これから必死に書きます。
頭の中を整理してみましたが、これ以上省けないところまで来ているので、長くなります。皆さまはお疲れになるかもしれませんが、よかったらぜひ最後まで読んでください。
【満天という猫】
これまではっきり言及したことはなかったのですが、満天は「捨て猫」にちがいありません。ともに生活をしていると、満天が生粋の野良猫だったようには思えないのです。
人にベタベタするタイプではないのですが、ときどき、満天の中に「人と暮らしてきた歴史」を垣間見ることが。無理やり抱いても怒らないし、おねだりもじょうず。家のいちばんくつろげる場所を占拠するのがうまいのも満天でした。
鳴き声はドナルドダックに似ています(たぶん)。
703号室は多頭です。
ゆえに満天はほかの子たちと写っている写真が多かった気がします。
満天は空気を読むことに長けています。
空気を読むのに、満天はナチュラルで
おもしろいキャラクターです。
私を和ませてくれました。
アピールフォトを撮るために、満天に首飾りをつけた日も、満天は両手を使い何度も器用に首飾りを外しました。その様子がまるで人間のようで、クスッと笑ったのを思い出します。
あたりまえですが、満天はぬいぐるみではありません。強い意思を持って生きています。
私は満天のそこが好きです。
けれど、満天は場の雰囲気に合わせ、ある程度折り合いをつけることができます。
最初キライだった子猫ソイルを受け入れました。
私がつぎつぎにあたらしい子を連れて帰るもんだから
仲よくするしかなかったのよね。
満天、ごめんね。
ソイルを受け入れすぎてくれた満天
カップルのごとくラブラブだったかえがぽつんとひとりぼっちに(笑)
モテる男は辛いねえ^^
ソイルを抱き枕にする満天の足がたまらない。
満天は食いしん坊でもありました。さぶ兄のごはんを狙っています。
そしてほんとうは孤高で怖がりな猫でもあるのです。
認知症の犬のナナが吠えながら猫たちを追いまわすから、満天はナナから遠く離れたスペースにいました。満天はナナが囓ってボロボロにしたガリガリサークル(爪とぎ兼ベッド)がお気に入り。1日のほとんどをガリガリサークル内で過ごしていたのです。
そこへKYのほほが近づくと、コアゾーンをめぐり満天がほほを追い払います。
ほほは満天に怒られると、リビングのあちこちにマーキングをして自己主張に精を出しました。
ほほのマーキングがひどくなったのは、私が満天を保護したから。
私は満天にもほほにも、申し訳ない気持ちでした。
満天はうちでみんなと共存しましたが、もともと好んでここに来たわけではありません。
近所で私に拉致され別の選択肢がなかっただけなのです。
聡明な猫なので、満天なりに溶け合う努力をしてくれていたのでしょう。
そんな満天に転機が訪れました。
なかなかご縁に恵まれなかった満天に、声がかかったのです。
【ルランくん】
ルランくんは1歳10カ月でこの世を去りました。703号室のかつと同じ病魔と闘い抜いて・・・・・・
若くして亡くなったルランくんは、けれど孤独ではありませんでした。ルランくんには最後まで包み込んでくれた家族がいたのです。ルランくんの家族にとって、ルランくんは宝物でした。
「子どもたちが成長し、命に責任を持てるようになったら、念願の猫との暮らしを実現させよう」
ルランくんのお母さんはすぐに猫を迎えませんでした。家族のライフステージに合わせ、機が熟すのをじっと待っていたのです。ルランくんは家族にとって、待ちに待った存在でした。
ルランくんは愛をまといながら生きました。
家族のアイドルそのもの
病気が発覚してからは、家族が一丸となって、ルランくんのケアに全力を注ぎました。
お父さんはがんばって医療費を稼ぐ係。お母さんは通院係。食事や投薬はお母さんやお兄さんが担当し、お姉さんもルランくんを撫で、励ますのが日課でした。
しかし、ルランくんの病気は、現在の獣医学ではどうにもならないのです。
私もかつを失ったとき、ルランくんとかつのこの病気を心の底から恨みました。なにもかもをなげうってでも助けたかった。かつは私の家族だから。できることはなんでもしたつもりです。
なのにかつは日に日に弱っていくばかりで・・・・・・
ルランくんの家族の経験を聞き、私はありありと10年前を思い出しました。
かつの不在が自分にとって、どれほど悲しかったか。
連日、かつの面影を求め、かつに似た毛色の保護猫の写真を探しては眺めていたっけ。
かつの死から5カ月後、縁あって私は、かつと同じ黒白模様の「あまた」に出会いました。
※そのときの心情を綴った記事はこちらです。
ルランくんのお母さんもまた、当時の私と同じ行動(里親サイトを見てはため息)をくり返し、ふと現れた満天の姿を目に留めてくれたのです。いろんな迷いや不安を抱えながらも。
「ルランくんと満天」
「かつとあまた」
満天への問い合わせメールを開いたとき私はお母さんの心情が痛いほど伝わってきました。
そしてご縁を感じたのです。深いヤツを。
【文通】
保護動物のご縁結びのやり方は人それぞれ。私にも当然独自のノウハウがあります。
お母さんとのメールを通じ、私たちはお互いをより、知りました。
知れば知るほど思ったのです。
「この方を逃してたまるか」
と。
あ、言っちゃった(笑)。
