ぞくぞくと掴んだ幸せ1

今日もすっごくお天気が良いので、普段洗わないマット類などを洗濯機にぶち込みました(笑)。 かつくんは、相変わらずの状態ですが、ステロイドを続けている為、何とか1日に5g~10g口に入れることが出来ます。チチは昨日、又出稼ぎへ出かけま したが、代わりに会社から休みを貰ったハハ妹が泊まりに来ました。

12時過ぎにハハ妹の寝息が聞こえて来た為、その後はかつを連れてバルコニーに出て、雑酒を1本空け、気持ち良くなって1時半頃にはもうすっかり眠ってしまいました・・・。今日の夜にはチチが戻ってくるので、それまでしっかりみんなの面倒を見ないと!

ささ、気になっている方も多いと思うので、早速紹介したいのですが、先月、男子小学生に虐待され、肺が破れ、肋骨が折れ、瀕死の状態でユキちゃん(保護活動友達)と妹のみなちゃんに保護された子猫のミニかつ君ですが、7月21日、新しいご家族の元へ届けられました。

その事件を知らない方は、是非こちらをご覧下さい。詳細が書いてあります。

病院でしばらく入院していたのですが、病院でミニかつにつけられた仮名は「気胸ちゃん」明細書なども全て「気胸ちゃん」と書いてあります。由来は気胸が破れていたからだそうで、ユキちゃんから明細をみせてもらった時は、何だか複雑な心境でした。

その気胸ちゃんですが(笑)、記事にしたらとても多くの反響を頂いて、皆さまが小さな猫を思う気持ちに胸が熱くなりました。助かってくれて本当に良かっ た、どうかこのまま健やかに生きて欲しい、この世のあらゆる恐怖や支配から逃れ、のびのびと育って欲しい、その為にも、良い家族を見つけてあげなくては。 そんなことを考えている矢先、ミニかつと一緒に暮らしたいとメールを頂きました。

通常、犬や猫を保護すると、ブログにも載せるようにはしていますが、新しい家族を募集するのは「里親サイト」からにしています。ミニかつの場合、その 里親サイトに載せる前にお問い合わせのメールを頂きました。それだけとっても真剣な思いでお問い合わせくださったのは、コメント等をいつも書いてくださるぴんぽんさん&相方さん。

前から、飼い猫のキロロちゃんが可愛くて、ブログを覗かせていただいているので、お人柄は分かっていたつもりですが、念のためにアンケート等を送らせて頂くと、すぐに返信してくださり、スムーズにお話を進めることが出来ました。

そしてお見合いの日には、相方さん&愛猫キロロちゃんも同伴し(笑)、私はかつくんのことがあったのでご一緒できませんでしたが、ユキちゃんのお宅で、ユ キちゃん、みなちゃんと大いに盛り上がって和気藹々な雰囲気だったとか(笑)。その後も私に毎日のように丁寧にメールをくださり、ミニかつを真剣に思う気 持ち、準備している様子等が手に取るように伝わってきました。

ここで新しいお宅でのお写真を何枚か紹介しますが、ミニかつの様子を知りたい方は、是非
http://yaplog.jp/kirorokimamani/(ぴんぽんさんのブログ)をご覧下さい♪

ミニかつは、セサミ(8画です♪)君になりました~!!かつくんそっくり♪


可愛い先住猫キロロちゃん

 

少しずつ距離が縮まって今では仲良し!


かつくんに似ている事もあって、セサミはとっても気になる存在でした。かつのことで思うように動けなかったのですが、病院にお見舞いに行ったり、ユキちゃ んのお家に行った時に会ったり、又ユキちゃんがセサミを連れて、ババ(私の母)の店に遊びに来てくれたり・・・。会う度に可愛いな、生きててくれて本当に 良かったなと心底思わずには居られない、そんな存在でした。身近で保護していたユキちゃんみなちゃんはもっとでしょうね。セサミは私たちに大きな光を与え てくれました。そんなセサミに無償の愛を与え続けようとしてくれている優しいご家族にとっても感謝です。

ぴんぽんさんは、トラウマからセサミがシャーと威嚇するような性格でも構わないし、仮に後遺症がある程度残っても家族として迎え入れたいと言ってくれまし た。セサミは普通なら味わうことのない苦痛を味わってしまったかもしれない。けれどその倍の幸せをこれから味わうことが出来る。とってもラッキーでとって も可愛い男の子です^^

かつくんが落ち着いたら会いに行く約束をしているので、今からとっても楽しみです!

