ホームレスドッグから“マディバ”へ


「マディバ!」

そう呼ぶと、マディバは控えめな上目遣いでこちらを向きます。

自分が何者か、どうして生きているのか、これから何をすればいいのか……。

混乱を隠せない表情を浮かべながら、私の周りを行ったり来たり。

「お散歩行くよ。おいで」

なるべく短く、単調な言葉を繰り返し、じっとその場に腰を据え、マディバの動向をうかがいます。マディバには、“おいで”の意味が分かる。すぐに私の胸の中に飛び込まないのは、“来たくない”からじゃない。“来る勇気がない”だけ。
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「マディバ、おいで。さあ!」

マディバはなおも私の周りをうろついて、くるくる回っては逃げる、を数度繰り返し、ようやく腹を決めて、一歩、また一歩、ゆっくりと歩みよってくるのです。

こんな生き方しかできなかったのか――。
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首輪にリードをかけた後、そのまま引き寄せ抱くと、その異変に気づきます。全身の筋肉を硬直させ、呼吸が乱れ、舌を出し……最後には観念するのか、深いため息をつく。

「お前を傷つけるために呼んだわけじゃない、繋いだわけじゃない。マディバと散歩がしたいんだよ。行こう」

こんなに長い言葉はすぐには通じないかもしれません。けれど、毎朝毎夕、私は同じ言葉を発し、マディバの中から、『人間に対する不信感』を剥ぎ取ろうと思います。
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今、マディバの紹介文を書いているすぐ横のケージで、マディバは水玉のクッションに身を預け、自分の前足を丹念に舐めています。私の存在が気になって仕方 ないマディバ。パソコンと睨めっこしている私は、ふいにマディバの視線を感じることがあります。私たちは、一日に、何度も目が合うのです。

「あなたはだあれ?」

「私はマディバの心の刺を抜いたり、マディバと家族の縁を繋ぐ役目の人」

「ぼくの……?」

「うん」

「家族? なぜそんなものが必要なの?」

「今の日本に、野良犬が生きる場所は残っていないの。そもそも、犬はそれぞれの家族と生きるべきであって、独りで生きていくべきものではないし。それに、なんていうか、おせっかいかもしれないけれど、私はマディバに安心で安全な一生を保証したいのよ」

「おせっかいなあなたは、保険のお仕事をしているの?」
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「まあ、仕事ではないんだけど、そういう解釈ができなくもないよね?」

「……ぼくは、人と生きていけると、思う?」
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「マディバは今まで、人のぬくもりを知る機会が与えられなかっただけ。だから、絶対に生きていける。それも、ただの犬じゃなく、無二の伴侶として、一緒に生きる人に、この上ない喜びを与える存在になるだろうね」

「どして?」

「マディバ、分からない? その透き通った心や、優しい眼差し、愛らしい仕草から、人を幸せにするオーラがにじみでているじゃない」

「……そう?」
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マディバはおしゃべりな私たち人間とは違って、自分がしてきた苦労を語らないけれど、これからは幸福の中に身を置いてほしいです。

ハンサムで個性的なマディバ(推定3歳、オス)の家族を募集します。

マディバは茨城県のとある場所で、長らく野良犬として生きてきました。餌やりと呼ばれる人から、フードを与えられていたようですが、何もかもが不十分な 上、センターなどに通報された場合、捕獲→殺処分は明確です。この度縁あって、703号室で保護する運びとなりました。フィラリア陽性ですが、健康状態に 問題はありません。現在、フィラリアが陰転するまで、予防薬を投与する方針を取っています。うちの卒業犬の半数以上がフィラリア陽性でしたが、どの子も超 元気ですし、うちのナナちゃんも、1年くらいで陰転しています。

マディバは、何をされても怒らず、落ち着きがあり、自分の生活にきちんとしたリズムを持った素晴らしい犬です。室内を汚すことは、マディバの美徳に反する のか? 排泄は散歩の時だけと決めているようです。オス犬独特のマーキングにも興味がなく、女の子座りで用を足します(笑)。

証拠写真↓
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「カメラやだ。ぼくのプライバシー侵害だよ」
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人間の歩調に合わせて歩くため、引っ張りはなし。リードで繋いでいれば、横にピタッとくっついて歩きます。けれど、人間を怖がる一面も持っているため、 リードの管理が不安定なご老人やお子さまとのお散歩は、ご遠慮くださるご家庭にお願いしたいのです。万が一、リードが離れてしまったら、マディバの安全が 保証できないのでね。マディバは、大人が中心の落ち着いたご家庭に最適です。

また、703号室では、犬猫とも、種類、大きさを問わず、完全室内飼育を希望しています。

いかなる場合であっても、「外犬」としての譲渡はできません。今、うちで問題なく暮らしているマディバ。今後も「家族」として、引き続きお家の中で暮らしてもらいたいです♪

落ち着くからか? マディバはとにかく、ケージが大好きで、犬も猫もノー眼中。先住犬猫と衝突なく暮らせます。犬や猫にあまり興味がないみたい(笑)。そういうのっていいですよね。一番楽なパターンです。

保護猫ラオもあわせて家族募集中!!!

マディバ、ラオ、共々どうぞよろしくお願いします。ペコリ。

かつくん「マディバのことはまたたくさん書くね。日に日に明るくなってるよ。いい子すぎてその存在を忘れちゃうほどなんだから。ラオも家族募集中です。

最近、ハハにしてはがんばっていっぱい更新しているから、下の記事も読んでね↓

カレンダーの写真、いいのがたくさん届いています。見せたい気もするんだけど……がまんがまん!

ハハの本、それでも人を愛する犬をよろしく!

703号室はランキングに参加しているので、ぼくのバナーをクリックして応援してね。沢山の人に読んで欲しいから」

703号室かつくん

ペットシッター「にくきゅうのおせわ屋」をはじめました

お留守番をがんばるかわいい家族が「お帰り!」と目を輝かせて出迎えてくれるよう、安心・安全に最優先で心を込めてお世話します。

にくきゅうのおせわ屋

足立区・荒川区・文京区を中心に活動するペットシッターです。

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