今日は、ラン(琥珀)のお届け。一人で行きました。
もう、これが最後の2ショット。
ケージから琥珀を出し、キャリーバックに移した後白玉を見ると、彼はひとりぼっちでこっちを向いていました。
お届け先は、先住犬コーギーのキリンちゃんがいるお宅です。素敵なマンションでした。奥様と、遊びに来たお母様が琥珀を迎え入れてくれました。大らかなタ イプのご家族で、私も安心! キリンちゃんもすごく可愛い子でした。幸せになった様子は、しばらくお待ちください。UPしますから!
行きは遅刻しないよう気を引き締めているので、琥珀の様子をちょくちょく気にする以外は運転だけに集中します。でも、無事に届けた帰り、一人きりの車内は、妙に静まりかえるから、色んなことを思い出す空間に変化してしまうのです。
ふと、5年以上前によく見ていたサイトを思い出してしまいました。当時の私は、保護活動に興味がありましたが、何をどうはじめたらよいか分からず、本やイ ンターネットを良く見ていました。その中に、犬を処分していく様子を克明に綴ったサイトがあったのです。虐待サイトではありません。サイトを運営している のは、自分でも犬を飼っている獣医師でした。サイト名も、URLも、詳細も良く覚えていません。ただ、どこか市町村のような自治体で運営されている?(ご めんなさい。公営なのか私営なのか忘れました。多分公営?)施設で働く獣医師が、犬達を処分していくシーンは頭に焼き付いています。
まず飼い主に不要の烙印を押された犬が、施設にやってきます。
殆どは、雑種の成犬で、まだ若く、イキイキしている子達でした。獣医師は処分は忍びないと、飼い主を説得しますが、説得に応じる飼い主は皆無。仕方なく、 無機質な犬舎に犬を移すのです。犬達は、不安でいっぱい……。サイトの管理人の獣医師は、自らが犬を処分するまで、毎日、その世話を担当し、様子を写真に おさめていました。
必ず長めのリードでゆっくりと散歩をしてから、丹念にブラッシングをします。処分日は特に念入りに手入れをして、長い散歩へ出かけます。散歩から戻ると一 旦休ませて、それから缶詰を与えます。いつもはカリカリだけですが、この日は特別。美味しくてどの犬も嬉しそう。でも、ごはんを食べるのは、これが最後。 餌の中に、睡眠薬を混ぜてあるので、犬達は満腹になると眠りにつきます。
そして、眠った犬にあの世行きの注射をします。
「勇気ある方は、是非最期をご覧下さい」と書かれているボタンをクリックすると、犬達の死に顔を見ることが出来ます。
秋田犬の若い雑種の子が印象的でした。
飼い主に不要とされやってきたのに、とても優しい顔をしていました。無機質な犬舎の中でも、ゆったりと寛いでいました。
「僕、ちょっと暇だな」
そんな表情を浮かべている写真は、見ていて心が砕けそうでした。
最後の散歩の写真。振り返って、大きな口を空けて嬉しそうに笑います。この2時間後にはこの世に居ないと思えないほど、いのちが満ち溢れた一枚でした。
ブラッシング。気持ち良さそうに寝そべります。
死が近づいてきます。
缶詰。スゴイ勢いでがっつきます。
「美味しいよ とても美味しい!」
注射―。
死。
私は、その死に顔を見ました。
穏やかでしたが、死を受け入れていない表情でした。それどころか、何も分かっていない様子でした。どうして自分がこうなったのか、なぜ死ななければならないのか……。
私はもう一度、死の2時間前の散歩の写真をまじまじと眺めました。
頭が狂いそうになりました。
サイトを運営し、犬たちの世話をし、殺さなければなかなかった獣医師はそれから少しずつ精神を病んでしまい、胸中を綴れない状態になりました。犬が好きでたまらなかった獣医師が、どんな気持ちで処分していくのか、飼い主は知っているのだろうか……?
私はしばらくすると、そのサイトのURLをパソコンから削除しました。
そして真剣に考えました。
「私に何ができるのだろう?」
それから5年半。
私はまだ達成感を深く味わったことはありません。
救えないいのちの多さに、崩れそうになってしまうからです。
家に着くとべべと元気がこの通り
プロレスしてるではありませんか。
いのちは尊いですね。
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