それから、ハハ妹宅で保護されていたダックスのひじき&ルー、5頭の子犬(とと→そら、うさお→ロビー、あおい→メル&ももママちゃんに 託した2頭、浬&航)を産んだ母犬プリンですが、最初ボランティアが引き取ると言っていたのですが、なんと!素晴らしい家族が出来ました。ひじきは私の 友人宅で、ルーは新境地で(笑)、老犬のプリンまでもが!それぞれ幸せを掴むことが出来ました。それらも追ってご紹介しますので、それぞれ楽しみに待って てくださいねー。

「毎日応援ありがと。ぼくは今日、午後から通院です。今はお昼寝中。今日は幸せなことを報告できて、ぼく幸せ。ぼくにそっくりのⅩ77セサミの幸せを願ってぽちっと応援よろしくね。」

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お留守番をがんばるかわいい家族が「お帰り!」と目を輝かせて出迎えてくれるよう、安心・安全に最優先で心を込めてお世話します。

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動画のあと

かつくんの動画を載せられて、良かったです。皆さまに見て頂いたのは19日の午前中の出来事ですが、実はあれからかつくんは全く食べませんでした。食べようともせず、見る見る衰弱し、23日の血液検査では、その結果を見てチチと心底落胆しました。

黄疸がマックスに出ています。
腹水は相変わらず、蛇口をひねって水を出すように徐々に溜まり
貧血が始まりました。
栄養失調も進んでいます。
あらゆる数値が悪くて、どうしようもありません。

もう誰か、誰か助けて。
FIPを治す薬が無いのなら、せめて涙を止める薬が欲しい、そう思いました。

昨日出来ていた事が、今日はもう出来ない。
ジャンプや歩行は鈍り、今もほぼ1日寝ている事が多くなりました。あんなに好きだったバルコニーヘの小さな旅も出来なくなって、猫草や猫じゃらしに も興味を示さない。優しくマッサージすると喜ぶ時もありますが、嫌がることも増えました。これからますます腹水が溜まるそうで、胸水も溜まる危険性が高 い。胸水は今より数段苦しくなるから、せめて胸水が溜まらない事を祈るしかありません。

無力な夫婦は、ただ祈るだけ。それだけしかしてやれません。

「このまま食べないと数日しか持たない」と言われました。
病院でそれを聞いて、チチは今までで一番厳しい表情を浮かべました。
強制給餌しかない。そう思いました。
無理矢理食べさせるのは可哀相という声が大きく聞こえてきそうですが、吐かなければ体が受け付けているということですから、食べやすいAD缶等を強制的に与える作戦に出ることにしました。

その帰りの車の中で、いつものように明るくおしゃべりをしました。
「イチローはすごいよね。」とそんな話題になり、「でもかつくん、イチローより、チチロー(チチ)の方がずっといいよね。好きだよね。」と話しかけると無 視(笑)。「ええ?じゃあかつくん、イチローの方がすごいの?イチローの方が好き?」と聞くと「ニャー」と元気良いお返事が返って来て、私たちは思わず 笑ってしまいました。

「そうか。かつくんはイチローの方が好きなのか!お父さん残念だな。」とチチが言うと又「ニャー」。私たちは苦しいのに、又笑いました。

夜、強制給餌はチチが殆どやってくれました。
今までとっても優しいかつくんだったのに、あまりに苦痛で、チチに向かって「ウー」と威嚇して激しく抵抗します。それでも数口入れることが出来ましたが、私たちはこういうやり方が正しいのか、自分達を責めずには居られませんでした。

24日、つまり昨日ですが、院長先生に強制給餌の際、かつが激しく抵抗して嫌がったと話すと、かつのQOLを尊重して、そこまで嫌がるならやめた方が良い と言われました。私たちも同感でした。どんな形であれ、かつを苦しめるのは一番避けたい。やめようね。と話し、一旦中断していたステロイドを又投与して もらうことにしました。

そしたら昨夜、お風呂から上がると、いつも寝っぱなしのかつが起き上がって、キッチンで私に「ニャー」と話しかけてきたので「ん?どした?少し食べてみ る?」と台に乗せると、なんとカリカリを数粒食べてくれました。量はずっと少なくて5gしか食べれませんでしたが、動画の時と同じように何度も私の顔を見 て、少し、又少しと食べてくれました。

