先週の金曜、電車で近所の皮膚科へ行きました。
顔に出来た吹き出物が気になっていたし、発疹も出るからインターネットで調べて、女医さんがいる病院に行ってみることにしました。
初診。森絵都さんの本を手に待つこと1時間。
清々しい声で名を呼ばれ、ピンクのカーテンで仕切られた清潔な診察室へ。
「どうしましたか?」
女医先生の大らかな笑顔。私は一瞬で安心して、顔に出来た吹き出物や背中の発疹を診てもらいました。
「あなたのご家族は?」「お子さんは?」「住んでいる場所は?マンション?」「あなた、私と話している間にも、顔をいじる癖があるわね、きっとストレスを感じた時や緊張している時、顔をいじるのね、職業柄かしら?職業を教えて。」
皮膚科の先生というよりは、まるで的を得たカウンセラーのように、言うこと全てが私に当てはまっていて、診察中、何度も感動に似た気持ちを覚えました。
うまく言えませんが、なんか、いい人だなって。
「仕事はしていません、主婦です。でも、犬や猫のお世話があって、あ、家族同様に暮らしています。主人は出張が多くて、その間は私が家に居て、色々と、そ う色々と犬や猫の事をこなすことになっています。犬や猫の事で、人と会うことも多いし、多少緊張したり、疲れたりもするけど、なんて言うか、それ以上のも のを得ているので…。」
ぼそぼそと話す私。
「ほら、今話している間も顔をいじった!だめよ。お薬だけじゃ治せないわ。その癖をまず直しなさい!で、犬猫の事で人に会うと仰ったけど、フリーの訓練士さんか何か?」
「いいえ、仕事はしていません。訓練士ではありません。たまに、まあ簡単にいえば、捨てられた犬猫を自宅で保護して、新しい家族を見つけているお手伝いをしています。」
「あら、そうなの。私も犬も猫も飼っていて、今は猫だけになったけど・・・。」
まるで友達と話すような口調で女医が更に続けます。
「犬や猫もいいけど、あなたはまず自分を大事にしないと。そもそも、犬や猫は人間の犠牲になっているのよ、人間の都合でトイレを覚えさせられたり…。彼 らって本当は一人で生きていくのが好きなのよ。一人でいいのに、人間があれもこれもと、彼らを擬人化して支配しようとする、私はそれが嫌いなの。犬や猫は 放すのが一番いいって思っているわ。放して彼らを自由にして、彼らの思うように生かせることが一番の愛情なのよ!それに、救いたいのなら、まず最初は人間 でしょう!あなた、アフリカの子供たちのことどれ位知っているの?まずは彼らから救うべきでしょ!悪いけど、犬や猫はその次よ。やっぱり人間が優先なの。 あなたはちょっと勘違いしているわね、私が言うこと、間違っているかしら?」
どうして皮膚科の先生にそこまで言われるのか、頭をかしげたくなったし、まあ、皮膚はストレスと密接な関係だからカウンセリングから入ろうとしているのかもしれないけど、最近は聞き流すことも学習したはずなのに、思わず反論してしまいました。
「先生、犬猫を放すっておっしゃるけれど、人工的なこの都会のどこに彼らの住処があるというのですか?彼らはもはや野生動物ではないし、人間に依存しなければ生きていけない。それは自然とは逆行することで、とても残念なことだけど、でも事実です。
それに、アフリカの子供は確かに可哀想だと思います。彼らにも救いの手が必要です。こういう言い方はふさわしくないかもしれないけど、アフリカの問題は根 が深い。全貌は知りませんが、素人の私から見ても簡単に解決できる問題ではありません。アフリカの子供たちが先でしょう、って全ての人間が言っていたら、 一体いつ犬や猫の問題に着手するんでしょうか?アフリカの問題は多分、100年経っても全てを解決するのは難しい、仮に私が言うことが正しいとしたら、で は、犬や猫に着手するのは100年先のことでしょうか?
命が等しいと大声を出して主張するつもりはありません。けれど私は、老人の介護問題に着手する方が居てもいいと思うし、犯罪被害者を救済したり、難病の子 供の問題に取り組んでいたり、野鳥を保護する活動をしていたり、街のゴミを拾って歩く活動だって、絶滅危惧種の動物を保護をする人だって、皆が色々なこと に興味を向けて情熱を注ぎ、出来ることをするべきだと考えています。そう、多方面に眼差しを向けるからこそ民主主義が成り立つと思うんですが、これは間違 いでしょうか?」
「んー、……どうでもいいけど、あなた、今話している間もずっと顔を触っていたわよ。完全に癖ね。それをまず直していきましょう。さあ、来週もいらっしゃい。はい、診察は終わり!」
診察室を出ると、無数の冷たい視線が痛く感じられました。声が大きかったようです私。
会計までの3分間が、無性に長く感じました。
明らかに年齢も経歴も私より上で、私は人生の先輩だと仰がなければならない女医。しかも私の皮膚を担当してくれる大事な人。でも私は、自分が間違っている とは思いません。最初は素敵な先生で、話すこと全てが参考になるし、勉強になる、皮膚科という枠組みを超えて付き合っていけそうと思っていたんですが、決 定的なところで大きなずれを感じて少し悲しくなりました。人に何かを言われて簡単に考えを変える事はあっても、それは犬や猫のことではない。犬や猫のこと に関しては、私は凝り固まってしまって、つまりはとても頑固になってしまっています。
世間から大きく離れているのは女医か。
いや、私でしょう。
女医が言っていることこそ、常識なのだということをよく理解しています。
でももっと分かっているのは、常識は良識とは限らないという事実。
その日は一般常識を学習しましたが、学習した内容は、私の人生の中で役に立ちそうにもありません。私は良識人でありたい、常識はあまり必要ないから(笑)。
★★★おまけ★★★
絞り出すような声で和が泣くから、どうした!と慌てて保護部屋へ向かったら、人間用のベットの上で体を投げ出し、いたずらにこっちを見て尻尾をパタつかせてくつろいでいました。
やられたな!(笑)
見事な演技に一杯食わされた…。
写真を撮るために保護部屋から一歩外へ出してみました。少し戸惑っています。
奥には新入生の強敵“でしゃばリル”の姿が(笑)
黄金色に輝く大きな瞳、贅沢だな。
和の瞳は極上の贅沢品です。
体調が完璧に戻りましたので、そろそろ里親さん募集を開始します♪
「ハハはもう少しだけ常識を持った方がいいかもね。でも良識の方がもっと大切だよね。まあ、アフリカの問題にせよ、犬猫の問題にせよ、一生懸命取り組むこ とが大切だってぼくは思っています。いろんな人が共存してこそ成り立つ世界、何が先で何が後で、何が必要で何が不要かは他人に指図されることではないのか もしれませんね。
あ、そー言えば、卒業生愛者とリュウが今日デートしているみたい。オス同士だからデートとは言わないのか。写真を貰ったら載せようとハハが張り切っています!卒業生同士のデートっていいね!
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ペットシッター「にくきゅうのおせわ屋」をはじめました
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