細く小さく白い男


男たちはネオン街の中央にいた。

平社員ベレーボは、酔いたい気分であった。

祝杯……。

ベレーボは素直に仲間の幸を喜んだ。
彼の同僚の永久就職が決まったのだ。
今は男子も“永久就職”する時代なのか――?

まあ、いい。

とにかく酒を。酒だ酒だ!

「係長、ぼくはいい気分です。彼の将来は、これで安泰ですね」
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「ああ。彼はああ見えても結構苦労が多かった男でね……。
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ホームレスの時代もあったそうだよ。捨てられて、路地裏をさまよっていたんだ。まるで野良猫のようにね……。見かねた人が食事をめぐんでくれたらしい。その人の話によると、彼は皿からこぼれおちた砂だらけのしらすを、必死な形相で食べたらしいよ」

「彼にそんな過去が?! ……なるほど! だから“しらすくん”なんですね。
なんだかますます彼の幸せがまぶしいな……」
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ベレーボはすかさず、少し離れた席の同僚にグラスを傾けた。

「しらすくん、おめでとう! 苦労もあっただろうが、君に幸あれ!」
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「ああ、ありがとう。幸せになるよ。
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でもね、お別れだから君には話しておくけど……実は、ぼくちんはしらすじゃないんだよ」

「そうだね、うちのが“しらすさんはサラリーマン金太郎みたいなイメージね”って言ってたよ。ぼくも君はしらすというよりは金太郎の方がしっくりくると思うよ」
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「いや、そうじゃないんだ。しらすはぼくちんじゃない。君なんだよ。
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アディオスバイバイ、またいつか。ぼくちんは新境地で生きるよ」

べレーボの全身を鳥肌が駆け巡った……。
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何を言ってる?
何を言ってるんだ。

ぼくがしらす……?
しらすはぼく……?

ベレーボはひどく混乱した。
そして心に重い荷物を抱え込んだまま、妻の待つ自宅へ戻った。

あら、あなた。
お帰りなさい♪

久々にみなさんで集まって騒いで楽しかったでしょう。
しらすさんの送別会はどうだった?

ベレーボは小さくつぶやいた。

「しらすはぼくだよ」
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え?

何を言ってるのあなた。

……この人、深酔いしてしまったのかしら?
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「鏡を見ろって言われたよ。どう見ても、しらすはお前だろ? って……」
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まあ!!

そんなことを?!

でも、

言われてみれば確かに!!

ベレーボは妻のリアクションに落胆を覚えた。

「どうせぼくは、ちっぽけな男さ」
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そして静かに寝室へ向かった。
その背中には哀愁だけが漂っていた……。

~おわり~

出演者金太郎の卒業によって、おさかな商事ネタ、終了です(爆)。

金太郎はお坊ちゃまになりました。次回卒業記事をUPします。

そして明日は犬組ケンちゃんのお届けです。
ケンの卒業記事も近日中にUPしますので皆さまお楽しみに~♪

アディオスバイバイ

かつくん「あほらし。やっと終わったか。ぼく、つきあいきれません。

ハハの本、それでも人を愛する犬をよろしく!

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かつくん なな

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