奇跡ではなく、ステロイドが一時効いて少し食欲が出てきただけと知っています。そしてこの食欲は多分、明日には消滅してしまうことも知っています。だから無性に愛しくて、だから余計に愛しくて、チチと二人、スコッチで乾杯しました。

私はかつを放置してきました。留守番もさせてきました。
その罪を今償おうとしているけれど、なかなか自分が思うようには償ってやれません。
でも、この3年間、かつを適正に飼育してきたつもりではいました。
足りないことも多いでしょう。
それでも、他の伝染病などを警戒して、又かつのエイズが他の子にうつってしまわない様、家に他の子を入れるときは、最大限隔離しました。そして当たり前ですが、1歩も外へは出さず、バルコニーですらかつくんが自由に歩くことはありませんでした。
猫としての楽しみを随分奪ってきた気がします。
自由や大らかさを与えてやることが出来なかった。
適正に飼育して、長生きしてもらいたかったから。

なのに、なぜ?

なぜ今の医学界ではどうしようもない病気を2つも持ってしまったの?

なぜ?なぜ?なぜ伝染病ばかりにかかるの?

きっと保護した頃から、エイズもコロナウイルスも持っていたのでしょう。けれどあまりの理不尽さにため息が止まりません。どうしてこんなに大切に育ててきたのに、ちゃんとやってきたつもりでいたのに・・・。ついそんなことを考えてしまいます。。。

こうやっていつも傍に居て欲しい。


いつまでもここに居て欲しい。


ベベも


ナナも


リルも皆一緒に、このメンバーで暮らしたいです。

かつくんの体調次第になりますが、次回は、皆さまの記憶に新しい、小学生に虐待され、奇跡的に助かったかつくんそっくりの子猫「ミニかつ」とその新しいご家族を紹介したいと思っています!
お楽しみに~。
そしてコメント返しも遅いし、個別にお返しできない時もあるし、いつもかつくんのことばかり書いているのに、飽きずに遊びに来てくださる皆さまに深く感謝しています。ありがとうございます。

かつはまだまだ生きています。

ランキングに参加しているの。1日1回有効だって♪

「毎日応援ありがと。病気さんはなかなかぼくから去らないよ。ぼくとっても苦しいけど、でも、まだまだちゃんと生きてます。だから安心してね。」

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愛を乞う猫

皆さま、お待たせしました。お陰さまで、チチ動画どうにか載せられました。
ありがとうございます。

どうしても載せたかった動画の割には、はっきり言って、単調です。そして数分と長い。画像はもっと良かったのですが、載せられる容量が決まっているため、かなりそぎ落としたので、粗いです。でも、かつくんの姿は何とか分かって頂けると思います。

登場するのは主にかつ。それから声だけの私がかなりうるさい。
恥ずかしいのですが、でも見終わったら、どうして私がうるさく声を張り上げていたか?分かって頂けると思います。

いかがですか?

親バカの勘違いな自己満、とか書かないでくださいね(笑)。
凹んで死んじゃいますから。。。

最初は、そっとしておいた方が安心して食べれるのだろうと、少し離れた場所で見守っていましたが、それだといつまでもいつまでも食べようとせず、しまいにはその場を離れてしまいます。かつくんは、励ませば励ますほど、何度も私の目を見つめて

「もっと?」
「もっと食べるの?」って顔をします。

生きようとしているのが分かって頂けると思います。

これを撮ったのは、7月19日の午前中ですが、これ以来、誉めても誉めてもあまり食べれなくなりました。だからこの時の食べっぷりはちょっとした奇跡。この前の日も、何も食べていなかったので・・・。

本当はこの他に、もっともっと可愛い画像も沢山撮れたのですが、私が皆さまに観て頂きたかったのは、この単調な動きを繰り返し、期待に応えようと懸命に頑張るかつの姿です。今これを書いている間も、勿論私の横に寝そべっていますよ。

愛を乞う猫。
私の最愛の猫。
大切な家族。

「毎日応援ありがと。今日は一口もご飯を食べれず、ハハに高カロリーサプリメントを2口だけ無理矢理入れられました。でも、ぼくはちゃんと生きています。皆さんにも沢山の良いことが起きますように。」

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教えてください!

