3 わたしはまりも


またまたつづきです。保護猫プップ、千吉、あかりに会いに来てくださっている方はごめんなさい。今回は犬の話です。

~交渉と奪還~

「所有権」

動物に関わっていると難しいときがあります。弁護士のすすめもあり、私は所有権を以前より意識して活動するようになりました。

いくら感情論を並べわめき立てても、法的に見れば【ママ】の所有権は、当然繁殖業兼トリミングサロンのオーナーにあります。子を産むママが繁殖業兼トリミングサロンに利益をもたらしている以上、無条件に私に譲るとは思えませんでした。

だから諦めようとしたこともあります。

「繁殖に使われているかもしれないけれど、看板犬としてそれなりに幸せなら、もういいかな」

そう自分に言い聞かせて。

楽になりたかった。

ママの二重苦の原因を作ったのは自分じゃないと思いたかった。

そこで、1度ママの様子を見に行くことにしたのです。

見に行くと言っても真意は隠さなければなりません。私の存在や主張を知れば、サロン側は警戒してしまう。繁殖犬たちは2F部分に置かれていて一般客には見せていない。

どうすればママに会えるのか?

詳しくは書けませんが、私はある業者になりすませてサロンの2Fへ潜入しました。お願いだから引かないでくださいね(笑)。

2Fにママがいないことを願いながら階段をのぼる。

2Fではなく、オーナーの自宅の愛犬として、または1Fのサロン部分で看板犬として元気に飛び回る姿を想像しました。その方が楽だから。

2Fのドアを開け部屋に入った瞬間を私は今でも忘れません。

繁殖業者独特の臭いが漂う部屋の壁一面に積み上げられた無数のクレート。小型犬1頭がやっと入れるぐらいの大きさしかない箱の中に、無表情のママがいました。

ママがママがママがママがママがママがママがママが!!

ママが!!

ママが!!

「業者」の私を見て、繁殖用の犬たちが一斉に吠える。

ママも大勢の犬たちと同様に私に吠えかかってきました。

(すごくいけない比喩かもしれません。でも許してください。他にピッタリ当てはまるのがないのです)

ママは昔本で読んだ狂犬病に感染した犬たちの形相にそっくりな顔つきで私に吠えました。目と牙をむき出してけたたましく延々と。

怒っているのか、不安なのか、悲しいのか、他の犬たちにつられて吠えているだけなのかわかりません。考える余裕すらなかったです。

ただ目の前のママを家に連れて帰れない現実のみが重く残りました。

どうして自分はこんなに罪深いんだろう。

それから、私は当時の関係者を訪ねてはバカのひとつ覚えみたいにママママと言いつづけ、恐れ多くもたくさんの人を巻き込んでママの保護に向けて動きました。大袈裟かもしれませんが、ある意味命がけだったと思います。

そしてついに2年1か月の歳月を経てこちらに戻してもらったのです。繁殖犬としての質が下がってしまったママは業者にとっても微妙な存在。だからそこを突いてとにかく水面下で交渉しつづけました。

業者は最後までせこい条件を出してきました。

「犬(ママ)を手放すかわりに、新しい飼い主には、ひきつづきトリミングの客としてショップに通ってもらいたい」

要は、産んで稼げないなら、今度は客として稼げってことですかね?

もちろん、連れて行きませんけど。

サロンにママを迎えに行ったとき、ママは吠えませんでした。それどころか、シャイなはずなのに、しっぽをちぎれんばかりに振ってくれたのです。私を覚えていてくれたんですね。

「待たせてごめんね。なにもかもごめんね」

こうしてママは、703号室にやってきました。

出会ったときはまだ賃貸コーポだったけど、引っ越して広くなったので、今度はのんびりすごせるよ。あなたの仮名はもう決めてるの。

こんにちはまりも

ようこそ703号室へ!

先代猫かつくんと
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若かりし頃のべべと
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ナナと
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幸せになろうね。
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「うん! わたしはまりも」
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写真はすべて2006年の撮影
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