 

生まれつきこの子は目が見えません。

 

 

けれど内側に絶えず光を宿し、凝視してくれる人に届くよう一生懸命放ちます。

 

 

障害を抱えてはいますが、トイレを含め、たいがいのことはできます。

 

 

驚くほど聴力や臭覚が発達しています。感受性も豊かです。

 

 

ほたるは私が見えなかったものを私に見せてくれます。

 

 

ほたると暮らす方は幸せな一生を過ごせます。

 

 

どうでしょうか? 逸材だと思いませんか?

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私はもう、メロメロの一語です。

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(写真:すべてみいさん

 

 

ほたるを家族にと検討をしてくださる方は、どうかご連絡ください。

 

 

ほたるともどもニコニコ顔でお待ちしています。

 

 

Smile&Love

 

 

 

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ほほ ひとり まえならえ

SALAに可憐なお花が届きました。骨壷に供えています。

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左の白いやさしげなお花は手作りジャーキーを送ってくださったさかえ先生から。SALAへのあたたかいメッセージつきです。

 

右の背の高いオレンジのゴージャスなお花はアズマさまより。POSTCARDを買ってくださったりとお世話になった方。宛先欄に「田辺SALAさま」と書かれていました。

 

どうもありがとうございました。

 

 

さて、SALAのことをあと一回UPする予定でしたが、仕事で疲れてしまいましたので箸休め? 的な写真をUPしてみます♪ SALAとの縁の話は次回にします。

 

 

前の壊れたSDカードから奇跡的に取り出せたほほのまえならえです。

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「は? なにが?」のつっこみが聞こえてきそう(汗)。ごめんなさい。

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まえならえしてないかなあ?

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「してまち」

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ね! してるよね^^ 「前」がいないけどしてるしてる!

 

 

ほらほら~ 見て見て~

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天気のいい日はヨタヨタ窓際に移動し、こうして日光浴を愉しんでいるのです。

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顔にリルの毛束がついてる(笑)。抜けてるところがかわいいんだよねほほは!

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ほほはもうほとんどまっすぐ歩けません。歩くというより転がると表現した方が適切かも。

 

しかしどうしてでしょうか?

 

あまり悲壮感を漂わせていないのです。

 

今年の3月まではほほなりに今よりいろいろじょうずにこなせていましたが、最近は日常生活がままならないことも。けれど本来の負けん気の強さや前向きさがほほを支え、小さな希望をたくさん与えている気がします。つまりほほ自身がほほに希望を与えているのです。

 

ほほは希望オーラを放ちながら703号室で暮らしています。

 

当然、希望オーラは私にも波及します。

 

ほほはほほとして生まれ、淡々と日々を過ごしているだけなのにすごいなあ。

 

まだ幼いとき「まあなんて醜い子。悪魔のような子。縁起が悪い」と言われたこともあるほほですが(子猫に向かっていうセリフじゃないよねー?)、お母さん猫が命を賭して産んでくれた尊い存在です。少々ブサイクな顔もしますが、基本は美男子でしょう?

 

ほほ坊、ほほはほほのままで。お母さんはほほが立派なこと、知っています。

 

 

べべ14歳、ナナ13歳、リル11歳、ほほ8歳、あまP(若く見積もっても)11歳、さぶ推定8歳

 

うちは若いのがいませんが、ベテランの名脇役ぞろいです。

 

うちのお子たちが保護犬猫たちの存在を際立たせ盛り上げてくれています。

 

そして私の人生のに於いては、うちのお子たちこそがスターです。

 

み~んな一等星!

 

LOVE!

 

PS コメントのお返事、今回は皆さまにまとめて書かせていただく形になりそうです。ペコリ。

 

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