コロ史


この数日間、皆さまにご心配をおかけしました。チチ、Kさん、ハハ妹を伴ってコロの火葬を終え、病院への支払いを済ませ、お世話になったスタッフの方々に、コロからの心ばかりのお礼とお手紙、コロの写真を渡しました。

チチも私も、泣き通しの日々でした。
コロが他界した次の日、チチにコロの年齢を聞かれたので、“あなたは何度同じ質問をするの?”と嫌味をつけくわえてから答えると、チチはコロの亡骸の前で嗚咽をもらしました。

「コロ……コロ……なんだお前、まだ……あああ!! たったの十歳だったのか!!

その悲しみが一瞬にして隣席の私に伝染し、もう、ただひたすら胸を締めつけられました。私たちはお互いに責めあうこともしませんでしたが、誉めあうことも労いあうこともできませんでした。それぞれがコロに対する深い後悔を抱えているからです。

この活動を経て、悲惨の境遇の犬猫に遭遇しすぎて、何もかもが麻痺してしまった私でも、コロという犬の一生を改めてまじまじ考えてみると、言葉を失いま す。6歳まで、誰にもその存在を知られることなく、ある家の屋上にある一畳ほどのスペースに幽閉されていたコロは、四本の足で暴風雨に耐え、寒さに震え、 日照りに喘いでいたのです。屋根も風よけも敷物もなく、糞尿たらし放題で、孤独と闘っていました。ときどき耐えられなくなったコロは、屋上から飛び降りる 抵抗を見せたため、飼い主によって、太く短い鎖で繋がれるようになったのです。自由がますます制限されたコロの心はもう、枯れ果てていました。

私は最初、もとは飼い主の娘が拾った犬だし、その娘は家を出てしまったし、飼い主は老齢だから世話ができないのは仕方ないと考えるようにしていましたが、 それは間違いでした。飼い主は、単に飼う資格がない人間だった、能力のない人間だった、いや、ひどく愛情が欠落した人間にすぎなかったのです。そのために コロは、一言も自分の意思を発せられないまま、猛烈な苦労を押しつけられていたのです。

コロが6歳を過ぎた頃、私とKさんがコロの目の前に現れました。
きっとコロは、この世界に、えさだけを置いて去る飼い主の他に“人間”が存在するのを知らなかったのでしょう。私とKさんを見上げたコロの眼差しは、「不思議」であふれかえっていた気がします。

私たちはまず、交代で現地に通って、週に1~2度散歩をはじめました。Kさんは屋上部分を大改造し、飼い主に口うるさくコロの環境改善を求めましたが、私は飼い主と口をききたくなかったので、必要以上にしゃべるのを避けました。

コロはロングリードで歩くのがお気に入りで、途中の公園でもらえるおやつが大好きでした。

散歩に加え、医療ケアを開始。
私は、コロより多くの病気を患った犬猫を知りません。
心臓病、原因不明の咳、乳がん、卵巣がん、肝細胞がん、腎臓がん、脳腫瘍、皮膚病、クッシング、胃拡張……などに加え、片耳は外耳炎の果てに潰れ、多数の 床ずれいぼが目立ち、屋上にいた頃は、例外なく何時も悪臭を漂わせていました。状態がひどい時は、屋上に戻さず、飼い主に断って1か月近く入院させること もありました。当然お金がかかりますが、コロが病院にいる間だけは、私自身が安心できたのです。治せる病気については、屋上時代から積極的に治療していま す。コロは通院が好きで、長い待ち時間や痛い検査を苦にせず、先生やスタッフがたに撫でてもらうのを心待ちにしていたようです。

クッシングが悪化しはじめた9歳のコロを、私は引き受けることにしました。我が家にくる数ヶ月前から、コロは複雑なケアと投薬が必要になり、毎朝毎夕、飼 い主の元を訪ねなければならなくなったのです。Kさんは積極的に通いましたが、私は飼い主の顔を見るのも、あそこの家に入って、屋上へと繋がる階段をあが るのもほとほと嫌でたまらなくなり、我慢できなくなり、狂いそうになって、Kさんに引き取りを打診しました。Kさんはコロが安住の地を得るのを喜ぶ一方 で、私を心配しましたが、私が自分の精神衛生上良くないのはあの家に通い続ける方だと説明すると、一発で納得してくれました。安っぽいさびしがり屋の無能 な飼い主も、その頃には、重病の犬を疎ましがっていたので、保護はスムーズの一言でした。

9歳になってようやく屋根つきの家に入ったコロ。我が家に来てくれたコロ。

いったいどんな子犬だったのでしょうか?
どこをどう間違えて、コロは暗闇の中に閉ざされてしまったの?

コロ、痛いよ……。
コロの生い立ちや長い不幸に心を痛めているだけじゃない。私自身がコロにしてやれたはずのことが、あと100個も、200個も思いつくから、いまさらだけど、悔いばかりが残ってしまって……。だから皆さまから頂いたコメントを読むのが辛かったです。

「コロちゃんは703号室に入って幸せでしたね」
「最後の一年間は幸せだったと思います」
「コロちゃんの笑顔が幸せを物語っています」

そんなコメントを読むたびに、コロへの懺悔でいっぱいでした。日々の忙しさを言い訳に、私はコロに100%の愛情と力を注ぎませんでした。努力したつもりでも、良く考えてみると、韓国ドラマにはまったり、外食をたのしんだり……その間、いくらでもコロを抱きしめることができたというのに!!!

コロがいつも笑顔だったのは、私が幸せを与えていたからじゃなく、単にコロの性格が良かったからなのです。

私の後悔は多分、一生続きます。都合の良い方へ考えて、自分を慰めるつもりはありません。でもこの自責の念が、必ず次の子たちへの愛情やケアに繋がるので、心配しないでくださいね。

皆さまから賜ったあたたかいご支援に感謝の気持ちを込めて、「コロ史」を終えたいと思います。

私がいたらないせいで、コロに苦労をかけましたが、この前も書いたように、チチと私はコロに出会えて至福でした。コロの訃報に胸を痛めた多くの方からお花が届いています。塞ぎっぱなしだった703号室内に華やかな春が訪れたようです。ありがとうございました。

皆さま、コロに親切をくださって、どうもありがとうございました。

耳掃除は気持ちいい♪
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通院が好き♪
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でも、ちょっとくすぐったい時も……
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足のつめきり中
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ダブルのバンダナが素敵でしょ?
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二度目の入院中
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結構やりたい放題
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いつもお散歩してくれるチチもお見舞いへ来たよー!
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703号室での日々がはじまりました!
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何歳になっても食いしん坊。チチの腕の中のおやつを狙ってます!
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ちょっとくたびれた顔
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夏は水浴びを兼ねたバルコニーの掃除を手伝ったり
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走ったり
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逃げたり
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思いっきり笑うのが大好きだったよ
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たいやきちょうだ~~いっ♪
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シャンプー前
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遊びに来たMパパが撮ってくれたよ!
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もう、歩くのはしんどい。でも、歩くのがわたしの幸せ
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アイドル状態
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ウトウト……ごはんまだかなぁ?
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次回は皆さまからの美しい花々の写真を載せたいと思います。

コロ、愛してるよ。

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