2 わたしを助けて


1頭の犬の生涯を書いています。読んでいない方はひとつ下の記事からご覧ください。保護猫プップ、千吉、あかりについては、その下にたくさん書かれているのでスクロールしてお読みくださいね。

~再び繁殖犬として~

30頭超のヨークシャーテリアの里親探しは、保護活動のベテランと呼ばれる人たちが行っていました。でも私ははじめからものすごい違和感と疑問を禁じ得ませんでした。

まず誓約書を取らない。

自宅へのお届けをしない。

シェルターに見に来れば、誰にでもあげてしまう。あろうことか、里親になる相手の連絡先も聞き漏れていたり。

一緒に動いている人たちとはいえ、おかしいことはおかしい。私は何度も意見しました。だけど、「あなたは若いから」とか「経験が少ないなら黙っていて」とか「数がこんなにたくさんいるんだからいちいちそんなことまではできない」など……。

誰にでも読んでもらえるように毎日つけていた「ヨーキー日誌」にも、目を通してくれたかどうか。

一生懸命なのは私だけではありません。

みんなそれぞれに必死だったと思います。

だけど、甘い譲渡が不幸を生み出してしまうのです。

譲渡担当の人たちが迷子札はおろか、リードと首輪の重要性すら説明しないから、譲渡後2週間も経たないうちに数頭が交通事故で亡くなってしまったのです。いずれもノーリードで、中には首輪すらしていない子もいました。

いったい誰のための保護でしょうか?

なんのための保護でしょうか?

若いから、経験が浅いからと言う理由で意見を聞き入れてもらえない虚しさと向き合いながらも、シェルターに通いつづけ、自分にできることを淡々とこなすしかありませんでした。

我が家にいた子犬たちにも里親が決まったとの知らせを受け、子犬たちを譲渡担当の人に渡しました。どんな里親と暮らすことになるのか、しつこく聞きました が詳しくは教えてもらえませんでした。むろん、やり方に問題はあったけれど、すべての子が不幸になったわけでなく、30頭のうち、ほとんどのヨーキーたち が幸せになったのも事実です。

ママ友はいい方に巡り会いました。運良く私も里親さんに会うことができたので安心して渡せました。

そしてある日、最後まで残っていたママにも里親が決まったことを知らされたのです。

「先方はママのケガが落ち着いたらすぐにほしいと言っている」

「里親になる方はどんな方ですか?」

「いい人よ。すごくいい人だから安心しなさい」

「私が会ってはダメですか?」

「あなたは経験が浅いから私たちに任せて。必ず幸せにしてくれもらえるようにするから信じて」

「会ってはダメですか?」

「私たちを信じて」

こういうやり取りを通じて、私は譲渡係の人にママを渡しました。10年前のこの一件は今の譲渡スタイルとはかけ離れていると思います。時代の他に、地域性 もあるのかもしれません。里親探しはネットが主体ではなく、ポスター、タウン誌、口コミが主体だったのです。でも、一番の問題点は、私自身の弱さでした。

ママの譲渡後しばらくして、私はふとしたきっかけでママの消息を知りました。ママは繁殖業兼トリミングサロンのオーナーに引き取られたんだそうです。

繁殖業兼トリミングサロン???

私は不妊手術を終えてから里子に出そうとしていたのですが、譲渡担当の人が「先方さんが自分の信頼できる病院でやりたいそうだから先方さんに任せましょう! 必ずやってもらうから」と言い、手術できずじまいでした。

まさかあのあと手術せず、繁殖犬にされてしまったとか?

すぐさま譲渡を担当した人に詳細を聞きました。

詰め寄ったと言ってもいいでしょう。

「不妊手術はまだしていないけど、お店の看板犬としてみんなに愛され、毎日お店の中を飛び回っているそうよ。安心して」

の回答。

信じられなかった。

全然信じられなかった。

ママの悲鳴が聞こえてくる気がしたのです。

ママはまた、産まされているかもしれない。

そんな気がしました。

そこで事情を知っている方に片っ端から連絡を取り、しつこくしつこくしつこくしつこくママの生活ぶりを調べたところ、やっぱり店の繁殖犬の一頭になっていると知りました。

到底納得できませんし、知らなかったとはいえ、自分が許せません。

誰のための保護でしょうか?

なんのための保護でしょうか?

胸が苦しくて、なにもかもを後悔して、もう生きていきたくないと思ったほどでした。

すぐに連れ戻したい。

当然そう思いました。

でも、「所有権」の壁はあまりにも高すぎるのです。

その日から、私は心に誓いました。

私が関わった子は、私自身の手で譲渡する。

ママは絶対に取り戻す。

長くなりました。つづきはまたすぐ書きます。

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