でもいいことばかりを書くわけにはいきません。どの個体にも多少の短所があるのです。
満天の場合は、媚びない強い自立心や、私の趣味で受けさせたSDML検査の数値が基準値より1だけ高かったこと、猫風邪の影響で目が腫れ、咳をしたことなどが家族募集に際してのウイークポイント。満天は総じて健康体でまちがいないのですが、私はなるべく私の知りうる限りの情報を希望者さんに伝えたいのです。
「こんなはずじゃなかった」
「それ、聞いてない」
伝達不足が誤解を生むこともあり得ます。いい譲渡が目的なら、希望者さんに誠実さを求めるなら、自分が先にそこを見せなければ円滑な人間関係は芽生えません。
私のほうにもお聞きしたいことが山ほどあります。特に脱走防止に関しては、703号室の里親さん方ならおわかりでしょうが、かなり細かく詰めます。そうすると、お互いへのメールが重苦しくなり、頭を使わないと読み書きできないようになり、どうしても事務的になってしまいます。
そこで私は満天にお願いし(笑)、彼にちがう角度からお母さんにメールを送ってもらいました。
満天が703号室の生活で感じたことや、満天の好物、苦手なもの。
ソイルが満天のお母さんにメールを送ったこともあります。
一発目を送ったときは頭がおかしいと思われるかとビクビクだった満天(と私)ですが、お母さんからにこやかな返事が。満天をいっぱい誉めてくれました。会える日を指折り数えてくれました。お母さんだけでなく、お姉さんも満天のメールを楽しみにしていたそうです。ふふ。
年に一度くらいしか私の布団に入らないほほを
気まぐれでふと潜ってきたほほを
満天がじっと見つめています。
そして直後にほほのまねをしました。満天が布団に潜ってきたのはこのときだけです。
満天は布団に潜ったあと、すかさずお母さんに報告しました。
一歩ずつ一歩ずつ距離が近づいて
とうとう晴れのお茶会を迎えたのです。運命のように。
【お茶会】
お母さん、お兄さん、お姉さんがソイルへの猫缶のおみやげとお菓子を持ってきてくれました。
礼儀正しいお兄さんは、開口一番、「つまらないものですが、よかったらこれ、どうぞ」と手渡してくれたのです。ああ美形の一家。外見は今どきの大学生ですが、中身に芯があります。
お母さんもお姉さんも想像通り、いえ、想像以上のおだやかさ、あたたかさでした。
仕事の都合で来れなかったお父さん(お父さんとはビデオレターを拝見し、後日ごあいさつに伺う約束を交わしています)にかわって3人で満天に会いに来てくれました。
満天は愛想のいい猫ではありませんが、お茶会の間中、根気よく向き合ってくれています。
べべ、ソイル、かえのこともかわいがってもらいました。
満天はおやつをもらってまんざらでもなかった様子。
先代猫ルランくんの話を伺いました。
話をすればするほど、家族の仲のよさ、いい意味の密着度、相手への関心の大きさを感じました。思春期のお兄さんとお姉さんが両親と行動をともにしているのも正直驚きです。
仕事の都合で来れなかったお父さんの話になると、お母さんは言いました。
「主人は・・・・・・愉快な人なんです」
お兄さんがフォローをするようにつけ加えました。
「大学に行かせてもらえて、(お父さんに)とても感謝しています」
なんていうか、オトナの口調をまねた言葉ではなく、ほんとうに自然にスッと出た本心のように感じたのです。家族全員が全員への感謝を持ちながら生きているファミリーです。
ここに満天を加えたい。私も自然にそう思いました。
楽しくて実りあるお茶会でした。
お茶会のあと、お父さんを含めた家族会議の結果、満場一致で満天を迎えるくれることに決まりました。満天に伝えると、満天は喜び勇んで、またすぐに家族にメールを送ったのです。
「お父さんお母さんお兄ちゃんお姉ちゃんへ
ぼく きょうもおくすり飲めました
ちっとも苦くありませんでした
ぼくの保護者になってくれてありがと
ぼくいまいるお家でこの黒いの(ほほ)がいちばんにがてです
大きなナナというおばあちゃん犬もときどきぼくを追いまわします
ぼくは運動神経がいいのでサクッと交わします
ぼくはタフなほうです
外に比べたらこの家はぬるま湯
でもぼくはここにいながら
いつかぼくにもほんとうの家族ができるのをほんのり夢見てきました
いまぼく
あったかいきもち
そしてエヘンて顔をしています
満天より」
捨て猫満天は、野良猫としていっしょうけんめい生き延びました。
私の保護猫になり、紆余曲折を経て、家猫、愛猫への昇格を果たしたのです。
家族は満天の顔の傷も気に入ってくれています。
満天の甘えない一面も、大きな体も、満天の丸ごとを受け入れてくれました。
ルランくんと似たところも。ルランくんと似ていないところも。
次回は満天の新居へご案内します。
長い文章、お読みくださってありがとうございます。
LOVE!
ペットシッター「にくきゅうのおせわ屋」をはじめました
お留守番をがんばるかわいい家族が「お帰り!」と目を輝かせて出迎えてくれるよう、安心・安全に最優先で心を込めてお世話します。
足立区・荒川区・文京区を中心に活動してますが地域のご相談やお世話内容など、
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