生き直す犬


今日の午後、直生が卒業していきました。
午前中、桜が満開の散歩道を共に歩きました。

直生は私に聞きます。
「ぼくは、生きていていいんだよね?」屈託のない明るい笑顔で。


私は答えます。
「もちろん生きていていいのよ。誰よりも長生きしなさい。」

直生の本当の名前は分かりません。知ろうとすれば知れたかもしれない。けれど私は、直生の過去を深く知りたいとは思いませんでした。

犬はいつだって前を向いて生きています。トラウマを抱えてしまったり、劣悪な過去にうなされる事もあるでしょう。けれど、濡れた鼻はいつだって愛する人の 香りを探して、大きな目はいつだって愛する人を真っ直ぐに見つめる。尻尾を千切れんばかりに振って、あなたの存在を喜んでくれる、犬はそういう生き物で、 あなたを裏切ることを知りません。だからいつもいつまでも、あなたの傍に居るでしょう。

もしあなたが、愛する人に捨てられてしまっても犬はそこを去りません。

もしあなたが、誰かに裏切られても犬はあなたの傍にいることを選ぶでしょう。

もしあなたが、年老いて周りから相手にされなくなったとしても

もしあなたが、失業したとしても

もしあなたが、病床に着いたとしても、

誰も彼もが、時には友や家族までがあなたをあざ笑う日が訪れたとしても

犬はあなたの横に居る、彼らは自分の意思でそれを選ぶでしょう。

だって、犬にとって、あなたは立派な飼い主でなくてもいいし、大金持ちでなくてもいいし、饒舌でなくてもいい。犬があなたに求めるものは唯一つ、

あなたの「体温」だと私は思います。

犬と関わりあってまだ日が浅いので、未知な部分もあるし全ての犬がそうであるか断言することは出来ません。

でも少なくとも、私が今まで出会った犬は、全てそう。例外は1頭も居ませんでした。


では、私達人間の方はどうですか?
犬の失敗を叱責し、妊娠や転勤を理由に彼らを棄てた。
「引っ越す先がペット不可住宅だった」という、それだけのつまらない小さな理由で、年間何万もの犬がガス室へ送られています。

直生は、2度保健所に送られた犬です。
正直、直生が保健所に居たと思うだけで私は身震いすることが多々ありました。何でこんな子を送ったの?何で保健所に居たの?何で私が関わらなければならない程、切迫した運命を辿ったの?こんなにも、楽しそうに笑ってるのに・・・。

もしあのまま処分になったとしても、直は死の寸前まで、きっと大きく笑って楽しそうに尻尾を振っていたでしょう。間違いなくそうだったと思います。そうい う光景を幾度となく想像しました。するととても苦しくなって、切なくて切なくて、みじんも人間を疑うことなく死んでいく様が目に浮かんでは消え、浮かんで は消えました。

「どうしたの?ぼくはこんなに元気で生きてるのに、何で暗い顔をするの?」と覗き込まれて我に返って直を抱きしめ、生きててくれてることに何度も何度も感謝しました。


直生を手放すのは、とても痛かった。幸せを掴んだと知っていても。。。
けれど手放す痛みは、忘れられる優しい痛みだからいいです。

忘れられない痛みは辛い・・・。
救えなかった子を考える痛みは辛い。多分死ぬまで和らぐことはないでしょう。。。
その痛みに耐えながら、自分に出来ることをコツコツ、コツコツと続ける、その間「忘れられる痛み」も沢山味わいながら・・・。それでも、前を向いて生きていけるのはとても素晴らしいことで私は成長しながら生きていくことが出来て本当に幸せ者だと思います。

直ちゃん、幸せになってね!

今日は、ちょっと重い内容だったでしょうか?
明るい直生が傍にいないので、ちょっとしんみりした内容になっちゃいましたが、新しいお家での様子は次回UPします♪実は明日、又会いに行くんですが(上 着を里親さんのお宅に忘れてきちゃったので^^;エヘヘ)それから、直生は名前も変わりました!新しい名前は次回のお楽しみに♪明日は、この前卒業したば かりのJACKに会いにいきます!その帰りに直ちゃんにも会いにいきますよ^^

JACKと直生

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可愛い美黒を幸せにしたいと思っていますのでよろしくお願いします♪

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