50mの冒険


「昨日だったか おとといだったか うちの前によお 犬がいたんだよ。

娘(60代)と相談して 保健所に電話したら 今の保健所は昔と変わったねえ……知らない犬が家の前にいるのに すぐに引き取りに来やしないのよ!

先に警察に連絡しろって。警察ったってねえ……

保健所の仕事だろ?

保健所にまた電話する前に この辺で犬を飼ってる人に(この件を)任せようとAさん(仮)のところに行ったのよ。ほらあそこたしか犬を飼っていただろ? Aさんならなんかわかるかもしれないからよ。

そうしたら Aさんが “ああうちの犬がいない” って言ったんだよ。

で 見に来てもらったら なんとAさんちの犬だって言うじゃないの!

ところがその犬 立てやしないのよ。どうやってうちまで来たんだろうね?

立てないから Aさんが布にのせて連れて帰ったんだよ。病気だろうね。

立てないから」

 

 

母の店で食事をしていたら長話を仕掛けられました。

話し手は、連日母の店に来る80代のご老人(女性)です。

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非常に話好きの方で、60代の娘さんと近所で二人暮らしをしています。

 

私を見ると、(不幸な感じの)犬だ猫だと話が止まりません。

だいたい私は、3分に一度真顔で軽く相槌をうつ程度のコミュニケーションが精いっぱいです。

 

けれどその話は聞き捨てられませんでした。

 

“犬”がSALAだからです。

 

「へー」

 

ひと言だけ返しながら、私は2つのことを考えていました。

 

まず、前に会ったときは食欲不振程度に見えたSALAが、すでに立てないほどの病魔に冒されていたことがショックでした。

 

そして、ほんのちょっとボタンを掛けちがえていたら大変な惨事に発展したかもしれないこと。もしあのまま保健所にごり押しの通報をくり返していたら、SALAはどうなっていたでしょう? 立つこともままならないSALAが、センター送りになってしまったかもしれないのです。

 

人知れずガス室で命が潰えていたとしてもおかしくなかったんだなあ、と。

 

立てなくなったSALAを鎖で繋ぐのは忍びないと、鎖を外していた前の飼い主さん。

 

もう歩くこともできないから繋ぐ意味もなかったのです。それにSALAの居場所には簡易式の扉が設置されていました。扉を閉め忘れた前の飼い主さんの隙をつきSALAは自力で歩き出したのですね。命を賭したSALAの大冒険。いったいどこに向かっていたのでしょう?

 

SALAはうちを知らないはずですので、私に会いに来ようとしたなどとは言いません。

そう思いたいのが人間のウエットな心情ですが、ほんとうのことはSALAにしかわからないです。

 

しかしSALAが逃げ出し、ご老人母子さんの自宅前で力果てたからこそ、私はSALAの病気に気づきました。母の店でご老人から“犬”の話を聞かなければ、あのあとも私はしばらく事情を知らないままだったでしょう。

 

皆さまにお話しするほどのことでもないですが、私はどうしてもまともに歩けなかったSALAが約50mの距離を移動したのが不思議でなりませんでした。

ただの散歩とはちがう目的があったはずです。

目的がなんだったのか気にはなりますが、なにはともあれそこから最終章がはじまりました。

 

今日書いていることは過去のこの記事に繋がっていくのです。

 

⇒ 「I LOVE MY FRIEND

 

 

胸のあたりでモヤモヤしうまくまとめられませんが、「縁」ってすごいと思いませんか?

 

 

はじめて病院へ連れて行った日のSALA

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まな板の上の鯉状態?

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お見舞いに来たよ!

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暑いね。調子はどう? ヨーグルトを食べたって聞いたよ^^

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犬用ミルクとマット2枚をプレゼント。ついでに30分一緒にお昼寝しました。

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蚊の容赦ない吸血に両腕がやばい状態に。私の真っ赤な両腕を不憫がって前の飼い主さんがキンカーンを塗ってくれました。

 

「あららアンちゃんどうしてそんなところで寝るのかねえ?」

「ああすみません」

 

 

受け取ってもらえなかったマットは自宅へ持ち帰りました。SALAと家族になれたあと、シャンプーのときに活躍させましたよ♪  SALA、鼻かゆいの?

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はじめはこうしてお水を飲ませていましたが

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しまいにはご存じ哺乳瓶スタイルに!

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大切だなあ。

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体調が悪い中、たくさん食べてくれたよね。

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元保護猫“いせやん”と

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大部屋雑魚寝

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よくお風呂に入れてくれたチチと

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入院もがんばったねえ。

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703卒業犬てん、卒業猫ごましおの面倒を見てくださった美しい看護師さんと

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見つめ合うSALAと私♪

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掃除の合間もおりこうでした。

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ちょっとお疲れ顔?