かつ君の様子があまりよくありません。
ここ2日ものを食べません。
腹水も前にも増してたまっています。
元気な時のかつ君の様子をどうしてもブログで配信したいと思い、デジタルビデオを購入しました。
しかし、動画アップロードが出来ません。
そこで、デジタルカメラに詳しい方に教えて頂きたいと思います。

Cannon IVISDC50というのを買いました。(DVD専用)
カメラで録画した動画は、DVDに録画されPCからDVDで録画した内容を見ることは出来ます。しかし、インターネットに掲載するファイル形式に変換することが出来ません。
カメラで録画したファイルはVOBファイルになりますが、インターネットで掲載するにはmpgなどに変換する必要があるとのことです。
変換ソフトを結構探しましたが上手くいかず、どなたか方法をご存知の方の情報を教えて頂ければ幸いです。

すみませんが、詳しい方コメントお願いいたします。

↓ここからは、ハハです。

かつくんと、私が通じ合っていると、何度も何度も書きましたが、百聞よりやはり一見と思って、かつくんの動画を撮りました。昨日、保護活動友達のユキちゃんにみせたら「是非載せたら?これは凄い。」と言ってくれたのですが、載せられなくて・・・。

かつくんの様子は、日に日に悪くなっています。
お腹は、地面につきそうな勢いで大きく垂れ、2日間何も口に入れることが出来ません。皆様から頂いた情報で、口に入れる物(水分を含む)は何も試せない状 況です。無理矢理押し込むと吐くし、とっても苦しそうな顔をします。それからハンドパワー等で病気を治すことが出来る方が居るそうですが、正直、院長 先生の診察でも、多大なストレスを与えているので、これ以上、知らない方に会わせるのは難しいと思います。まず、移動が難しい。往診に来て頂いても、かつ くんは激しく緊張してしまい、知らない方に会わせる事が治療になるか?正直微妙な位、人見知りをします。病気になってからますます人見知りが激しくなっ て、見ていて苦しいです。毎日の注射や治療で、他人と会う=痛いとすり込まれてしまったようです。会える人間は、私とチチ以外、ハハ妹・ババ(母)・ユキ ちゃんだけ。かつくんの狭い世界で、安心してくつろぐことが出来ると感じている面子はこれだけです。

もう、昨日位から「頑張って。かつくん頑張って。」と声をかけることが出来なくなりました。だって、痛々しい位頑張っているから。それでも、何とか立ち上 がり、私の方へ向かってくる様子は、言葉にならない位切ないです。頑張って。頑張って一緒に生きて欲しい。私の傍に居て欲しい。でも、それがどうしても難 しくて、大きな苦痛を伴う時が来たら、もう頑張らなくてもいいのよ。と言いました。

今、とっても辛いです。

でも、かつに比べたらこの辛さは、なんと半端なものでしょうね。

かつは死に向かって歩いているのかもしれません。健常な猫より何百倍もの速い速度で。私はそれを食い止めたいと必死でした。今も未練がましくずっとずっと 一緒にいたいと願い続けています。それでもかつは、凄いスピードで死へ向かおうとしている。1日1日朝起きて変化を見つけるのが怖い位の速度 で・・・。

でも、

でもかつは、死に向かって歩いてる途中で、何度も振り返り、何度も何度も振り返って私に生きていることを伝えています。

何度も何度も「ぼくは生きている、生きようとしているよ。」と伝えています。

かつはまだここに居ます。

かつはまだここに居ます。

ここに居る。

ちゃんと居る。

私の傍にいる。

私を見つめながら。

安楽死等を勧めてくださる方も居ますが、どうか今は、今はそっとしてくださいね。お願いします。私が「安楽死」という名の注射を選択することは、ありません。

「毎日応援ありがと。ぼくはまだちゃんと生きていますよ。ちゃんと生きています。皆さんにも沢山の良いことが起きますように。」

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心で強く抱きしめて

一晩寝ればいよいよチチが帰って来ます。こんなにチチの帰りが待ち遠しいのは、初めてかも(笑)。母子家庭では、犬達に不自由をさせてしまうし、かつを撫でる手だって、2本よりは4本の方がずっと良い。

