私は弱虫です。
どれほど弱いか。
まず、名前をつける勇気すらなかったこと。
まともな写真も撮れませんでした。
奇跡を信じたかったけれど、それも無理。
ただ淡々と日々をこなすこと。
それが精一杯でした。
誰かがあの子の話題を出すと、心が乱れて仕方がなかった。
忘れていたのに、考えないようにしていたのに、普通にしていたのにやめてよ。
奇跡なんか、簡単に起きないんだから。
またパニックうつになってしまうのが怖かったんです。
いけませんね。
あの子はまだ、生きていたのに……。
小さな黒猫が今朝、亡くなりました。
わずか9日間の命。
あの子が生まれてきた理由はなんだったんだろうと考え続けていました。
でも、そう考える一方で、そんな事が分かったところで、果たしてどんな意味があるのだろうかと、冷笑する自分の姿がありました。
お乳を3cc一気に飲み干してくれた時、
はじめてオシッコを出した時、
ウンチをした時、
たったそれっぽっちのことなのに、いたく感動しました。
土の上に転がって、必死で泣き叫んでいたあの子は最後まで全身で生きようとし、
私にそれをまざまざと見せつけました。
「あのね、
あのね、
生きるってね、
生きるって大変なことなんだよ。
少なくても、小さなぼくにとってはね。
だからぼくの今を見て。
生きているぼくを見て」
私の小指の先端ほどもない手を懸命に広げ、お母さんのおっぱいを求めてグーパーグーパー。体を軽く拭いてやると、まだ目も開かないくせに、ゴロゴロと喉を 鳴らして喜んだ。その音をはじめて聞いた時、まさかこんな小さな猫が喉を鳴らすと思わなかった私は、お乳を飲ませていないのにこの子は自分の唾でも誤嚥し たのだろうか? と狼狽した。
あの子が好きでした。
あの子の全てが愛しかった。
あの子を愛することに理由なんてない。
だからあの子が生まれてきた意味や、長く生きられなかった訳を探すのはやめました。
小さな体で良く頑張った。
最後まで。
その「最後」は、他の子たちより短いものだったかもしれないけれど、
私は絶対に忘れません。
酸素室内にて
70gだった体重は110gにまで増え、毛の密度が濃くなりました。
亡くなる寸前まで、生きようとしていたんだね。
出会えて本当に良かった。
力を尽くしてくださった大巻先生と奥様に感謝します。
最後は自力でミルクを飲むことができなかったので、大巻先生がカテーテルでミルクを与え続けてくれました。あたたかい寝床におさまったあの子は、満腹感を感じながら過ごしていたことでしょう。
改めて、今生きている犬や猫たちが愛しくなりました。
「生きる」って、偉業ですね。
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