保護猫まこちゃんが、703号室にきて、9か月が過ぎようとしています。
まず私は、まこちゃんに、謝らないといけません。
まこちゃんの後輩たちが、次々と良縁を得て我が家を巣立つ中、まこちゃんをポツンと保護部屋に置き去りにしてしまったことを、です。まこちゃんにはわるいことをしました。
ごめんね。
まこちゃんは、荒川区の公園の出身です。
外猫として、不妊手術を受ける前に、黒猫の女の子を産んでいました。
だからまこちゃんには、「お母さん」の経験があるのです。
お母さんの経験があるどころか、お世話をしていた方の話によると、まこちゃんは娘の黒猫さんを寵愛していたそうで、いつもふたりで肩を寄せ合って生きていたそうです。
私が直接見たわけではないのですが、一生けんめいにまこちゃんをお世話をしていた方の話は、信ぴょう性が高く、母として娘をかわいがるまこちゃんを、私は容易に想像できます。
娘の黒猫さんは、かつて体調を崩して、大師前どうぶつ病院に入院をしたこともあるのです。
外猫だけれども、放っておけずに、お世話をしていた方が病院に運んだとのこと。
病院の先生やスタッフたちが、そのことを覚えていて、私に話してくれました。
しかしその後、入院からどの位経ったのかは不明ですが、娘の黒猫さんは、公園付近の道路脇で、車に轢かれて亡くなったのです。まこちゃんは、近くで一部始終を静かに見ていたと聞きました。
なんでもかんでも、犬猫を擬人化するのはまちがっているかもしれません。
だから、まこちゃんが、交通事故で娘を失った人間のお母さんのように、深く悲しみ、取り乱したと考えるのは、いささか強引でしょう。実際は、まこちゃんのみが知るところです。
けれど、私は、まこちゃんがノーダメージだったとは思いません。
心を許した娘と、セットで暮らしていたわけですから、娘の不在に戸惑ったはずです。
お世話をしていた方は、日に日に車の交通量が増していく環境で、次はまこちゃんが轢かれる気がして、「保護をしたい」と、病院に相談。その方は、自分で飼うことも、里親を見つけることもむずかしいということで、病院からの打診を受け、まこちゃんはうちに来ることになったのです。
これまで私は、いきさつを、ちゃんと書いたことがなかったですね。
一時期ステイしていた大師前どうぶつ病院でも、来たばかりの頃の我が家でも、繊細なまこちゃんは完全に「ハンスト」を起こし、ごはんを一切食べませんでした。病院からうちに移動する際には、キャリーに入れる前に、脱水防止の皮下補液をしたほどです。
まこちゃんはただ、石のようにじっと固まるだけで、感情を表に出そうとはしませんでした。
まこちゃんがごはんを一口食べてくれた日の安堵と感動を、私は忘れません。
そのまこちゃんが、今、こうして、リラックスの一面をのぞかせています。
私はこれを、「成長」、あるいは「和解」と呼びたいのですが、いかがでしょうか?
はじめから馴れている犬猫はかわいいです。
22年かけて、400頭以上の犬猫たちを保護譲渡してきた私でも、向こうから来てくれるタイプの犬猫には、格別に胸がきゅんとします。これは……あえて言葉で説明するなら、好かれると、こちらも「好き」を返したくなるのが、生き物の習性なのではないか、と考えています。
キャパの問題で、保護犬こころだけを連れて帰ろうかな? と一瞬悩んでいたときに
保護犬笑平が、「ぼくもぼくも!」と甘えてくれた姿を見て、私は自分が恥ずかしくなりました。
素直でやさしい笑平を、703号室にお招きできて本当によかったです。微塵の後悔もありません。
いっぽうで、不器用なまこちゃんが少しずつ開いてくれた心もまた、私にとっては、尊く、ありがたいことだと感じています。まこちゃんは、膝に飛んでくるタイプではありません。
ですが、もう充分に、人と生きていけるレベルの立派な家猫さんです。
ふつうに触れるし、小さな毛布を被せてキャリーに入れれば、病院にも連れて行けます。
ウソはつけません。
正直な話、もっと馴れている猫さんは、ごまんといます。
その上で、まこちゃんの勇姿が、美しさが、どなたかの目に留まりますように。
お読みくださりありがとうございました。
次回は、まこちゃんの好物や生活ぶりについて掘り下げていきますね。
LOVE
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