かつくんは、今日缶詰を数口食べましたが、途中で悲鳴のような鳴き方をしながら飲み込みました。その後ニャーニャーと私の目を真っ直ぐ見つめて何か必死で 訴えてきましたが、何を訴えたかったのかうまく理解してやることが出来ませんでした。病院は相変わらず毎日行っています。通院の負担になる事は全て避けた いので、病院に居る間はトイレだって我慢します。そして予め一人で駐車場へ行って車を出し、マンションのすぐ下に横付けし、すぐに乗り込めるよう準備しま す。途中に幾つも店がありますが、寄るなんてとんでもない。1秒も早く、とにかく早く病院を目指し、703号室を目指します。

こんなこと位しかしてやれない私ですが、かつは優しく接してくれます。パンパンに膨れたお腹で頑張ってお出迎えしてくれる時もあるし、私の姿を探して歩き回る時もあります。今も私から一番近い場所でじっとしています。私を一心に見つめながら。

さっきテレビで、24歳の女性が癌に侵され、余命1ヶ月を懸命に生き抜く様子が映し出されていました。私は勿論泣きました(笑)。彼女は亡くなるまで、 懸命に闘い抜いたし、何より周りの支えが素晴らしい。奇跡をひたすら願いながら、彼女を一人にしなかったそうです。それを観て反省です。

私は去年癌で父親を亡くしましたが、随分独りぼっちにしてしまいました。
恥ずかしながら、実家はあまり裕福ではないので、ババ(母親)は働かなければならず、親不孝娘の私は、保護活動で犬やら猫やらで走り回っていました。父親は家族依存症のような人間だったので、きっと病室で独り、孤独とも闘わなければならなかったでしょう。

行くと決まって「次はいつ来る?パパお姉ちゃんが来てくれると嬉しいんだよ。」と言われました。「すぐ来るわ。明日も来るから。」と病室をあとにして 振り返ると、決まって笑って私を見送りました。そして去年、桜が満開の頃、私は父を連れて、病院をこっそり抜け出し、手を繋いで桜の大木を眺め、その後 ファミレスへ寄って餃子を食べさせました。美味しい美味しいと3つも食べ、マンゴージュースも飲み干しました。

父には余命の事は知らせませんでした。知らせないことを決めたのは私。いまどき余命を告知しないなんて、時代遅れですよね。けれど余命は知らせませんでした。

癌の最も恐ろしいところは、比較的意識がハッキリしているのに、体が衰弱したり、激痛を感じたりするところだと個人的に思います。意識があるのに苦しくて 仕方ない、つまり死を実感しながら生きていかなければならない、まともな意識を保ちながら、死へ向かっていく、そういう病気です。自分もかつてはそれに侵 され、近年親しく愛した人達を4人癌で失った私が「癌」に持ったイメージはそういうもの。

父親は、最後の方、恐怖や激痛と闘いながら、ハサミで点滴の管を切って血だらけになったり、何度も何度も立ったり座ったりを繰り返し、娘の私に「生きて る。まだやれる。」「まだできる。まだできる。」と言い続けました。見ているのが辛かった。この一言に尽きます。そしてその姿を忘れることはないと思いま す。

かつの病気も、比較的最後の方まで意識がハッキリしていると言われました。今も十分過ぎる位闘っているのに、もしこれ以上悪くなってしまったら?それでも 意識がハッキリしていたら?痛みや苦しみをまともに感じていたら?そう考えると、とても恐ろしい。考えると何処までも堕ちてゆくので、起きながら最近は夢 を見るようになりました。病院から電話がかかってきて、FIPの特効薬を入手できたので、早く病院へ来てくださいと言われて喜ぶ夢。朝起きたら前みたいに かつが起こしに来て、お皿いっぱいのフードを平らげる夢。かつの4歳の誕生日を家族皆で祝う夢。奇跡が起こる夢。

しばらく瞑想に耽って、かつの元へ近づくと「どしたの?」といたずらな眼差しを私に向け、尻尾を動かしながら横たわっています。気分転換にバルコニーヘ連れて行こうと、膨れたお腹に触らないようにそっと抱くと、なんとまあ温かい。

そのまま潰してしまいたくなる位強く抱きしめて、自分の胸にその体を全て押し付けてしまいたいけど、それではかつが苦しい思いをしてしまうから、そっと支えるだけ。
心の中で強く強く抱きしめて、共存する喜びを噛み締めながら、夢のような時間を送る。今の私は、最高に苦しくて、最高に贅沢な時間を過ごしている、そんな気がします。

皆様も、愛する人、愛する犬、愛する猫と贅沢な時間を過ごしてくださいね。
今は永遠ではないから。

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