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一緒に暮らして短かったけれど、つい先日まで撫で放題だったかわいい頭が小さな骨壺にすっぽりとおさまってしまいました。

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撫でたい。気持ちのやり場がない。

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書いてて無性にSALAに会いたいんですけど。

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相変わらずSALAのことばかり考えています。

 

でも、この辺でブログ上ではケジメをつけないといけませんね。

 

またいつか、SALAの話をさせてください。

 

何度もおつき合いくださり、ありがとうございました。

 

LOVE  SALA

 

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8件のコメント

  • ペコちゃん

    動物って、自分の逝きたいい時逝きたい場所で最後を迎える事が出来る能力があるらしいですよ。
    もう ダメかな?と思った時に独りで逝きたい。と思った子は、皆が居ない時に。皆に見守って欲しいという子は、飼い主さんやその他を待ってから逝くらしいです。
    なので、きっとサラちゃんは想い出に浸りに街に繰り出したんだと思います。
    そしたらハハさんの家に迎えられ、顔見知りの子に会い可愛がってくれたハハさんやチチさんに会いダイダイダイ満足でお空に渡ったのではないでしょうか?
    動物って、そういう能力があるらしいですよ。
    うちのウサギは、やり残した事が沢山あったから死から復活しました。あの時の事を思うと胸が締め付けられます。
    動物って思ってる以上に周りに気を使って生きてるだなと思いました。
    生意気な事を言う様ですが、ペットロスを緩和するには吐き出すのが一番らしいです。
    家族を失ったんです。周りに気を使わずブログを更新されてもいいのではないでしょうか?
    そんな事で批判するやつは

    ただの バカ です。

    • anny703

      ペコちゃん
      「さま」をつけたほうがいいんでしょうが、ペコちゃんってとってもかわいいHNなのでそのまま呼ばせてくださいね。
      そうですか。ならSALAは私どもと会う縁の元で街に繰り出したのですね。そうだとうれしいです。
      また吐き出すことがあるかもしれませんがその時は聞いてくださいね。
      ほんとうにかわいくてかわいくていなくなったのが信じられないです。
      また会いたいです。

  • じゅんまき

    SALAちゃん…
    しんどい身体でも
    全身の力を振りしぼって
    アンニィさんに会いに
    行きたかったのですね。
    強く引き寄せあっていのですね。

    また、いつかSALAちゃん
    お話聞かせて下さい。
    待っています。

    アマ兄が早くよくなりますように。

    • anny703

      じゅんまきさま
      そうなんですかね?
      だとしたらうれしいなあ。でも前の飼い主以外にSALAをかわいがっていた人を私は知りませんので
      もしかすると私のことも少しは思い出してくれたんでしょうかね?
      「具合悪いのに会いに来ない気?」みたいな。
      あまPは復活の兆しです。

  • まどっぺ

    アンニィさんこんにちは。実は私も不思議体験あります。うちのみゃーこちゃんを保護した翌年、また雄の仔猫を拾いました。その子は神戸に婿入り出来ましたが、保護している時のこと。仰向け状態のその子を私の頬っぺたでスリスリしていました。肉球で顔を蹴られてニヤニヤ(キモくてスンマセン 笑)している時、その子が、何の濁りも無い、とても綺麗な目で、真っ直ぐ私を見つめてきました。すると、私のみぞおち辺りに、青味がかったグリーンの円が現れて、そこから、この子を護らないと!幸せにしないと!っていうエネルギーみたいなものがぶわ〜っと溢れてくるのを感じました。私、仕事柄チャクラの勉強もしたので、これがハートチャクラか…と驚きながらも妙に納得しました。
    SALAちゃんへの気持ち、分かる気がします。
    私も実家で四年前に19歳と10ヶ月で亡くなった柴犬の、小さくなった身体と老臭が未だに懐かしく切なくなる時があります。
    今日は休みで、今オンナ4匹、ベッドで超ダラけています 笑

    • anny703

      まどっぺさま
      ダラダラしているのですね。いいことですね。
      私も今日はちょっとした掃除以外はダラダラだらけていました。ほんとうになんもやる気が起きないですよ。
      猫さんのこと不思議な体験ですね。
      私は意外と科学的な根拠に基づいて物を考えるようにしているのですが、「縁」というものには抗いがたい不思議な力を感じることがあります。
      特に犬と猫との縁については。
      失ったばかりですのでSALAに会いたいなあと思ってしまいますがまず縁あって出会えたことに感謝しないといけませんね。

  • kaz

    50メートルの歩み どんなに痛かったでしょうね
    でも 閉め忘れて 開かれてる扉の向こうへ
    導かれるものがあったんでしょうね

    見つけてくださった方も ハハさんのお母様のお店の常連さんだなんて
    やはりハハさんとSALAちゃんは 縁で結ばれているんですよ

    思えば 天音ちゃんも お母様のお店のでの縁でしたね

    SALAちゃんの50メートルは ハハさんの抱擁に繋がってたんですね

    私も 衰弱の子猫を見つけて 区役所に電話したことがあります
    でも 「連れてきてください」と言われました
    自転車しかない私は 連れ帰ったんですよ
    きっと車で連れて行ったら 治療なんて受けさせてもらえなかったですよね
    今では 里親さんのところで 美しいお姫様に成長しています

    SALAちゃんの可愛い写真 生き生きとしていますね

    • anny703

      kazさま
      うちの母の店は地元の人たちが来てくれるのですが、まだまだ意識が「昔ながら」のかたが多く
      犬猫に対するご自身の善行? を自慢される方や、とにかく犬猫の不幸話を私に聞かせて
      なにか意見を求めようとする方が多くて逃げ出したくなることが多いです。
      母親の店でなければ絶対に行きませんあの店には(笑)。
      でもおかげで天音を見つけ、SALAの近況を知ることができました。
      そういう意味ではよかったですね。
      SALAとは深い縁を感じています。とてもかわいい子です。

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